第9話 「改行と空白行が多いほうが読みやすい」……は、本当か?

※PCで閲覧した際に感じたことを前提としています。


※個人の感想です。


 Webという媒体上で小説を公開する際は、紙の媒体上よりも頻繁に改行を行い、空行を挿入すべきだ、という意見があります。そのほうが読みやすくなるというのがその理由だそうです。……個人的には非常に読みづらく感じます。文章を読む際に「改行しているということは、そこで話題が変化しているはずだ」という意識があるためか、読み進める中で改行が現れると身構えるのですが、読み進めても一向に話題が変化しないということに気づくことがあります。その時点で「あれ? 同じ話題が続いているのか?」となり、それを確認するためにその話題がどこまで続くのかと先の画面(ページ)をざっと読み、また元の画面に戻ることがあります。そうなると、文章の構造を把握することが先に立ち、物語を楽しむどころではなくなってしまいます。


 加えて、一文ごとに改行され、それぞれが空白行で区切られた場合、読みづらさが増します。一文ごとの改行されているということは、段落なしと同じことと感じてしまいます。画面をぱっと見た際に文章の構造を掴めないため、画面上で目が迷子になってしまうのです。


 また、一文ごとに改行されている状態に於いて、全ての文の間に空白行が置かれているわけではなく、幾つかの文を一つの塊としてその間に空白行を置いている書き方も見られます。この状態も、或る文の終わりから次の文の頭までの目線の移動距離が毎回異なるため、目線を機械的に動かせないということになり、これはこれで非常に読みづらく感じます。


 小説ではない文章(技術文書など)では、段落(パラグラフ)ごとに改行し、空行を挿入するほうが読みやすいと感じます。一つの段落では一つの話題を述べ、話題ごとに複数の文章が記述されていれば、段落の数だけ話題があり、それぞれの段落にどの程度の内容(文章の量)が含まれているのかが、見た目である程度わかります。書く側としては、話題の数が幾つあるかがすぐわかり、各話題についての文章量もすぐにわかります。読む側としては、段落という一つの塊が目に入るため、その塊だけで斜め読みすることも可能ですので読むのも楽に感じます。


 小説ではない文章のレイアウトをそのまま小説の文章のレイアウトに当てはめるには難があると感じました。試しに、投稿していた作品に於いて一段落ごとに空白行を入れるレイアウトに設定したこともあるのですが、画面上で見たところ何とも締まりないように感じられて、すぐに元のレイアウトに戻してしまいました。特に、会話の部分が浮いたような状態に見えてしまい、それによって文章の流れがあちらこちらで堰き止められたように見えてしまい、「このレイアウトは、だめだ」と諦めました。会話と地の文とを混ぜた書き方をしているのも、見た目が変に感じられた理由かもしれません。別の作品では、「段落ごとに空白行を入れることにしつつも、会話を含む部分についてはある程度のまとまりのままとし、改行するごとに空白行を入れることはしない」ということを試しました。ただ、この方法は、機械的に処理できないという欠点がありました。どこに空白行を入れるかを一々考える必要があり、テキストエディタの一括置換のような機能を使えません。空白行を含まない状態に戻すのは容易ですが(正規表現を使用し、改行文字二つを改行文字一つに置き換えるという処理を実行する)、「『元に戻すの』を元に戻す」のが困難なのです。別の欠点として、推敲のために紙に印刷する際、余分な空白行が入っていると紙を余分に使うため、紙がもったいないということもあります。


 スマートフォンなどの小さめの画面にて閲覧する際には、改行や空白行があったほうが読みやすいのかもしれません。ですが、画面表示上の見た目の問題は、表示する機器の種類が多岐にわたるとあっては、全ての環境で満足いく解答はないかもしれません。そのため、全ての環境で満足いく解答を探すのを諦め、ある特定の環境に合わせるに留めるという解答もありかと思います。


※本作は『小説ではない文章』であるため、段落ごとに空白行を挿入する形式を採用しています。ですが、技術文書とも言い切れないため、何とも中途半端な形式となっています。

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