第4話(倒すのが面倒な敵に遭遇した場合の対処法)
こういった女神様とのやり取りを終えた僕はまず自宅に戻った。
後はすぐに準備をして、家に書き置きをして僕は旅だった。
「お小遣いをためておいたのが良かったな」
そう僕は呟いて、ポケットに入れた効果の重みを意識する。
袋に入れたお小遣い。
時々お手伝いをしたりしてもらったお金も全部ここに貯めていたのだ。
丁度この前計算したばかりで、確か全部で、155863コールド。
多分これくらいあれば足りるかなと思って、全財産を持って僕は旅立った。
だが黙って家出をするのも親を心配させてしまいそうだと僕はもちろん気づいていた。
だから家にはこんな風に書き置きしてきたのだ。
『教会に行って、春休みにでっかいことがしたいって言ったら、女神様が伝説の“万能スコップ”をくれて、冒険に連れて行ってくれるらしいので、ちょっと行ってきます。あ、高校行く準備のために一回帰ってくるので安心してね』
これで家族も心配することはないだろうと僕は思って歩き出す。
スコップを背負いながら(先日買ったスコップについていたおまけ。女神様が暮れたものがぴったりと収まる。背中に背負える袋)、僕は村の中を歩いて行く。
すぐに村はずれに来て、二つの道で都市に行けるけれどどちらにしようか迷うが、そこで女神様が指示を出したのでそちらの方の道を歩き始める。
途中、野犬ぽい魔物や、盗賊っぽい人達も出会ったけれど、この万能スコップでイチコロだった。
なんでスコップで、と言われた気がしたがそこは深く考えないようにした。
そして盗賊は捕まえて、街道に沿った近くの村で引き渡して報奨金を得た。
こんな子供一人で本当に倒せたのかと驚かれたが、僕の出身の村の名前を言うとその大人たちには納得されてしまった。
やっぱり盗賊? 五人を一人で倒したのは、凄く強いってことなのかなと僕は思ったが、それを言うと僕の父や母だってその程度片手一つで出来るし、幼馴染のユナだって蹴り一発で終わらせると思う。
あそこの村の人が特に弱かったのかな? と失礼な事を考えているとそこで今度は、日常的にある意味よく見かける変な魔物に遭遇する。
溶けかけた透明なセリー状の物体の魔物、スライムだ。
それほど強くない魔物なのだが、間違って踏むと服が溶けたり、肌から魔力を吸われたり、たまに変な毒のようなものを持っているのがいたり魔法を使うものがいたり……それくらい多様な種類がいて、スライム図鑑なるものが作成されるくらい種類がいる魔物が現れた。
このスライムでも希少種は高く取引されてペットにされる場合もあったりするらしいのだが、出会うものは大体は弱い普通の魔物である。
なので倒してしまってもいいのだが、時期によっては特に、あまりにもポコポコ出てくるので、倒すというそれすらも面倒くさいのである。
なので目の前にいる水色のぶよぶよして、丸い核のようなものが中にある単細胞生物のようなそれに向かい僕は右足を一歩前に出し、スコップを斜め横に構える。
それとほぼ同時に現れたそのスライムが二匹ほど、ぴょんと僕の身長よりも高いくらいに飛び上がって僕に襲い掛かってくる。
そして僕の目の前に来た所で、僕はそのスコップを横に凪いだ。
カキーンッ
「ホームラン! だな。今のはよく飛んだな」
打ち方が上手くいったのか、小気味の良い音を立てて青空高く飛んでいき……スライムは星になった。
こうやって面倒だから飛ばしてしまうのである。
なにせ次から次へと出てくるのだ。
いちいち倒していては僕が疲れてしまう。
倒していっても報奨金が出るわけでもない。そもそも、
「ただでさえ交通費節約のために歩いているんだし」
この次の村のあたりまでなら歩いたほうが早いしお金もかからないのだ。
そこから王都まででている馬車には、さすがに距離があるので乗りはするが。
幾らお金があるとはいえ、節約は大事なのである。
なんなら都市まで普通に歩いて行ってもいい。
そういえば幼馴染のユナなら、走って都市まで行ってしまうだろうけれど。
そう僕が思っているとそこで、近くで手を叩く音がした。
「わーお、スライムを打ち返しちゃうんだ、おもしろーい」
そんな気楽そうな楽しそうな声に振り返ると、そこには同い年くらいの少女の二人組がそこにいたのだった。
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