第25話 Web上での見た目の問題――会話の字下げと、プロポーショナルフォントと等幅フォント――

※初回に挙げた『会話の始まりを表すかぎ括弧を字下げするか否か』の続きのようなものです。また、近況ノートに挙げた内容に追記したものでもあります。


 組版せずに表示されるWeb環境に於いて、小説のような物語文章を公開する際には、会話文についても字下げしておいたほうがよいかもしれません。印刷物の見た目を真似た方法――地の文については字下げする(行頭に全角空白文字を配置する)、会話の始まりについては字下げしない(行頭に全角空白文字を配置しない)――をそのまま適用しても、閲覧する側の環境によっては奇妙な見た目になる可能性があります。スタイルシートを編集できるような環境であれば見た目についていろいろと設定できると思いますが、投稿サイトではそこまで細かな設定はできません。『カクヨム』の編集画面ではタブ文字を貼り付けることも可能でしたが、表示には反映されませんでした。字下げを表現するのであれば、行頭に全角空白文字配置するほかに方法はないようです。以下、表示の際の例です。


・例文その一(字下げなし)

――――――――

 地の文については字下げしています。その方法として、行頭に全角空白文字を配置しています。なお、全角空白文字については、『カクヨム』での「文字数」としては計上されないようです。

「会話文については字下げしていません。その方法としては、行頭に全角空白文字を配置しないことで実現しています。ブラウザの表示用フォントとしてプロポーショナルフォントを使用した場合、冒頭の『会』の文字が、横組みの場合は左にずれて、縦組みの場合は上にずれて、表示されると思います。が、OSやブラウザによってはそうならないかもしれません。」

 再び、地の文の部分です。前述のとおり、行頭に全角空白文字を配置しています。

「会話文の始まりです。字下げしていません。」

 地の文です。

――――――――


・例文その二(字下げあり)

――――――――

 地の文については字下げしています。方法としては、前述したとおりです。

 「会話文については字下げしています。その方法としては、地の文と同様です。ブラウザの表示用フォントとしてプロポーショナルフォントを使用した場合、横組みか縦組みかにかかわらず、開き括弧の位置が地の文の開始位置とほぼ一致すると思います。が、OSやブラウザによってはそうならないかもしれません。」

 再び、地の文の部分です。前述のとおり、行頭に全角空白文字を配置しています。

 「会話文の始まりです。字下げしています。」

 地の文です。

――――――――


 ここで、「プロポーショナルフォント」とは「それぞれの文字ごとに幅が異なるフォント」を意味します。フォント名として「○○ P明朝」や「○○ Pゴシック」などのように「P」の文字が含まれていることが多いのですが、必ずしもそうではないかもしれません。なお、ブラウザの表示用のフォントとして「等幅フォント」を指定している場合、前述のような表示にはならず、「例文その一(字下げなし)」では最近出版された書籍のように、「例文その二(字下げあり)」では少し前に出版された書籍のように、それぞれ表示されると思います。この表示の差異は、フォントに含まれる括弧文字の前後に幾許かの空白部分が含まれているかいないかによるものとみられます。


 この奇妙な表示を解消する方法としては、以下が考えられます。


<案その一>

・段落の始まりに相当する地の文の前に、全角空白を配置する。

・段落の始まりに相当する会話文の前にも、全角空白を配置する。

・段落の切れ目を表すには、改行のみとする、あるいは、併せて空白行を使用する。


<案その二>

・段落の始まりに相当する地の文の前には、全角空白を配置しない。

・段落の始まりに相当する会話文の前にも、全角空白を配置しない。

・段落の切れ目を表すには、空白行を使用する。改行のみを使用していると、前の段落の最後の文字が画面の表示上、行末に来た場合に、段落の区切りの判別が困難になるため。


上述のいずれの方法を採用したとしても、あるいは、別の方法を採用したとしても、場面の変更を表す際には何らかの記号を使用したほうが読み手にとってわかりやすくなると思います。


    ◇


 会話の前後に空白行を置くという、Web上でよく見られるレイアウトを採用する限りは、前述のようなことはそれほど気にする必要はないのかもしれません。また、原稿のテキストデータをどのように作成していたとしても、正規表現と全置換とを使用すれば、それほど手間を掛けずにレイアウトを統一できます。この点からも、それほど気にする必要はないのかもしれません。

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