紙とペンとそれから神様

@bu-bu

ありがとう神様

人が信用出来なくなったのは、私が学校を風邪で休んだ日の翌日。


「おはよう!」

いつもの様に友達に言った言葉は虚しく通り過ぎた。


想像もしていなかった。私自身がいじめの対象になるなんて。

いじめは、テレビや物語の向こう側で起きている可哀想な話。

休む前日は普通に「また明日」「うん!また明日ね!」そんな普通の日だったのに。


それから、私は陰口のような、それでいて私には聞こえる悪口を言われ続けた。

話しかけても無視をされ、いないように扱われた私は、グループ授業が辛くて辛くて耐えられなかった。


あんなに楽しかった学校が、毎日つらくてつらくて。地獄に落とされた気分だった。


誰に相談すれば良いの?

先生だって気づいてるはずなのに。

親だって気づいてるはずなのに。


怖い。人が怖い。親にも先生にも無視されたらどうしよう。助けて。誰か助けて。


朝になると胃のあたりがキリキリした。

前は明るくはっきり見えた景色が、歪んで見えた。

なんにも楽しくない。もう、こんなの嫌だ。


学校をはじめてサボった。


街の小さな図書館。

静かで司書の人すらどこかに行っていていない。


本も読む気はなかった。

ただ、静かな場所で何も考えたくなかっただけ。


けど、不思議と表紙の可愛い本にであった。

異世界。現実ではない世界の物語は、現実逃避するにはちょうど良かった。

その小説の主人公は私より辛い現実を、1人で乗り越えた。

いじめを受けた日から、こんなに私はドキドキもワクワクもしなかった。

憤りも悲しみもとうに感じ無くなっていた。

けれど、小説を読んでいる間はワクワクもドキドキも、悲しみも憤りもたくさん感じた。

そして、物語の最後に1人で乗りこえたと思っていた現実の後ろでは、主人公を大切に思っている人が助けてくれていた。


少し、前を向いてみよう。信じてみよう。自分を大切に思ってる人を探してみよう。


学校から欠席の連絡がないのに来ていないことを不思議に思った学校は親に連絡をしたらしい。


私はもう1冊本を読もうと立ち上がった時


「心配したでしょ!」


駆け寄ってきた母を見て、視界が歪みながら今の学校生活について相談してみようと思った。


1冊の本は私の人生の大きな転機になった。本は私にとって勇気をくれた神様だった。

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