第5話 彼女の行方


「…はぁ…」

ベットの縁に頭をおき、呆然と天井を見つめてどのくらい経っただろうか。昨日ヒールが折れた際に軽く捻った左足がじわじわと痛みを放つ。

たった数日しか一緒にいなかったというのに、華那ちゃんがいなくなった部屋はなんだかがらんとしていた。

あの後、華那ちゃんはどうなったんだろ…ちゃんと家に帰ったのかな。

……………。

付けっぱなしのテレビからは、朔月ホールディングス令嬢のニュースなど一切流れない。

ぐー…

…お腹減った。

昨日華那ちゃんと一緒にクレープを食べてから何も口にしていないのを思い出した。

華那ちゃんのご飯美味しかったなぁ…

なんて思いながら確認した冷蔵庫はもぬけの殻だ。

買いに行こうかな…

重い腰を上げて家から出ると、どんよりとした曇り空だった。

付近のコンビニに向かう途中、女子高生を視界の端に捉え、私は思わず文字通り2度見した。

なぜならその女子高生の制服が華那ちゃんが着ていた制服と一緒だったから。

「でもお嬢様なんて全然知らなかったんだけど」

「なんか家に連れ戻された?とか?よく知らないけど」

「あれだけ報道されたんだしもうウチの高校なんか来な――ひっ……!?」

気がつくと。

「あの、その子の話…っ聞かせてくれないかな……っ!」

気づくと私は女子高生の肩を鷲づかんて詰め寄っていた。

あんなに怪しまれたの人生で初めてだったかもしれない。



とりあえず、得られたのは華那ちゃんが帰っていた家の住所。私はそこに行ってみることにした。

お嬢様、とゆうこともあり、超高層マンションをイメージしていたが、そこは二階建てのすこしとゆうか…·大概…古めかしいアパートだった。

ここに華那ちゃんがいたんだ…。

管理会社に言えば鍵とか貸してくれないかな…。

『ご本人の許可がない限り、鍵をお渡しすることはできません』

ですよねーーーーーーーーっ!!

どうしよ、もし本当に実家に帰ってるんだとしたら、ここには二度と帰っては来ないんじゃ…

いやいや…っ私がこんなに弱気でどうする…っ

とりあえず、この辺りで聞き込みを…っ



だめだーーっ!なんの情報も得られない…

土曜だとゆうのに人気の無い公園のベンチに腰掛け、頭を抱える。

どうしよ、ほんとに…ほんとにこのまま…?

まだ今までのお礼も言ってないし、デートだって途中だったし、プレゼントだって…

このままなんて………

「…絶対やだ…っ!!」

思い切り立ち上がった私はあることに気づいた。

「…あれ…?」

私…ここに来たことある気がする…

薄暗くなり、外灯が灯りだした小さな公園は、なぜだか見覚えがあった。

…私、ここに来たことあったっけ…?

「―――あっ…!」

スマホを取り出し、周辺の地図を改めて確認する。

やっぱり…

この公園は、私が華那ちゃんを家へ招き入れた日に開かれていた、居酒屋のすぐ近くだった。

そうだ……確か……

1度思いたすと、今まで思い出せなかったのが嘘のように、記憶が蘇ってきた。

飲み会終わって現地解散した後、この公園のベンチで少し休んでて…

そしたら…どこからか声が聞こえて…

あの日を思い出しながら、同じ行動をする。

公園の中に唯一ある、ゾウをモチーフにした滑り台。階段状になっている尻尾に、鼻の部分が滑り台になっている。

胴体は通り抜けできるように円丈に穴が空いている。確か…その中に、泣いてる華那ちゃんがいたんだ。

あの時と同じように滑り台の中をのぞき込む。

「…………………え」

私は思わず硬直する。だって

「………遥…………さん……」

だって、そこに居たのは目的のその人。朔月華那だったのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アラサーOLの私がJKにプロポーズされました。 まかろに @makaroniiiiin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ