第14話
(居るな)
遠目に数匹のゴブリン達が見える。こいつらはひらけた場所で騒いでいて、どうやら周辺の警備をしているようだ。その奥に洞窟があり、おそらくその洞窟の中に集落があるのだろう。
(あいつらと中に居るだろうゴブリンを倒せば、この仕事は終わり。って事で良いよな?)
(そうなるな。ゴブリンは強い者に従う形で集落を作る。魔法が使える魔物や力が強い魔物だな。洞窟の中にそういう長が居るはずだ)
(どうすればいい?さっきみたいに斬りこめば良いか?)
(ゴブリンに罠を使う頭は無い。長がそういう知恵を持っていてもそれに引っかかるのはゴブリンだから、罠の可能性はまず考えなくていい。囲まれたりしなければ大丈夫だろう。何かあればフォローしよう。)
意見がまとまり、俺は身体強化魔法を唱える。魔法の効果が現れた直後、俺は正面のゴブリン達に突っ込む。
俺の姿を見たゴブリン達は、グギャグギャ叫びながら一斉に洞窟の中へと逃げていく。その背中を追いかけるが、距離に差がありすぎた。3匹は仕留めたが、残りは洞窟の中に逃げられてしまう。
「ちっ、流石に逃げられたか。」
と悪態を吐く。洞窟の中から喧騒が聞こえる。今洞窟の中は侵入者俺たちの情報に大騒ぎしているだろう。
(ショウ、明かりを用意してから追うぞ。)
クレアが言うにはゴブリンは夜目があまり効かず、なんらかの方法で多少は明るくしているらしい。しかし安全のために自前の明かりを用意した方が良いそうだ。クレアがカンテラを用意し、それを腰に付ける。多少手荒に扱っても壊れない品だそうで、手を塞がないのも便利だと教えられた。
洞窟の中はそれなりに広く、戦いには不自由しないだろう。時折松明が燃えていて意外と明るい空間を俺は注意して進む。しかしゴブリンが居ない。2箇所ほどゴブリンが過ごしていたらしい広い場所はあったが、そこももぬけの殻になっていた。
(これは長の下にゴブリンが集まっているのだろうな。)
(じゃあもっと奥にゴブリン達と長が固まってるって事か。)
(ああ、おそらく土系の魔法が使える奴だな)
(どうしてそう思うんだ?)
(この洞窟、自然にできたにしては不自然な空間があった。さっきの見た、ゴブリンが生活していたらしき場所もそうだし、この辺りも壁があまりに綺麗だ。まず間違いなく魔法を使える奴が元々あった洞窟を拡げたのだろうな。)
つまり奥には魔法を使える魔物がいる事はほぼ確定らしい。
(魔法使い相手にはどう戦えばいい?)
(魔法はあまり効かない自信はあるが、避けるのが一番良いだろうな。まぁフォローは任せてくれ)
そうやって話していると、正面から声が聞こえてきた。道は緩やかに曲がっていて、その先が明るくなっている。
(おそらくゴブリンや長はそこだな。)
(相手も俺たちの事を待ち構えているだろうな。)
(ショウ、油断するなよ。)
クレアの声を聞きながら、俺は剣を構えて洞窟の奥に突っ込んだ。
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