二章 11 『美山先生の連続攻撃。効果は抜群だ!』
二章 11 『美山先生の連続攻撃。効果は抜群だ!』
目覚ましと同時に目を覚まし体を起こす。
昨日一日中振り続いていた雨は上がっているようだ。今日は濡れなくて済みそうだな。
月曜日の朝、学生なら誰もが思うことだろう。
「あぁ〜もう朝かよ……学校だりぃ」
と。
トイレ、歯磨きを済ませて食パンを焼きその間に制服に着替える。朝ごはんを食べ終えると数分ゆっくりする。
で、晴香が来るので玄関へ。
「おはよう咲都。今日は珍しく呼ばなくても出てきたわね」
「おう。なんか久々に規則正しく寝たからか目覚まし通りに気持ちよく起きて支度出来たしな」
「ふ〜ん。じゃ行くわよ」
いつもの道をいつものように歩き学校へ。
「晴香さ、友達とかできたのか? 確かお前のクラス知ってるやつは居なかっただろ」
「それぐらい心配されなくても大丈夫よ。別に咲都や鉄矢が居なくても寂しいとかはないし」
「ほおほお。その友達ってさ、可愛いのか?」
「……さぁ。私から見たら可愛いけど咲都から見てどうかは分からないわね」
「じゃあ今度紹介よろしく」
「え〜、あんたみたいな変態に友達を紹介して何かあったら気が気じゃないわ」
なっ、失礼なやつめ。さすがのオレも初対面で何もしないわ。てか何かする度胸もないですわ!
しかーし、そうか可愛いのか……これはちゃんと紹介して貰わねばな。
「そういや今日テスト返却ね。咲都ちゃんと返却されたテスト見せなさいよ」
「……へぇい」
お前はオレの母親か何かかよ。
中学の時から何故かオレのテストを見て怒ってきやがる。まあ怒られるのはオレの点数が悪いからだが。
実の母親が仕事で忙しいからそういう面に気を使ってくれてるのかも知れないが怒ることはないと思うんだけどなぁ。
境内で掃除のおじさんと挨拶も済ませ学校へももう少し。
「して晴香さん、今日のパンツは何色で?」
「え? し……あんたねぇ!」
「そうか白ですか。冗談のつもりだったのにまさか答えてくれるとは」
「はぁ。ほんと咲都は変態真っしぐらね。他の女の子にそれしたら嫌われるわよ。私って寛大よね」
さすがにしませんわ。出来ても晴香か瞳姉ぐらいだよこんな冗談言えるの。
たまに晴香をこういう冗談でからかう。晴香は表情豊かだし今みたいに恥じらっても怒っても見てて楽しい。
ーー学校へ着くと晴香は自分の教室へ。オレも自分の教室へと向かう。
教室に入ると当たり前のようにオレの席に鉄矢が座っていやがる。
「よう咲都。今日はテスト返しだなぁ」
「おうそうだな……邪魔だどけ」
「へいへい、よっと。今日は放課後晴香とテストの点数の話か?」
「多分そうだろうなぁ。どうせまた怒られるんだろうよ未来のオレは」
「テストの時の自信はどうしたんだよ……あっ、そういや担任の美山先生がお前を呼んでたぞ。それを言おうと思ってお前の席に座ってたんだった」
「それ先に言えよ。まあサンキュー。職員室行ってくるわ」
美山先生はこれまた綺麗な担任の先生だ。まだ先生になりたての若いお姉さんみたいな感じの。
ちなみにテストの時の男の先生は副担任の元先生。通称げんさん。ベテランのお爺ちゃん先生だ。
そのうち美山先生にもあだ名つけてあげないとな。
綺麗な美山先生に呼ばれるなら大歓迎だ。デートのお誘いとかみたいな嬉しい話しだといいなぁ……しまった、まさか今のフラグになってないよな?
……嫌な予感がしてきた。
「失礼しまーす。美山先生いますか?」
「あぁ虹夜くん、こっちよ」
美山先生に呼ばれ座っているところまで行く。
「鉄矢から呼んでるって聞いたんですけどもしかしてデートのお誘いとかですか?」
「違います。実は虹夜くんにお願いがあるんだけど……」
げっ、このパターンは……
「クラス委員になってくれない? 実はまだ全員決まってないのうちのクラスだけなのよ」
やっぱりか……フラグ回収乙と。
しかもクラス委員になってくれだと? そんなのもちろん
「嫌です。てか何でオレなんですか?」
「だって虹夜くん部活やってないしその……暇そうじゃない? しかも五組の委員の天野晴香さんと仲良いし幼馴染って聞いたのよね。だからやってくれないかな〜」
オレが暇そうだと? 失礼な、バイトしとるわ! っと叫んでやりたいところだがそれは出来ない。なんせこの学校、実はバイト禁止なんだよなぁ。黙ってやってるけどさ。
しかもバイトがない時には大切な趣味の時間がある。
「めんどくさいし嫌なんですけど……てか他にも暇そうな人いるでしょ?」
「まあ他の暇そうな子にも聞いたんだけどみんなに拒否られてね……部活で忙しい子に頼むのも何か気が引けてね……最後の暇そうな人が虹夜くんだったのよ。お願いよ委員やって〜」
やって〜って子供か……しかも生徒に対して暇そうな子とか言うなよな。
……てか抱き着かないでくれっ。胸がオレの当たっちゃダメな所に当たっとりますわ。感触は最高だがこのままじゃやるって言ってしまいそうだ。
しかもこの感じは引いてくれなさそうな雰囲気だなぁ。
「ねぇお願い虹夜くん」
くっ……上目遣いでそれは卑怯だぞっ。完全に女を利用してやがる。多分美山先生の場合無意識だろうが。
だがここで押し負けてはオレの大事な趣味の時間が無くなって……
「あっ虹夜くん、髪の毛に何かついてるわよ。取るからじっとしててね」
「えっ?」
ーーグホァァァァァァア! 無意識の胸チラだと⁉︎ なんて先生だ……てか本当に先生かよ。もうちょい気をつけろよな……。
「分かりましたよ……やりますよ」
「本当⁉︎ ありがとう!」
ーームニッ
あぁまた胸が当たってますよ……これはオレの完敗ですわ。ヤベッ鼻血でそう。
こんな連続攻撃で落ちない男子生徒は果たしているのだろうか。
オレだから耐えたものの思春期真っ盛りの男子学生なんて下手すりゃ気絶ものだぞ。
「じゃあそういうことで教室戻ってくれていいわよ。ほんとありがとうね。委員の事で何かあったらまた言うから」
はぁ、結局なっちまったよクラス委員。本当にあんなの卑怯だよ。オレの最も敏感な欲を利用してくるなんて……。
またしてもオレの平和な日常に面倒な事が加わった。
ーー教室に戻るとまた鉄矢がオレの席に座っている。
「おぉやっと戻って来たな。で、話ってなんだったんだ?」
「デートのお誘いだったよ」
「はっ⁉︎ 嘘だろ!」
「……嘘に決まってんだろ。アホかお前。クラス委員やってくれって言われたんだよ」
「はっ⁉︎ 嘘だろ!」
「いや、クラス委員の方は嘘じゃねえよ」
「まさかやるわけないよな?」
「おっけーしましたけど……後悔は若干してるが」
「マジかよ……てか美山先生も思い切ったな。成績も良くない咲都にクラス委員やれなんてよっぽど他に人がいなかったんだな」
つくづくオレに対して失礼な野郎だこいつは。いつか後悔させてやる。
「でも咲都も何でやるって言ったんだ? お前なら絶対拒否するだろ」
「……理由は言えないな。自分でもアレで頷くなんてちょっと恥ずかしいわ」
「よく分からんけど先生なりたてでお前に委員やらせるなんて色んな意味で美山先生は侮れないな」
ーーで時間は進み朝の学活へ。
「ーーと言うわけで先生からの朝の連絡は以上です。それと決まってなかった三人のクラス委員の最後の一人を虹夜くんがやってくれる事になりました〜。虹夜くん、何か皆んなに一言っ」
「え〜よく分かりませんがやることになったのでよろしくです」
軽く拍手が鳴り響く。
「よしよし。っというわけで虹夜くんには二人いる福委員長の内の一人をしてもらいます。委員長と副委員長の三人、改めてよろしくね」
あぁマジでやることになったのか。鉄矢も同じような感じでこっちを見てやがる。
まあでもやるからにはそれなりに頑張るしかないか。何をやるのかまだよく知らないけどね。
「じゃあ皆んな、今日は最後の六時間目以外テスト返却だからしっかり間違ってるところを理解して復習するように」
キーンコーンカーンコーン……
そんなこんなで朝の学活が終わる。
「改まして、私が委員長の嵯峨野です。よろしくね」
「で私が虹夜くんと同じ副委員長の中谷です。よろしくお願いします」
「あぁ、よろしくお願いします」
委員長もオレと同じの副委員長も女の子だったけか。二人ともタイプは違うがそれなりに可愛い。これだけでモチベもかなり上がるってものだ。
「お前が副委員やるなんてまだ信じられねぇよ。晴香がどんな反応するか楽しみだな」
テスト返却よりも前にとんでもないことになってしまった朝だった。
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