第2話

 生後0か月で160cmだったカメドナの身長は、3歳で2メートルになり、幼稚園を卒園する頃には2メートル50cmになっていた。


4月6日。入学式の日。


他の新1年生より倍以上大きいカメドナを見て、保護者達はざわついていた。


「まぁ…あの先生、とても大きいわね」


「本当。何センチあるのかしら?」


どうやら先生だと思っているようだ。そのやり取りを近くで聞いていた教員の一人が、こっそり教えてくれた。


「あれは先生じゃなくて、うちの生徒なんですよ」


保護者達は目を丸くして驚いた。


「まぁ!最近の六年生ってあんなに大きいのねぇ」


「いえ…六年生じゃないんです、新一年生なんです」


「ええええ?!」



体育館での入学式が終わり、一年生は自分達の教室へぞろぞろと入っていった。


最後尾にいたカメドナも、みんなに続いて入っていった。


が、でかすぎるカメドナは、入り口で頭をぶつけてしまった。


「うわ~ん!痛いよぉぉぉぉ!」


床に座り込んで大号泣していた。身長はでかくても、精神年齢は並みの子供と同じなのである。


みんな唖然として見ていた。



翌日の下校時。


一年生は一か月間集団下校をすることになっているので、カメドナはみんなと一緒に学校を出た。


「それじゃ、二列になって隣りのお友達と手をつなぎましょう!」


先生がそう言ったので、カメドナは隣りにいる女子と手をつないだ。


しかし身長差がありすぎるため、カメドナは女の子を宙づりにして歩いていた。


ぶら~ん、ぶら~ん。


「うわ~ん!痛いよぉ~!」


先生が慌ててかけつけてきて女の子をおろしてやった。


「カメドナくん…!」


言葉に詰まりながら、先生は言った。


「カメドナくんは…一人で歩きましょうね!」


「やだー!!!」


「わがまま言わないの」


「ボクだけ一人なんてやだー!」


「しょうがないでしょ。カメドナくんは大きすぎるんだから」


「わかったよ…。じゃあ、しゃがみながら歩く。それならいいでしょ?」


「う~ん…まぁいいでしょう」


カメドナは再び女の子と手をつなぎ、しゃがみながら歩き始めた。歩きにくいため、時々こけていた。




 カメドナが入学して一週間が経ったある日のこと。


休み時間にカメドナが鉄棒で遊んでいると、突然六年生の悪ガキグループがやってきて、カメドナをからかってきた。


「おい、デカ!お前なんでそんなにデカいんだよ!」


「デーカ!デーカ!デーカ!」


カメドナは無視して鉄棒を続けていた。


「デーカ!デーカ!デーカ!」


「デーブ!デーブ!デーブ!」


聞き捨てならないその言葉に、カメドナの耳がピクリと反応した。


「ボクはデカだけど、デブじゃない!」


悪ガキ達に向かって、カメドナは大声で怒鳴った。


「ボクの体重は21キロで、小1男子の平均体重だぁーーー!!!」


悪ガキ達はドン引きしていた。


「その身長で、21キロ?ガリガリ過ぎだろ、キモっ!!!」


と言って、逃げていった。

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