第二話 後輩に出張などを通して仕事の指導をしていたと思いきや性指導もしていた件

「おはようございます、先輩」

 丸いフレームの眼鏡がよく似合う、三十路を過ぎた男と思えないほどドジだが愛らしい後輩、かおる。

 駅で待ち合わせて、博物館巡りをして、ホテルのレストランで夕食をとり、かおるが予めとったという部屋でシャワーを浴び、バスローブに着替えて眠ろうとベッドへ行こうとしたら、同じくバスローブのかおるに両肩を掴まれ、面と向かってこう言われた。

「先輩、僕、今までずっと恋人が欲しいって言って先輩にいろいろ付き合ってもらってたんですけど、本当は、最初に会った日から、先輩に一目ぼれして、構って、いや意識してほしくてしてたことだったんです。……だから改めて言わせてください。先輩、愛しています。

……僕を、受け入れてくれますか……?」

 え、いや、と言葉を返そうとしたら目の前にテキストボックスが二つ現れた。

「『……もちろん』と言い、かおるに身を任せる」

「黙ってかおるを押し倒す」

 いや、それよりも逃げないと、と体を動かそうとするが全く動けない。

 これは選択肢という奴か、というか「逃げる」という発想はないのか、そう思ったところ、テキストボックスらが頷くようにこちらに二回傾いた。

 まさか両方イェス、と思うと一回頷かれた。……なら押し倒してやめるように説得しよう。

→「黙ってかおるを押し倒す」

 わたしはかおるを押し倒した。すると、かおるはポカンとわたしを見つめた後、なぜか微笑んでこう言った。

「……なんだ、先輩も同じ気持ちだったんですね」

 どういう意味だ、と聞いたら、え? と聞き返されこう続いた。

「先輩も……早くしたかったのかなって」

「な、何を……?」

「……セックス」

 はあっ?! 男同士で!?

「……ホテルで何度も練習させてくれましたよね……、……後学のためって撮影まで許して」

 ホテルで練習?! 撮影?! 疑問だらけのわたしをよそに、かおるは自分とわたしのバスローブのひもをほどき、少し起き上がって両手でわたしの尻を開いてこう言った。

「準備も万端みたいですし、入れますね? んっ、ほら……僕のが先輩の中にどんどん入っていく……」

 待て待て待て、なんですんなり入っていくんだあっ! なんだ……今、わたし、射精して……、んっ、……かおるの舌が、わたしの、主人公の、舌と……。



 ……それから乳首がどうとか、自分から抱きしめるか懇願するかと妙な選択肢が続き、いい加減足腰が痛くなってきた、と思ったところ、またあの選択肢が現れた。

「かおるに主導権を譲る」

「一度引き抜く」

 やった、抜ける選択肢がある! わたしは迷いなく「一度引き抜く」を選び、服のある場所へ向かおうとしたが、かおるもベッドから降り、わたしの両腕を掴んで後ろからまだ大きいかおるの陰茎が入ってきた。

「今度は僕から攻めますね?」

 実質一択じゃないかあっ! しかもっ、よりにもっ、よって、気持ちいいのが、いやで、避けてたっ、とこっ、ばっかりいっ!

「先輩……僕の名前、呼んでください」

「か、かお、るっ……?」

「もっと……」

「かお、るっ……かおるっ!」


 かおるの律動に従ってその名を呼び続けるわたし。

 今はただ、かおるが与える快楽に喘ぐことしか出来なかった。

 ああ、かおるの精液がわたしの中に注がれていく……。

「先輩……嫌ならいいんですけど、その、……僕の、きれいにしてくれますか?」

 精液まみれのかおるの陰茎を舐めた後、口に咥えて尿道に残った精液まで吸い込むと、んんっ、と声が上がる。

 自分の尻の中で出し入れしていたはずのものは、不思議と嫌な味がしなかった。

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