第4話

 まずは『鑑定』の魔眼を使うか。そう思っていると、クレアからお願いが来た。


(もし鑑定をするなら、最初に自分の能力を確認してみないか?私は先月までのステータスは鑑定して貰ったことがあるが、君の能力で私のステータスが変わっているかもしれない)


 ステータスって、ちょっとゲームっぽいワードが来たな。おそらくはゲームでいう能力値の事で間違いないだろう。他にやらないといけない事もないし、自分を調べても良いだろう。


(ああ分かった。じゃあやってみるか)


 目を閉じると、自分の視界に7種類のステータスと2つの能力、更に技能と呼ばれるものが現れた

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 クレア・ラレート

 HP 850

 MP 660


 ATK 250

 DEF 235

 MAT 190

 MDF 480

 SPD 390


 所持能力アビリティ

 浸魔体質

 L 魔力強化法


 主要技能

 体術 Lv5

 片手剣・水魔法 Lv4

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 ステータスが高いかどうかは判断のしようがないな。それよりもその下の浸魔体質とその派生が気になる。その下は得意な武器とか魔法とかが書いてあるんだろう。実にファンタジーな世界だ

 残念な事に『鑑定』の魔眼では、書いてあるアビリティがどんな効果か知ることが出来ないようだ。なので知っているであろうクレアに聞く事にする


(とりあえず、鑑定結果がこれだ。それと浸魔体質ってなんだ?)

 意思疎通の効果で鑑定結果をそのままクレアに送り込んだが、クレアからの答えは信じられない物を見た時のような声だった

(……ちょっと待ってくれ……本当に私の事なのか……?先月に軍で調べた時とは比べ物にならないステータスだぞ、これは……。)

 30秒ほどたっぷりと鑑定結果を眺めていたクレアだったが、気を取り直したように、

(これが自己強化の恩恵なのだろうな。そしてその能力の件だが、体質と書いてある以上、私がもともと持っていた能力だとは思う。だが、鑑定石ではそこまでは分からないから、どんな能力かは私にも分からないな)と言った

 この世界には鑑定能力を持ったアイテムがあるようだが、魔眼の劣化版だったみたいだ。そして初めて知った能力を説明など出来る筈がない。それはしょうがない。そして、クレアによると先月の時点のステータスはこんな感じだったらしい


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 クレア・ラレート

 HP 650

 MP 250


 ATK 120

 DEF 115

 MAT 85

 MDF 235

 SPD 170


 主要技能

 体術・片手剣・水魔法 Lv4

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 ちなみにHPはその存在の生命力、MPは内包する魔力量、ATKは物理的な攻撃力、DEFは物理的な攻撃に対する防御力、MATは魔法の攻撃力や回復力、MDFは魔法に対する防御力、SPDは身軽さや走力を示すそうだ。

 何というべきか、全体的に能力が跳ね上がっている。クレアによると体術技能は最近上がった感触があったのと、「ある事」を覚えた事で分かっていたらしい。その「ある事」は、今度教えると流されたが。そして一般的な兵士の平均は、「HP500、MP150、残りはだいたい100前後」と教えてくれた。


 さてと、『鑑定』は無事に発動できたし、次は「倉庫』作りを試す事にする。そう考えてどうやって開けるようにするか考えていると、クレアから少しすまなそうな声が掛かった。


(ショウ、自分のアビリティを確認したいのは分かるが、少し体を返してくれないか?君の了解や取り決めが無いと私が体を使えないし、そろそろ着替えておきたいんだ)


 どうやら、この体をクレアが使うには、俺の了解がいるらしい。今はまだ『倉庫』の開け方を考えている途中だし、問題は無いだろう。


(ああ、良いぜ。まだ『倉庫』の開け方決めてないしな)


(ありがとう。では着替えるか)


 俺が了解すると、スゥーっと視点が下がった。例えるなら、今までが普通の視点で、今はテレビ越しにその視点を見てる状態。というのが1番近いと思う。

 俺がクレアを見ていると、クレアは着ていた長袖のシャツを脱いでたたみ始めた。

 さっき紙を読む時に見たクレアの手で分かっていたが、彼女の皮膚はとても白かった。いっそ病的と言った方が良いレベルで青白い肌をしていて、本当に兵士として仕事が出来ていたのか疑問になるほどだ。

 そして、クレアが上半身で着ていたのは、シャツとその下の胸を隠すような布一枚だったようで、その体のラインも浮き彫りになる。その体のラインを見て、俺はついポロっと言ってしまった。


(お前……胸無いんだな………)


 この言葉に、服を畳んでいたクレアがビクリと硬直し、わなわなと肩を震わせた。そして、

(み、見ないでくれええええええ!!!)

 というクレアの叫びの直後、俺の精神はクレアの精神に殴り飛ばされ、そのままブラックアウトする事となった。

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