第三話 同僚に温泉旅館に誘われていたので行ってみたらやっぱり身体を重ねた件
かおるとアツい夜を過ごしたわたしは、朝、部屋で彼に軽いキスをされた後、ホテルの出入口前で別れ、家に帰った。
それから正気を取り戻したわたしはホテルの部屋での出来事について苦情を言うべく着信履歴から自称女神の番号へ電話をかけた。
「你好。我是女神」
「は?」
「電話がかかる気配を感じたので適当に中国語で出てみました。それより、今日はなつひこさんと温泉へ行くのでしょう? 必要なものまとめて、マンションの入り口から百メートルほど右へ向かってもらえますか? 苦情ならそこで聞きます」
女神の指示通り進むと赤信号の横断歩道があった。
「信号待ちは長いようで短いので要点だけ言ってもらえますか?」
まず、なぜわたしとかおるは何度も性交したことになっているのか聞いた。
「そりゃあ、かおるさんに何度も『ホテルへ行く』コマンドを使ったからでしょう」
あれは旅行とか出張のコマンドじゃないのか。
「それでも間違いではありませんが、あれ、本質は肉体関係を築くコマンドですよ。もっとも貴方は『全年齢モード』でプレイしてましたから『
「アツい夜」ってそういうことだったのか……、ん? となると、これからわたしと、なつひこは……。
「あ、信号変わりましたよ。歩きだしてください」
「わたしと、なつひこはこれからどうなるんだ?」
「……決まっているでしょう、『アツい夜を過ご』すんですよ。それも四月になるまで毎日」
毎、日……?! 引き返そうとするが、体は後ろを向かず、歩き続けている。
「それと、もう一つ。その身体は、
ああ、ちょっと! と言ったところで電話が切れた。いつの間にか近くにいたなつひこに誰からの電話だと尋ねられたので適当に答えた。
それからわたしとなつひこは観光もそこそこに、温泉旅館の部屋で荷物を置き、部屋に付いていた、男二人で入るには少し狭い露天風呂に向かい合って浸かった。
しかし、なつひこ、なかなかガタイがいいな……。なんだか身体の奥がむずむずしてきた……。
「『身体、触ってもいいか』と聞いてみる」
「『……シたい』と迫る」
「風呂から上がる」
……選ぶなら一つだな。
→「風呂から上がる」
わたしはなつひこに一言言ってから、たち上がった。……勃起もしていた。
「こうじ……俺の裸なら何度も見ただろ? ……むしろ何度も見たからこその反応か?」
なつひこの口内へ導かれたわたしの陰茎。前世では娘が出来る前、妻に一度してもらったきりだが、あれとは全く違う。ゆっくり味わうようでいて、睾丸や会陰周りも愛撫されて……ああっ、そこはっ、なつひこの太い指が二本当たって、あああ……っ、射精で腰が抜けるあまり、なつひこの肩につかまった。
なつひこの口から解放されたわたしの陰茎が糸を引く。わたしが出した精液を飲み込んだ後、なつひこはこう言った。
「着替えて飯、行くか。……続きはそのあとで、な?」
なつひこの肩を掴みながら食事処へ行き、季節の味覚に舌鼓をうつ。部屋に戻ると、酒が入ったのもあり浴衣姿のまま、なつひこに二度も抱かれ、そのあと、また部屋の風呂に入る。わたしは湯が入るのも構わず、なつひこの陰茎を受け入れ、彼の肩に頭を預けた。時折突き上げてくる振動が心地いい。風呂から上がっても、朝目覚めてからも、何度も、宿を出るまでなつひこに抱かれ続けた。
そして別れ際にわたしたちは熱い抱擁を交わした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます