すべりだいのうさぎより

祥之るう子

すべりだいのうさぎより

 ぼくはうさぎ。

 すべりだいのてっぺんにいるうさぎ。


 この、ほいくえんができたとき、みんなとあそぶために、おにわにおかれたすべりだいのてっぺんにやってきた。

 ここからはみんながよくみえるんだ。


 たのしそうなえがお。

 ママをよんで、ないてるおかお。

 おともだちと、けんかして、ないて、なかなおりしたえがお。

 いっしょうけんめいなおかお。


 たくさん、たくさんみてきたよ。


 みんな、おむかえがきても、もっとあそぶんだって、ぼくのところにきてくれたよね。


 ありがとう。

 とってもたのしかったよ。

 だいすきだよ。


 これからみんなは、ほいくえんをそつえんして、しょうがっこうにいくんだよね。


 しょうがっこうにいったら、ほいくえんとはぜんぜんちがう、あたらしいまいにちがはじまる。


 あたらしいまいにちは、きっと、ワクワクドキドキで、たのしいことがたくさんまってるよ。


 けど、どうしようっておもうことや、さびしくなっちゃうことも、あるかもしれない。


 そんなときは、おもいだして。

 ほいくえんのおともだち。

 せんせい。

 パパもママも。


 みんなと、このほいくえんですごしたおもいでは、きみのこころの、いっちばんおくのところで、きみをささえているよ。


 おもいだして。

 きみは、ほいくえんで、いろんなたいへんなことやむずかしいことをがんばった。

 おともだちと、けんかもしたし、なかなおりもできた。

 ママがいなくてさびしくても、ちゃんとまってられた。

 むずかしいおうただってうたえただろう?

 すなばでいっぱいあそんだし、とおくまであるいておさんぽにだっていった。


 それにほら、おもいだして。

 みんなぼくのすべりだい、はじめてあったときには、うえまでのぼれなかったり、すべるのがこわくって、てっぺんでないちゃったりしたろう?


 いまじゃ、すっかりおおきくなって、ポンポンポーンってのぼってきて、スイスイスーイっておりられる。


 さいしょはたいへんでも、みんなすこしずつでも、じぶんのちからでできるようになったんだよ。

 じぶんをしんじて。


 それでも、どうしてもないちゃいそうなときは、ないちゃっていいよ。

 いっぱいないたら、ぼくをおもいだして。

 あいにきて。


 きみはひとりじゃないよ。


 いっぱいないたら、また、ゆっくりあるきだしてね。

 ゆっくりだよ。


 ぼくも、みんなとのおもいでがあるから、ひとりじゃないよ。


 ちょっぴりさびしいけど


 そつえん、おめでとう


 みんながげんきにおおきくなって、ぼくも、うれしいよ。


 いままで、いっぱいあそんでくれて、ありがとう。


 だいすきなみんなへ。

 すべりだいのうさぎより。






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すべりだいのうさぎより 祥之るう子 @sho-no-roo

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