第10話 「角速度」ではなく、「書く速度」

 「書く速度」とは実のところ「下書きを書く速度」です。下書きの方法は、ノートにシャープペンシルでの手書きです。手書きをするのは、小説に関してはPC上で書くよりも書きやすいという単純な理由からでした。そのノート(A五版、六ミリ幅、一ページ当たり三〇行)に手書きする速度なのですが、どうがんばっても一時間で二ページが限界でした。ノートの一ページの文字数は、これまでの経験上、文庫本にして約二ページに相当します。下書きの際はかなりみっしりと詰めて書いているので、清書の際に少々行数が増加しますが、文庫本にして約二ページというのはあまり変わりありません。「書く速度」は、最速でも一時間あたり文庫本に換算して約四ページ(約三〇〇〇文字)の進度です。


 単純計算すれば、二五時間で文庫本約一〇〇ページ分、七五時間で文庫本約三〇〇ページ分ですので、約三日で文庫本一冊分くらいの文字数を書けることになります。しかし、二五時間どころか二時間を休みなしで書くこともできないほどですので、前述の単純計算は絵に描いた餅です。また、一時間あたりノート二ページという進度も全速力でその程度という値ですので、始終このままの状態で書き続けられるわけではありません。一時間あたり一ページのときもあれば数行のときもあります。どうしても文章を思いつかず、一行も書けずにノートを閉じることもあります。毎日書けるわけでもないため、それなりの文字を書くにはそれなりの日数がかかります。


 例として、ノート約一五〇ページになった長編の下書きに要した期間は約三ヶ月でした。時間を見つけて書いていても、一日の中で費やせる時間は最大でも二時間、週末は書かないことが多かったので、進みとしては速くありません。下書きを完成させたとしても、その後、清書、推敲と続いたので、一つの作品を形にするのに要した期間は約六ヶ月でした(清書については、下書きが完成する目処が立ったところで着手しましたが)。形にしたとしても、その後もちまちまと修正を続けていたため、「これで完成」と思えるほどになるのにはさらに三ヶ月を要しました。合計、九ヶ月を要しました。この期間が長いのか短いのかは何とも判断できませんが、趣味の一つとして続けるにはこれくらいがちょうどよいのかもしれません。


 ※テキストエディタを起動後、「かくそくど」と入力し、変換を実行したところ、「角速度」という変換を得られました。変換実行前に「もしかしたら『角速度』に変換されるかもしれない」と思っていたのですが、思ったとおりになりました。予測が当たったようです。

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