第11話 消えない
やべえ、やっちまった。
なんて思うのはたいてい挿れる直前で厳密にはまだやっていない。
耳を愛撫する様なそぶりで上手く目を逸らしたまま突っ込むときにはもう別なことを考えている。
明日の会社、今日ちょっと仕事残しちゃったな…少し早めに…家を出る時間…逆算して。やあべ、寝れんじゃん。ちょっとしか。あーあ。
10分前くらいまではこの子がすっげー欲しくて仕方なかった気がしたのにな。
まあいいか。欲しいものが手に入らなかったと引きずるよりはいいか。うん。じゃ楽しもう。
「…ん、気持ちいし、かわいいし、とっても最高♡君の身体のこことここをつなぐラインがとーっても素敵♡…んは♡そんなに締めるなってば♡」
あんな感じで女を抱くことは二度とないんだなあと思う。
まあ生きている人間としかできないなんて嘯いてた俺、まあそりゃそうだ、やらないこともどうでもいいが、逆にそれはやったってどうでもいいって事かも知れない。…自分に対しての言い訳はお得意のこの俺。
みかりの口の中、前歯の裏側をぬらーと舌で拭うようにするともろもろと肉片がこそぎ取れる、それを擦り付けるように首筋を舐めていくとちいさな窪みがあり舌先に力を入れるとじわりと液体が染み出る、液体?あ、体液かと思って笑うと、みかりもくすくす笑っている。
「くすぐったあたたあい♡」
「言えてないし♡みかりの身体、くすぐったいどころじゃないことになってるけどね♡」
これはまじで。
うん、まあだって三日も多っているしね。
36時間たってもみかりは消えなかった。
正確には36時間たってから、の三日?四日?うん、そのくらい。
俺はいろいろあったしそういうこともあるかもね。と落ち着いた。
いろいろあったよ?そう思うまでは
どうでもいいっていっても段階があって、俺はそれを相当上るか降りるかしちゃったんだなって思う。あ、階段みたいにね。
肋骨の隙間にひと際ヤワい部分を見つけて爪をたてて線を引いてみる、爪が沈み上手く力が入らないが少し線の方向を変えようとした所で妙に力が入ったのか、殊更ヨワい箇所だったのか皮膚に小さな穴が開くような指先の感覚があり体液がじわりと滲む。血よりも黄色っぽくて粘度がない。
つられて爪で引いた3センチくらいの線がゆっくり離れて表面の皮膚が内側に沈む。
「ここ、いい?」
「うんいひよ」
この行為に興奮して勃起しているわけじゃない。
もうマンコはケツの穴と繋がってしまってどうしようもないし。
それでも身体中を使ってみかりは俺を受け入れてくれる。
あんな、生ぬるい感じでみかりと向き合ったりしないよ。
うん、ごめんて。ほかの女の子とは生ぬるい感じだけだったって。
あんな感じでみかりを抱くことはない。
欲しい気持ちが終わった後に手に入る雑念だらけの行為。
対して俺が欲しいみかりはずっとずっと先の先にいて、この穴から突っ込めば到達できるのだろうかと毎回新しく思う。
ずっとずっと先の先より、もう全て俺はみかりの中にいてだからこそ見失っているのかもしれないし。
心も身体も繋がってる♡なんて安っぽい感じのほうがただ真実かもしれないし。
本当はみかりの目を見ながらみかりの中に入っていきたい。
でもみかりの右目は今朝落ちてしまったし、左目は眼球がしわしわになっている。
黒目の部分は今ちょうど後ろ側に隠れてしまったし。
だけどさ、それでも見つめ合えている気がして俺は照れる。
いくらでも甘い言葉は言えるのに、みかりと見つめ合えているってだけで照れる。
少し怖がって、恥ずかしがって、でも期待を込めて俺を見る。
だよね、期待、してるよね?だって気持ちいいってみかり、知っているもんね。
みかりはそういう表情が俺を興奮させると思ってやってて、あざといな、この♡って思う。
でもさ、俺もやっちゃうよね?お。その反応たまんねえぜ~みたいな俺見たいんでしょ?って、ちょっと肩眉あげて、目を開いて、口をニヤリ、みたいなさあ。…ふふ!それが上手くできた気がして、鏡で確認したいって思ってる俺をかわいいって思ってたの?やあだ、くそだせえ。俺恥ずかしいけど、みかりも相当だぜえ!ってお互い涙を貯めてバカみたいに笑って、何かの瞬間に目が合ってめっちゃ照れてまた涙が出るけど、この涙は寂しくて悲しくて、泣きたい。あ、泣きたいってまあ
もう泣いてるんだけど。
俺は興奮する、とかじゃなくただただかわいいと思っているんだよ。今このまま出来立ての穴に一気に根元までずっぽり押し込んでみかりが背中を反らせてであん♡なんていうのを見たい気持ちはあるけれど。此処…肋骨らへんが支点だったら逆の…前屈みたいにになるのかな?ふは、うけんね。うんうん、知ってるよ、反らせた背中とシーツの隙間に手を入れて欲しいんでしょ?そうやって抱きしめたいって…俺も思っているんだよ?
そうだなあ例えばこの穴が1メートルくらい続いててね、俺のコレも1メートルでさ、あは、例えばだって例えば例えば。それをね、1センチづつ、ズッズッって入れてくの。だから100回でしょ?ズッ1ズッ2…って。そうやって…って笑いすぎじゃね?何それ~?ってうん何だろうね?どうしたらみかりのこの顔をずっと見ていられるのかなって考えてたんだよ。
もうさみかりだけと向き合ってみようかなって、んは!
どうでもいいからでしょ?えーちがうって。
他の事考えたくないからでしょ?んもーみかりたまに頭良さそなこといってドキッとするわあ。
俺も分かってなくてもしかしたらちょっとはそうかもだけど。
(サチ君の例え話って大概分け分かんないけど、今日のは割と、さいきょう、かも!)
みかりは茶化すように笑うけど瞳の奥に快楽をとらえている芯、みたいなのがあって、俺はそれを見透かしていますよ、っていう顔をするのも照れるし、上手くいい感じの言葉に変換もできなくて、ただただグッグッと捻じ込んでいく。そ、グッ1、グッ2ね。
何かしらまだ硬い反発する部分やズルっと入り込む部分があって少し曲がって入っていく感覚がある。と、俺の上半身も少しブレて少し視点が変わり、少し違う角度のみかり。みかりの耳の後ろ、そういえばこのあたりにほくろがあったよな、とずっと忘れていたことを思い出す。
みかりだけと向き合ってみようかなって
もう他の事は考えないよ。
それに愛って名前つけよ?ね?
あれ、ちょっとここ…肋骨の感覚が、間隔が♡いい♡すっごくいい♡
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます