二章 20 『しゃあなし補習と山の家の終わり』
二章 20 『しゃあなし補習と山の家の終わり』
テスト(笑)は終了し(笑)今は山の家の食堂でお昼のバイキング(笑)を食べていた(笑)
「咲都もバカだよな〜あのお前の感じからして今回は書けてたんだろ? トイレぐらい五分以内に済ませて来いよ……もしかして大だったのか? フッ」
「便所に五分もかかってねぇよ! ちょっとれんしゅ……考え事してたんだよ。てかウンコでも五分かからんわボケ」
「おい飯食ってるのにモロに言うなよ! 俺はちゃんと大って濁したのによ」
知るかクソ鉄。お前はウンコでも食ってりゃいいんだよ!
俺は完全にヤケになっていた。
問題はウルトラスーパー順調に解けて……いや、覚えていたんだぜ? あの調子なら鉄矢の言う通り補習は確実にま逃れていた。
あの問題の書け様で誰が補習を受けることなんて予想出来るんだよ……。
少しの魔法の練習が仇になるなんてな。やっぱ魔法の練習嫌になってきたかも。
「確か補習を受けるやつ全クラス合わせて五人以下のはずだろ? そのうちの一人がお前だなんてなぁ〜。俺は悲しぜ……ブフッ! ゴホッオエッ! やべ笑った拍子に喉に詰まった」
「人を笑うからバチが当たったんだよ。ざまぁみろってんだ。てかな、俺は補習は寝るつもりだから何も問題ないんだよ。」
自由時間だったとしても寝るつもりだったしな。
「補習の人数五人以下なんだぞ。寝てて何も言われないと思ってるのかよ」
ぐっ、言われてみれば……
「でも虹夜くんテストの問題自体は分かってたんでしょ? なら補習も特に問題ないんじゃ……」
そこへ料理を取りに行く途中に通りがかった美山ちゃんが一言、
「あら、補習ではさっきの問題とは違う問題を勉強してもらう事になってるわよ。でも途中に二回あるテストで八十点以上取れば晴れて自由時間だから。頑張ってね虹夜くん」
美山ちゃんめいらんことを言いやがって!
これで補習寝れないルートはほぼ確定か。そして自由時間も俺にはやってこないらしい。
「だってよ。まあ頑張れよ補習くん」
「他人事だと思いやがってこの野郎」
「いや、他人事だしな。なぁ宇多くん」
「いやまあ……でも虹夜くんなら大丈夫だよ」
クソ鉄め! いつか呪ってやるわ! そして宇多くんの同情が少し心に滲みる。
どうにか補習の時間が楽しいものにならんものか……。
昼ご飯の時間を終えて一旦班の部屋に戻って来ていた。
時刻は一時過ぎ。一時半から補習開始らしい。
「咲都補習とか笑かしてくれるよな〜。お前が部屋出てから五分過ぎた時にはテスト中なにの笑いそうになったわ」
「「「それな」」」
「散々鉄矢に言われたしもう聞き飽きたわ! 大人しく補習行ってきますよ」
部屋に戻って早々に一班のやつらにも笑われる。
あぁ〜腹立つ!
一時半少し前に補習の部屋に向かう。
「じゃ頑張れよ咲都。俺らは外で遊んでるからもし補習が終わったら来いよ。終わったらな」
「終わったらなぁ。頑張れよ咲都〜」
「頑張ってね虹夜くん」
「待っとけお前ら。速攻で終わらせてやるからよ」
ま、多分無理だけど。
補習の部屋に入るとそこには見慣れた人影が。えっと、あれは……
「ーーあっ! 咲都くん! 咲都くんも補習だったんだね! 知ってる人がいてよかった〜」
華絵ちゃんだった。
「えっ⁉︎ 華絵ちゃんも補習⁉︎」
「そうなの。私恥ずかしながらそんなに頭が良くないらしくて……。前のテストもあまり点数よくなかったんだ」
そうだったのか。なんか以外だな。クラスの副委員を任されてるのに補習を受けるなんて……あっ、俺もか。
「咲都くんテスト何点だったの?」
「いや、俺は五分以上の退室で補習にね。普通に受けてたら補習なんて確実回避だったんだよ。華絵ちゃんは何点だった?」
「そうなんだ。えっとね、私はね……ケアレスミスで三十三点かなぁ〜」
おぉ、それはまた予想より低い点数が飛び出たものだ。てかその点数ならケアレスミスもクソも無いんじゃ……。
もしかしたら華絵ちゃんは中々のおバカさんなのかも知れない。
「よ〜し、補習始めるぞ。適当に座れ」
学年主任の先生が入ってきた。その後ろから他の先生が三人も。これはやはり寝れないな。
てか美山ちゃんもいるな……なんか俺に笑顔で手振ってきてるし。苦笑いで返す。俺はさすがに今のテンションで笑顔にはなれません。
「咲都くん隣座っていい?」
速攻で前言撤回。俺は笑顔で華絵ちゃんに言葉を返す。
「おお! もちのろん!」
ーー補習が始まり数分、
「咲都くんここの国語の漢字分かる?」
「分からん……美山ちゃんヘルプ!」
ーー
「咲都くん、この歴史のところなんだけど……」
「ん? ……美山ちゃんヘルプー」
「またなの?」
ーー
「咲都くん何回もごめんね、数学のこの問題なんだけど……」
「あぁ、これはここがこうなるからこうで……」
「なるほどね! ありがとう! 次のここもなんだけど……」
「これはこうじゃないかな」
「咲都くん数学は出来るんだ! 凄いね」
そう、数学は出来ます。数学は、ね。
ーーで、一回目のテスト。
「五教科各二十点満点の百点テストだ。それじゃ開始」
ーー
「虹夜〜、はい五十七点。数学は満点だな。理科が十五点か。しかし他が酷いぞ……英語なんて三点じゃないか。補習続行!」
分かってますよ……
「荒川〜、二十九点。全体的にダメだな。補習続行」
「は〜い……」
華絵ちゃん俺よりもおバカさんなのか……ある意味すげぇな。
ーーで二回目のテスト、俺は七十六点。ギリギリ受からず晩ご飯直前の六時まで補習が確定しました。
華絵ちゃんは五十四点。同じく補習続行になった。
そして六時、長かった補習もようやく終了。やっと終わった。
「咲都くんお疲れ様〜。疲れたね……」
「お疲れ様。ほんと疲れよ。六時半の晩御飯まであとちょっとしかないな〜。ギリギリまで補習しやがって……」
「私は晴香ちゃんのところに行くよ〜」
「俺の点数黙っといてね?」
「うん。ていうか私も晴香ちゃんに言えるような点数取ってないしね……」
元気が取り柄の華絵ちゃんもさすがにこの長かった補習には疲れたのだろう。少し元気が無かった。
ーーで晩御飯。
「あぁ〜、疲れたんもぉ!」
「お疲れ様虹夜くん」
「やっぱり補習は最後まで終わらなかったんだな」
「惜しいところまで行ったんだけどな〜マジで」
ーー食堂で晩御飯を食べ終え風呂に入り班の部屋に戻る。
明日は朝ご飯を食べ終えたら帰るらしい。
荷物をある程度まとめてみんなで高木の持ってきていたタブレットで映画鑑賞をしていた。
「おい高木、この映画も面白いけどさもうちょいエロい映画とか無いのかよ。なんならエッチいビデオでもいいぞ」
「そんなの入れてねぇよ。てか見たいなら自分の携帯で見ろよ。俺のタブレットをお前の欲望で汚そうとするな」
「え〜、お前らも見たいよな」
「「「あり」」」
「鉄矢くんまで……僕はいいかな」
「おいおい宇多くん、男ならエッチいビデオ見たいだろ!」
コンコンッ!
昨日に続きいきなり部屋のドアがノックされる。
「はっ、は〜い」
「美山先生で〜す。虹夜くん、明日の予定の確認をするのにちょっといいかな?」
なんてタイミングで美山ちゃん来るんだよ! 今の話聞かれてないよな……
「りょ、了解で〜す。て、ことで行ってくるわ。映画ここで止めといてくれよ」
「嫌だよ。行ってら」
部屋を出て美山ちゃんと大広間まで歩く。
「男の子だから仕方ないけどエッチな話はもう少し静かな声でしてね。廊下まで響いてたわよ」
聞かれてたーーー!!!
ま、そんなエグい話はしてないしこれぐらいなら特に問題はないっちゃないか。
大広間で待っていたイインチョと中谷さんと合流し明日の予定の確認をする。
てかイインチョも中谷さんもパジャマじゃないですか〜。これはラッキーですわ。副委員しててよかったなと少し思った。
「てなわけで朝ご飯を食べ終えたら部屋の片付けをして九時にはここを出発だから三人は八時四十五分には玄関前に集合しててね」
「「分かりました」」
「はいよ〜。俺はまた点呼でいいんだよな?」
「そうね。行きの時とやる事は同じね」
「了解しましたー。じゃ、そういう事でおやすミンミンゼミ」
「……おやすみなさい虹夜くん」
「……おやすみなさい」
おぉ苦笑い。今のギャグはさすがに三人に受けなかったらしい。我ながらクソギャグだった。
「おやすみ虹夜くん。さぁ、お風呂お風呂〜」
美山ちゃん今からお風呂なのか。先生はなんだかんだで忙しいものなのか。
美山ちゃんお風呂か〜。あのナイスボディーの美山が今から風呂ねぇ……いかんいかん、妄想が爆発するところだった。抑えたまえ俺よ。
てなわけで部屋に戻り間が飛び続きのよくわからない映画を鑑賞し就寝時間に。布団に入り電気が消える。
……ブッ!
「おい咲都ふざけんなよ!」
「ハッハッハッ!」
「「「「……クセェッ!」」」」
「……臭いよ虹夜くん」
ーー朝になり朝ご飯、部屋の片づけを終え玄関前に行く。
みんなの点呼を終えてバスに乗り山の家を後にした。
初日には二つの戦争を味わい晩御飯に作ったカレーはかなり美味しいかった。
二日目は数日ぶりにあらわれた空間に入ることになった。
今回は初めて魔法を使い俺が敵を一体、自分の力で倒した。そして他の時間はほぼ勉強……。
小、中に続き三回目の山の家だったがなんだかんだで退屈はしなかった。むしろ楽しめた方ではないだろうか。
しかし疲れたな。帰りのバスは寝るとしようか……
「さぁみんな! 帰りのバスも私がガイドをするわよ! 家に帰るまでが遠足ってよく言うじゃない? みんな帰るまでテンション上げて行こー!!」
相変わらずテンションの高い美山ちゃんがマイクを持ちノリノリでバスガイドをしている。行きも帰り同じ道なんですけどね。
というか……うるさくて寝れねぇ!
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