第30話 カラスを作中に登場させるために参考にした資料
あるとき、自作(注:『カクヨム』からは削除済み。別サイトにて掲載中)の中でカラスを登場させたいと思い立ちました。思い立ったものの、カラスについて詳しくは知らないということに気づきました。普段の生活の中で、カラスの声はどこからともなく聞こえてくるのですが、姿を間近に見ることはあまりありません。時折、夕刻の空を
作品中に登場させるのであれば、それなりにカラスらしい描写が必要だろうということで、カラスについて調べることにしました。ネット上で調べてもよかったのですが(むしろ、カラスの仕草を見るにはネット上のほうがふさしいのですが)、いつでも手元に置いて見られる情報源として、書籍を購入しようと思い立ち、書店で書棚を見ながら歩いていたところ、とある一冊の本に目が留まり、中身を確かめようとページを捲ったが最後、すぐに購入してしまいました。
一冊購入して読み終えると、他の書籍にも目を通したくなってしまうのはよくあることだと思います。まずは同じ著者の書籍を読もうということで書店に足を運び、再び書籍を購入しました。購入した書籍は、読み物とはいえ巻末に参考文献一覧が載っているため、次に読む書籍を探すのも容易です。書店に実物があるか、今も出版されているか、といった問題はありますが、手がかりは得ています。あれば幸運とばかりに書店に足を運び、生物学関連の書棚を見ていったところ、別の著者による別の観点からの書籍を見つけ、参考になるからと購入してしまいました。後は、同じことの繰り返しです。読む→書店で探す→別の本を見つける→買う→読む→書店で探す→(以下、繰り返し)。購入するだけであればネット上でも可能ですが、書店の雰囲気が好きなため、可能な限り足を運ぶようにしています(書店では、買おうともしていなかった書籍に惹かれることもままあるため)。
その後、堰を切ったかのように、カラス関連の書籍、および、鳥関連の書籍を合計十数冊も購入してしまいました。いずれの書籍も、専門書ではなく、読み物(一般読者向けの、科学関連の読み物)です。専門書は、その名のとおり、専門家あるいは専門家を目指す人たちのためのものですので、一般読者が読んでも容易に理解できる内容ではありません。現在の知識では購入するだけ無駄になってしまうのは目に見えていましたので、読み物を購入しました。購入した書籍の中には、内容のほとんどが写真というものも含まれています。普段目にすることもないカラスの日常を切り取った写真は貴重な内容で、作中のカラスの仕草を描写するときも非常に参考になります。
購入した書籍には全て目を通しましたが、作品の中にそのまま引用できるような内容はありません。あくまで、自分の中でのイメージを作り出すために読み、見ています。カラスの動く姿についてはネット上の動画を漁ることでイメージを作り上げていきました。カラスの仕草を検索語句に指定して検索しますと、さまざまな動画がアップロードされているのがわかります。検索語句として日本語に限らず英語を指定して検索しますと、さらに多くの動画を見つけられます。カラスの種類については、どれと特定できないものもありますが、カラスの仲間であればいずれの動画も参考になりました。
カラスについていろいろと調べていくと、今まで気にも留めなかったことがあることに気づきます。今まで聞き流していたカラスの鳴き声の中にも、どうやら種類の異なるカラスの鳴き声が含まれているらしいことに気づきました。「ガー」と澄んだ声で鳴くのがハシブトガラス、「ガー」と濁った声で鳴くのがハシボソガラス、だそうです。ただし、声だけで姿を確認するまでは至っていないので、本当に種類の異なるカラスの鳴き声なのかの確証は得られていません。
複数の書籍に目を通しましたが、調べた内容全てを作品に盛り込めるわけでもありません。調べたことはそれだけであって、それを作中にどのように活かすのかはまた別のことです。また、文献を紐解いていろいろ調べるのは楽しいのですが、書くことそっちのけになってしまう可能性もあるというのが悩むところです。書籍の購入金額もそれなりになっています。恐ろしいので、現在のところは計算していません。
以下、参考にした書籍です(書籍ではないものも含まれます)。
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『カラスの教科書』/著:松原始/講談社文庫
書店で見つけた、カラスに関する書籍の一冊めです。この本を購入したばっかりに、後続の本を購入することになったと言っても言い過ぎではありません。カラス研究者による、一般向けの読み物です。読み物ではありますが、内容としては専門的なものも含まれるため、『教科書』としてふさわしいと思います。
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『カラスの教科書』/著:松原始/雷鳥社
講談社文庫の基になった単行本。文庫版とは微妙に記述が異なる部分があります。気づいたのは、ハシボソガラスがヒキガエルを食べる方法、「カラスのQ&A」の数、カラスくんのイラストの数、です。文庫版との差異は他にもあるかもしれません。
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『カラスの補習授業』/著:松原始/雷鳥社
『カラスの教科書』の続編です。カラスくんも健在です。前作では採り上げられなかった内容が多く含まれ、本文中では前作にはなかった注釈が多くつけられています。前作と本作とで一教科の教科書といった様相です。なお、カラスには関連の無い、濃い内容のものも散見されます。
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『にっぽんのカラス』/写真:宮本桂、監修・著:松原始/KANZEN
カラスの写真集です。ハシボソガラスとハシブトガラスの日常を切り取った写真は、どのように撮影したのだろうと思わせるものもあります(飛んでいる蝉を捕まえようとするカラス、など)。
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『鳥類学者の目のツケドコロ』/著:松原始/ベレ出版
野鳥に関するエッセイ集です。第一章では「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」とにそれぞれ一節を当てて述べられています。第二章では「イエガラス」について、第三章では「ミヤマガラスとコクマルガラス」について述べられています。
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『カラス屋、カラスを食べる』/著:松原始/幻冬舎新書
鳥に限らないエッセイ集です。第一章で、著者の学生時代のハシボソガラスに関する研究の裏話的な内容が述べられています。ハシボソガラスの世界もいろいろたいへんなようです。
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『カラス屋の双眼鏡』/著:松原始/ハルキ文庫
鳥に限らないエッセイ集です。第一章で、主にハシブトガラスに関する話題が述べられています。他の著作に比べて乾いた文体で、いろいろと考えさせられます。
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『カラス学のすすめ』/著:杉田昭栄/緑書房
解剖学者の著者によるカラスの書籍です。内容も解剖学的な知見に基づいているようで、いろいろと専門的な内容です。
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『道具を使うカラスの物語――生物界随一の頭脳をもつ鳥カレドニアガラス』/著:パメラ・S.ターナー、撮影:アンディ・コミンズ、挿絵:グイード・デ・フィリッポ、監訳:杉田昭栄、翻訳:須部宗生/緑書房
朽ち木に潜むカミキリムシの幼虫を、植物の枝や葉から作った道具で「釣り上げる」、カレドニアガラスに関する本です。多くの写真が収録されており、カレドニアガラスの日常の一端を窺うことができます。
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『カラスの文化史』/著:サビッジ、カンダス、監修:松原始、訳:瀧下哉代/エクスナレッジ
各国の神話や言い伝え、絵画などを題材にしたエッセイ(?)です。
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『世界一賢い鳥、カラスの科学』/著者:ジョン・マーズラフ、トニー・エンジェル、訳:東郷えりか/河出書房新社
研究者によるカラスのエッセイ集です。内容は、より専門的です。脳科学などの観点からカラスについて述べているようです。ウィンドサーフィン(板を持った風乗り遊び)するワタリガラスは、ぜひ見てみたい……。翻訳があまりよくないため、少々読みづらいです。
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『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』/著:川上和人/新潮文庫
恐竜に関するエッセイです。カラスはほとんど登場しません。節の題名が有名作品のもじりになっているようで、何を基にしているのかに思いを巡らせるのもおもしろいです。
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『トリノトリビア 鳥類学者がこっそり教える野鳥のひみつ』/監修:川上和人、著:川上和人、三上かつら、川嶋隆義、マンガ:マツダユカ/西東社
鳥に関する小ネタ(?)集です。カラスに限らず、身近な鳥に関する小ネタがいろいろ収録されています。ハヤブサはインコやオウムの近縁だということをこの本で初めて知りました。マツダユカによる四コママンガが何ともよい感じを出しています。
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『カラスのジョーシキってなんだ?』/文:柴田佳秀、絵:マツダユカ/子どもの未来社
出版社によると「小学校中学年」向けだそうです。絵がマツダユカによるものということで購入してしまいました。本文は、いたってまじめです。
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『カラスの常識』/著:柴田佳秀/子どもの未来社 寺子屋新書
前掲書と同じ著者、出版社の書籍です。こちらは、一般向け(?)の新書版です。カラスのさまざまな行動から、人間の行動が透けて見えてくるようにも感じられます。しかし、東京のカラスについての言及は、既に十数年が経過しているため、現在には当て嵌まらないかもしれません。
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『わたしのカラス研究』/著:柴田佳秀/さ・え・ら書房
著者は前々掲書と同じです。こちらは、子ども向けの科学読み物といった様相です。二〇〇六年の初版であるため、東京のカラスに関する記述は、現在(二〇二〇年)では当て嵌まらないかもしれません。
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『実は猫よりすごく賢い鳥の頭脳』/著者:ネイサン・エメリー、訳:渡辺智/エクスナレッジ
鳥に関する科学エッセイです。表紙の写真がカラスです(種類は不明)。裏表紙の写真もカラスです(おそらく、ズキンガラス)。内容は、鳥の脳機能に関する科学読み物といった様相です。若干の誤記が見られました(日本でクルミを割るのはハシボソガラスのはずなのに、ハシブトガラスと記述されている)。翻訳も少々硬い感じです。
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『鳥! 驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する』/著:ジェニファー・アッカーマン、訳:鍛原多惠子/講談社ブルーバックス
鳥全般に課する科学読み物です。鳥の脳について研究が進んでいることを、この本で初めて知りました。
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『ソロモンの指環――動物行動学入門――』/著:コンラート・ローレンツ、訳:日高敏隆/早川書房、ハヤカワ文庫NF
動物行動学に関する古典です。書名だけは知っていたのですが、読んだことはありませんでした。「5 永遠にかわらぬ友」がコクマルガラスについての内容です。翻訳があまりよくないため、少々読みづらいです。
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『身近な鳥のすごい事典』/著:細川博昭/イースト新書Q
書名のとおり、身近な鳥に関する読み物です。第一章の第二節でハシボソガラスとハシブトガラスについて述べられています。改行が多いため、少々読みづらいです。
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『イソップ寓話集』/著:イソップ、訳:中務哲郎/岩波文庫
有名な寓話集です。カラスの名前が全て漢字で書かれているので、少々面食らいます。嘴細烏……ハシボソガラス、黒丸烏……コクマルガラス、となっています。「烏」は、「ワタリガラス」のことかもしれません(「一二五 嘴細烏と烏」となっており、「烏」は別格として扱われています)。
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ネット上の動画
「カラス」や「crow raven」などで検索すると、多くの動画を見つけられます。カラスの日常(水浴び、羽繕い、など)を撮影したものは、特に参考になります。
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『カラスと人の巣づくり協定』/著:後藤三千代/築地書館
電柱への巣作りをテーマにした、カラスの生態研究です。水田が広がる中を走る農道に建てられた電柱に巣を作るのは、ハシボソガラスということで、実質、ハシボソガラスに関する内容です。カラスの巣作りもたいへんだということがわかります。
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『鳥 デュ・モーリア傑作集』/著:ダフネ・デュ・モーリア、訳:務台夏子/創元推理文庫
表題作の『鳥』は二番目に所収されています。冬のある日、鳥たちが人間を襲い始める……。映画にもなった有名な作品ですが、原作のこちらのほうが、静かな、しかし、何とも言えない恐ろしさを感じさせます。本作に登場するカラスは、ミヤマガラス、カラス、ニシコクマルガラスなどですが、ほとんど名前だけです。ただの「カラス」は種としては存在しないため、これが何を意味しているのかは不明ですが、これも「ワタリガラス」のことかもしれません。
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『なんでそうなの 札幌のカラス』
『なるほどそうだね 札幌のカラス2』
/著:中村眞樹子/北海道新聞社
書名のとおり、札幌に生息するカラスを扱った書籍です。都市の中で、野生動物であるカラスが生きていくのは、それなりの困難が待ち受けているということがよくわかります(人間との関わり合いも含めて)。
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『カラス狂騒曲 行動と生態の不思議』/著:今泉忠明/東京堂出版
カラスに関する読み物です。他の書籍に比べると内容が薄い気もしますが、この本を入手するまでに複数の書籍に目を通していたために、そう感じるのかもしれません。書籍には珍しく、誤植が多くあります。章の終わりになぜか「Ω」の文字が印字されている箇所があります。謎です。また、二〇〇四年の初版のため、東京のカラスに関する記述は、現在(二〇一九年)では当て嵌まらないかもしれません。
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『カラスのひみつ 生態と行動のふしぎをさぐろう』/監修:松原始/PHP研究所
本書は「楽しい調べ学習シリーズ」の一冊であり、出版社によると「学校・図書館向け」とのこと。見た目は小学校中学年以上向けといったものですが、内容は監修者の他の著作とほぼ同様です。判型が「A4判変型上製」ということで、かなり大振りです。
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『BIRDER 2016年9月号 カラス類 大百科』/編:BIRDER編集部/文一総合出版
バードウォッチングマガジン「BIRDER|(バーダー)」のバックナンバーです。カラス属の鳥だけでなく、カラス科の他の属の鳥についても扱っています。野鳥ファン向けの雑誌でカラスを採り上げるということで、書店で見つけたときは少々驚きました(カラスは野鳥ファンに嫌われているという先入観があったもので)。雑誌という性質上、ページ数が少ないのと、内容もあまり深く掘り下げないのはしかたがないかと思いました。
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『おしえてカラスさん』/筆者:おしえて編集室、編著・監修:原田憲一/ヴィッセン出版
出版社そのものが「おもに子ども科学読本を作っている」とのことで、本作もそのとおりの内容です。写真ではなく、水彩画を思わせる挿絵が使われています。内容については、独自の調査研究に基づくものというわけではないようです。
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『モチーフで読む美術史』/著:宮下規久朗/ちくま文庫
絵画の中に描かれた風景から昔の様子を知ることができるかもしれないと思い、購入した書籍です。項目の一つとして「鴉」がありました。荒野で修行するキリスト教の聖人のもとにパンを運ぶカラスと、水墨画(二点)に描かれたカラスが紹介されています。水墨画には、雪の降りしきる中寄り添う二羽のカラスたちと、枝にとまる一羽のカラスとがそれぞれ描かれています。いずれの作品に描かれたカラスは、嘴の太さからワタリガラスかハシボソガラスかでしょうか。ハシブトガラスではなさそうです。
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『ブリューゲルの世界』/著:森洋子/新潮社
『バベルの塔』で有名な画家ピーテル・ブリューゲルの作品を解説した書籍です。元々は、画家が生きた時代の風景を知りたいと思い購入したものです。作品を改めて見直したところ、背景の至る所に鳥が描かれていることに気づきました。絵の題名に鳥が含まれている作品(『絞首台の上のカササギ』、『鳥罠のある冬景色』、など)は当然として、他の作品でも鳥が描かれています。描かれている鳥の中でカラスはというと、どうやらズキンガラスのようです。ズキンガラスはハシボソガラスの亜種(または近縁種)で、頭部と翼の羽の色は黒なのですが、体を覆う羽の色は灰色(濃度はさまざま)という特徴があります。作品の中の、枝にとまる姿は印刷が鮮明ではありませんが、体を覆う羽の色が明らかに黒ではないので、ズキンガラスだろうと推測しています。また、『十字架を担うキリスト』に描かれた、空を舞うカラスは、全身が黒色であることと体に対して翼が長いことなどから、ワタリガラスかもしれません。
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『謎のカラスを追う 頭骨とDNAが語るカラス10万年史』/著:中村純夫/築地書館
ハシブトガラスの亜種である、ジャポネンシス Corvus macrorhynchos japonensis とマンジュリカス C. m. mandshuricus とが交雑する地(
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『山溪ハンディ図鑑 7 新版 日本の野鳥』/著:叶内拓哉/山と溪谷社
書名のとおり、図鑑です。書店にて書棚を見ていたときに、最近出版された図鑑を所持していないことに気づき、手に取りました。自宅の書棚にあるのはイラストによる図鑑だったのと、出版年代がずいぶん前だったのとで、最近の分類には対応していなかったため、思い切って購入しました。本書は「ハンディ」とは銘打っていますが、全編フルカラー印刷のためか、重さが約七〇〇グラムもあり、手に持つとそれなりの重さを感じます。価格もそれなりで、手に取ってから驚きましたが、撮影の手間を考えると、出版社としてこの価格で元が取れるのだろうかと心配になりました。ハシボソガラスやハシブトガラスについては見開き二ページにわたって記述されているにもかかわらず、ワタリガラスについては一ページなのが少々残念ではあります。ワタリガラスは警戒心が強いということなので、撮影が困難なのかもしれません。
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『大鴉』/著:エドガー・アラン・ポオ、挿画:ギュスターヴ・ドレ、訳:日夏耿之介/沖積舎
ポオの有名な詩です。幾つか翻訳があるようですが、書店で偶然目にしたのですぐに購入しました。文体は、文語訳の聖書を思わせます。加えて、ギュスターヴ・ドレの挿画が収録されています。ギュスターヴ・ドレの作品を探している身としては嬉しい限りです。原題の Thre Raven はワタリガラスを意味していますが、挿画を見る限りはワタリガラスの特徴はそれほどありません。カラスと言われれば、そうかな、と思えるくらいです。
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『見つけて楽しむ身近な野鳥の観察ガイド』/編著:梶ヶ谷博、著:西教生、野村亮、山内昭/緑書房
本書は「鳥の観察図鑑」という立場をとっている、と前書きにあるとおり、身近な野鳥を観察する際の助けになるようにとの配慮に基づいてつくられています。掲載されている写真も、鳥たちの日常を切り取ったものがほとんどで、日頃なかなか目にすることのできないそのような姿は参考になります。カラスについては、カラス(ハシボソガラス、ハシブトガラス)のページだけでなく、猛禽類であるトビやノスリなどのページにも登場しています。カラス類は猛禽類を嫌っているということがよくわかります。
◇
『 英米文学の鳥たち』/著:桝田隆宏/大阪教育図書
文学作品(には限らない)の中で登場する各種の鳥についてのエッセイのような本です。「カラス」の他には「ハト」や「カッコウ」などが採り上げられています。「カラス」で扱われているのは、聖書で登場するのが raven なので、主にワタリガラスについてです。カラスは「吉凶の二面性を有する鳥」ということですが、引用されている各作品からは、どちらかというと「凶」のほうが強い印象を受けます。習性や食性から、どうしても「凶」のほうに傾いてしまうのはしかたないと思うのですが、それだけにカラスに肩入れしたくなってしまいます。カラスも、ツバメやススメやハトなどと変わらない野鳥ですので。
◇◇
後書きのようなもの:
あることを調べていると、いろいろなことが芋づる式に現れてくるのがおもしろいです。上述の書籍を読んだとしても、作中にてそのまま使ったわけではないのですが。なお、作中に登場させたカラスは、ワタリガラスとハシボソガラスとをモデルにしました。が、必ずしも両種の姿を厳密に書き分けたわけではありません。専門的に見れば誤りといったことも含まれています。
カラスの漢字表記として「鴉」と「烏」とがあります。作中の表記としては前者の「鴉」を選択しました。この漢字を選択したのは、「鳥」と判別しやすい、という単純な理由からです。「烏」と「鳥」とでは、フォントサイズが小さい場合に判別し難くなります。文字の形はほとんど同じ、異なるのは一画のみ、近視であるためぱっと見には同じ字形に見える、とあって、「烏」を使用せずに、「鴉」を使用することにしました。
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