第17話 場面の区切りを示す記号について

 長編(に限らず、)小説に於いて、場面の切り替えが行われないというのは、なかなかないことだと思います。書籍であれば「一行空け」で十分に用をなすと思いますが、Web上ですとそうもいかないということに思い至りました。初めは「一行空け」を使用していたのですが、実際にWeb上に表示されたときにどうにも判別しづらかったのです。Web上ですと――特に横書きですと――、どうにも「一行空け」が目立たないのです。「一行空け」でだめなら、「二行空け」、あるいは、「三行空け」にすればよいのではとも思いましたが、テキストエディタで編集する際に、複数の改行を一つの改行に置き換える、という操作をすることがあり、この操作を実行すると、どこが場面の区切りだかわからなくなってしまうということがあるために、これらの方法については採用しませんでした。


 前述のことを解決するために記号を置くことにしました。記号としては本文中で使用しないものということで、「◇」を置くことにしました。実際にこの記号を置く際には、前後に「一行空け」をしています。初めは行頭に「◇」を置いていたのですが、少々見づらいことに気づき、現在は「    ◇」のように、四つの全角空白文字を置き、その後に「◇」を置くようにしています。もう少し大きな場面の区切りでは「    ◇◇」を使用することにしました。これは、四つの全角空白文字を置き、その後に二つの「◇」を置いたものです。これらの記号を置くことによって、前述のような置換処理を行ったとしても、「◇」を検索することによって場面の区切りを見つけ出すことができるようになりました。


 また、原稿作成の際には「    ◇」の前にテキストエディタ専用の編集記号を置くことにより、アウトライン表示の際の目印としても使用しています。これにより、場面の入れ替えも容易に行えるようになりました(その機会はあまりないのですが)。


 現在は書籍と同じように行間を空けないレイアウトを使用していますが、行間を空けるレイアウトを採用したとしても、場面の区切りに何らかの文字を使用するのは有効だと思いました。「一行空け」を多用した場合には特に、「二行空け」、あるいは、「三行空け」について、ぱっと見ただけでは区別しづらいためです(少なくとも、私の目では)。





2020/03/20 追記:

以下、記号の使い方の一例です。


 第一の場面の部分です。ある程度の長さの文章をここに書いたほうがよいと思うのですが、なかなかそれらしい文章を思いつけないため、特に意味の無い文章を書き連ねています。場面の区切りを目立たせるのであれば、小説本体については「みっしりと」詰めて書いたほうが効果が高いと思います。本文中の一行空け(台詞の前後の空白行や、「読みやすさ」を指向した空白行、など)については、紙の書籍のレイアウトに変換した時点で全て削除されるでしょうから、それを見越して書くほうがいろいろと手間を省けると思うのですが。


    ◇


 第二の場面です。個人的には、小説本文の「箇条書き」は読みづらいと感じます。別の回でも書いていますが、頻繁に改行するということは、どうしても、話題が次々に移り変わるという印象を受けてしまいます。改行しているということは、そこでその話題が終了している、あるいは、区切りがある、という意識があるため、次の行に読み進めても同じ話題が続いているとわかると、「この話題はどこまで続くのだろう」と半ばうんざりしてしまうことがあります。


    ◇


 第三の場面です。文字列の塊が目に入れば、「今読み進めている話題については、これくらいだ」という目安を得られますので、安心して読み進められます。ここで「話題」と表現してはいますが、説明などに限らず、「動作の主体」というときもあります。ある登場人物の描写(台詞、仕草、など)については一つの段落にまとめられているほうが読み進めるのに苦労しません。この部分はこの人物についての記述、次の部分については別の人物についての記述、というように判断が容易なためです。


    ◇◇


 第四の場面です。少々大きな場面の区切りのために、区切り記号を変更しました。

 この例では「◇」、「◆」、および、全角空白を組み合わせて場面の区切りを表現していますが、使用する記号に特にこだわりはありません。ですが、日本語変換の際に「環境依存」と指摘される文字については使用しないほうがよいでしょう。環境依存文字を使用すると、ある環境では正しく表示されても、別の環境では文字化けするということがあり得ます。その環境で表示できない文字は「■」や「?」や「〓」などのような文字に変換されて表示されますので、何か文字があることだけはわかるが、元は何の文字だったのかはわからない、という事態になりかねません。最近はそうでもないようですが、丸で囲まれた数字(①、②、③、など)も正しく表示されるか不安な文字です。これらも使用しないほうが無難かと思います。

 各話が各場面になっているのであれば、区切り記号は必要ないかもしれません。各話の中に複数の場面があるのであれば区切り記号を使用したほうが、読み手に対しても書き手に対しても親切でしょう。読み手に対しては場面の区切りを明示するという点で、書き手に対しては自身の文章を見直す際に場面の区切りを明確に意識できるという点で、有効だと思います。自身の書いた文章であっても、三日もすれば他人の書いた文章に見えてきますので、読み手に対する親切は結局のところ書き手に対しても親切であるといえるかもしれません。

 これで終わりですので、この場面の後に、終わりの記号を置いています。


    ◆



2020/05/04 追記、2020/05/19、2020/06/20 修正


場面の区切りを示す記号について、使われそうなものを挙げてみました(これらに限られるわけではありません)。前半の幾つかについては記号とその読みについて挙げています(ATOKを使用した場合の例)。なお、「しゃーぷ」および「いげた」については、「しゃーぷ」を使用するのであれば「しゃーぷ」のみを、「いげた」を使用するのであれば「いげた」のみを、それぞれ使用したほうがよいと思います。


――――――――――――――――――――

    †  だがー

    ‡  だぶるだがー

    ♯  しゃーぷ

    #  いげた

    §  せくしょん

    *  あすたりすく

    ∴  ゆえに


    (一一一)  全角括弧と漢数字

    (百十一)  全角括弧と漢数字(その二)

    (111)     半角括弧と半角算用数字

    CXI      半角英字を使用したローマ数字

    c       半角英字

――――――――――――――――――――


[アクセス数]のリンクから[エピソードごとの累計PV数]を確認すると、何故か、この回のみ他の回に比してアクセス数の桁が異なります。何らかのプログラムが内容の更新状況を確認するためにアクセスしているのか、本当にどなたかがアクセスされているのか、こちらからは判断できないため、原因の特定には到っていません。この回に書かれている内容は、これといって注目すべき内容というわけでもないと思うのですが、不思議です。




2020/05/30 さらに追記(既出も含む)

――――――――――――――――――――

記号と、その「読み」の例。

「読み」はATOKでの例。


    ◇  しかく/ひしがた

    ◆  しかく/ひしがた

    □  しかく

    ■  しかく


    ○  まる

    ●  まる

    ◎  まる/にじゅうまる


    △  さんかく

    ▲  さんかく

    ▽  さんかく/ぎゃくさんかく

    ▼  さんかく/ぎゃくさんかく


    ∇  さんかく/なぶら

    Δ  さんかく/でるた

    ⊿  さんかく


    ☆  ほし

    ★  ほし

    ※  ほし/こめ

――――――――――――――――――――


相変わらず、この回のみアクセス数が増加しています。謎です。

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