第17話
オークマジシャンを倒した事で、この一帯のゴブリンは散り散りになるだろうとクレアは言った。ゴブリンのような低級の魔物はリーダーを求めて集まる習性があるらしく、そのリーダーが討たれると散り散りになり、また次のリーダーを求めて放浪するのが普通らしい。
ここにいた魔物の魔石を回収すると、ゴブリンの魔石が13個とオークマジシャンの魔石が1つだった。それまでに倒した分も合わせればゴブリンの魔石は合計22個となった。ゴブリンの魔石が直径1cm程度の大きさなのに対して、オークマジシャンの魔石は直径で5cm近くもあった。魔物の魔石の大きさと魔力量はその魔物の格に比例して大きくなるそうだ。
更にオークマジシャンからは肉も剥ぎ取った。オーク種の肉は美味らしく、需要も多い肉だそうで、これを取らないのは勿体無いとはクレアの弁だ。
持てる量は持ち帰り、残りは『倉庫』に入れた。これは『倉庫』の性能実験も兼ねたもので、ナマモノの長期保存に耐えうるならもっと有効活用するために持ち帰りできない分の生肉を入れることにした。
俺たちは洞窟に魔物が居ないか確認すると(魔物も、金目の物も特に無かった)、ニオ村に戻り、ギルドにゴブリン討伐の報告をしに行った。その頃には陽も傾き、夕方に近くなっていた。
「やあ、戻って来たよ」
クレアがそう言いながらギルドに入ると、おばちゃんが出てきた。
「ようやく戻ってきたね、成果はあったかい?」
「ああ、ゴブリンとオークマジシャンが居たから狩って来た」とクレアはなんでもないように言う。
「オーク種が居たのかい!?それもマジシャンとなれば上位種じゃないかい。大丈夫だったかい?」
「大丈夫だ。じゃあ魔石を出すから、確認してもらえるか?」
「了解さ、魔石鑑定具持ってくるから待ってな」
そう言うとおばちゃんは小さな装置を持って来て、
「鑑定具は見たことあるかい?」
と聞いてきた。
「何度かね」
「じゃあ説明は省くよ。魔石出してくれな」
あとで聞いたが、これは魔石のサイズや魔力量から、魔物を推定する装置だそうだ。魔物によって魔力のパターンがある程度あるらしく、それで魔石がどの生物から取れたものか、そしてそれがいつ頃倒されたかを判別する装置らしい。
ゴブリンとオークマジシャンの魔石を全て取り出し、おばちゃんに渡す。おばちゃんはテキパキと装置に乗せ、確認をしていった。
「本当にオークの上位種の魔石だねぇ……。魔力も抜けてないし、新鮮な魔石で間違いないね」
「洞窟に住んでたんだ。最近ゴブリンが増えてたのは、そいつのせいだろうな」
「ゴブリンの魔石自体もそれなりにあるし、おそらく間違いないだろうね。それじゃあ依頼はとりあえず完了にしとくよ。ギルドカードに記帳しておくから、そっちもどっかのギルドで精算してもらいな。それとゴブリンの魔石は売ってもらえるかい?こんな村でもゴブリンの魔石くらいなら需要はあるからね」
「構わない。幾らだ?」
「1つ3リュフだね」
「それで良い。合計22個だ」
「66リュフだね。今日は休んで行くかい?」
「ああ頼もうか、幾らだ?」
「1泊2食付きで40リュフ。お湯が欲しいなら桶1つで3リュフだよ」
「じゃあお湯も1つ頼もう、明日には王都フォカリオに出発したいからな」
「分かったよ。それじゃあ差し引き23リュフ、持って行きな」
銀貨2枚と銅貨3枚を受け取った俺たち。この日はここで休み、最初の戦闘依頼は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます