4.情報収集
市内で発生した死体遺棄事件について、律たちはまず、ネット上のローカル掲示板を漁っていた。尋常ではない速度でログをスクロールしていった律たちは程なくして、オカルト系のスレッドでお目当ての書き込み内容を見つけた。
*
【怪談】×県のオカルトについて語るスレッド【肝試し】
60 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:27:59 ID:7cA8TVVc0
そういえば○市で惨殺死体が見つかったの知ってるか?
61 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:32:21 ID:YvT9Sdek0
なんぞそれ
62 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:35:52 ID:YvT9Sdek0
>>60
kwsk
63 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:41:56 ID:7cA8TVVc0
繁華街の裏路地みたいなとこで明け方にバラバラ死体が見つかったんだよ
たまたま近くにいてさ、ガッツリ見ちゃったんだよな
首とか腕とかがグチャグチャになって血溜まりの中に散らばってた
64 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:44:47 ID:Yuod36Xg9
犯人乙
65 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:47:26 ID:YvT9Sdek0
え・・・こっわ((;゚Д゚));
66 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:52:41 ID:7cA8TVVc0
あれはマジでトラウマレベルだった・・・
俺はゲーゲー吐いてるうちに近くにいた奴が通報したのか警官がわらわら集まってきてさ
あっという間にテープの外に追いやられて近付かないで!て怒鳴られた
>>64
ちげーっつの!
67 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 20:59:32 ID:YvT9Sdek0
ソースは?
そんな事件あったらさすがに地方紙に載るだろ
68 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 21:02:41 ID:7cA8TVVc0
それがさ、俺も普段読まない新聞とかニュースとかしばらく気にして見てたんだけどまったく出てこないのよ
んでここなら知ってる奴がいるんじゃないかって思ってさ
69 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 21:06:35 ID:Cft6BesA0
まさかとは思いますが、その『事件』とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。
70 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 21:09:27 ID:YvT9Sdek0
解散
71 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 21:12:48 ID:7cA8TVVc0
ちげーよ!ほんとに見たんだって!
72 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 21:34:30 ID:ZaeDh/WV0
俺それ知ってるかも
6月くらいじゃなかったか?
早朝にやたらざわざわしててなんだろって近づいてみたら
パトカーが何台も停まってなんかヤバい雰囲気だった
73 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 21:42:18 ID:7cA8TVVc0
>>72
そう!!!!!土曜の朝!!!!!
74 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 21:56:35 ID:Cft6BesA0
えっこれマジなの?自演じゃなくて?
75 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 22:01:09 ID:7cA8TVVc0
だからマジだって!!!ルシールって店の裏あたりで見たんだよ!!!1!
76 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 22:07:26 ID:YvT9Sdek0
えぇ・・・マジならやばいやつじゃん
犯人捕まってないのか?
77 名前:オカルトな名無しさん 20XX/XX/XX 22:11:15 ID:7cA8TVVc0
わかんねえよ!俺もそれが知りたくてこんなとこ書き込んでんだよ!
*
「……どう思う?」
「見たところ、記事に書かれていた事件と関係がありそうね」
こんな地方都市で、そう何件もバラバラ死体遺棄事件が起こっていたら堪らない。記者による手の混んだ狂言でないとすれば、まず同じ事件についての内容とみて間違いないだろう。
より詳しい内容が書かれていないかログを追ったが、その後は依然として事件を書き込んだ者の虚偽や自演を疑う書き込みや、煽るような書き込み内容が続いていた。暴言の応酬で散々荒れた挙げ句、最終的に投稿は途絶えてしまっていた。
「詳しいことはわからずじまい、か……」
「そうでもないわ」
落胆をみせる律に、ずいと身を乗り出した皐月がモニタを指差しながら言う。
「ほらここ、死体が見つかった場所について書いてあるわ。『ルシール』。これ、事件現場に繋がる具体的な書き込みじゃない?」
「本当だ」
律からマウス操作を代わった皐月は、続いて地図のページを表示させる。
「調べた限り、市内で該当するのは……ここ一軒だけよ」
「『
呟く律を横目に、皐月は素早くマウスを操作し店舗のホームページを開く。
間もなく表示された、着飾った女性たちの写真で溢れたけばけばしい画面に思わず絶句する律。
『Lucille』はいわゆるキャバクラ店だった。中学生には馴染みのない夜の街の世界に、律はホームページを見ているだけで頭がくらくらしてきた。
だが、そんな律に向かって隣の皐月は無情にも告げた。
「さて、現地調査と洒落込みましょうか」
「……マジか」
悪びれない皐月の微笑みに、律は思わず頭を抱えたのだった。
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