第13話
「海翔」
由香里が声をかけてくる。
「なんだ?」
「明日さ、日曜日だけどどうする?」
「なんか用事あんの?」
由香里が何を言おうとしているか俺には掴めなかった。
「別にないんだけど、何処かでかけてこようかなー、って」
「ふーん、いってらっしゃい」
そこで由香里が驚いたような顔をしてこう言う。
「なんでそうなるの!?」
「は? 何言ってんの?」
すると由香里は呆れたような顔をして、
「もういい」
と言う。
何でそんな顔をするのか。
俺には何も分からない。
「何か言いたいことあんなら言えよ」
「もういいよ」
相変わらず怒っている模様。
お前が良くても俺はよくない。
「私明日ららぽーと行ってくるから」
「いってらー」
俺は由香里が何を言いたいのか、俺に何を言わせようとしているのかが分からないので、取り敢えず無難な言葉を返しておく。
「ふぅん、海翔って意外と、」
そこで言葉を止める。
「何だよ」
「別に何でもない」
そして由香里は布団をかぶってこう言う。
「もう寝る、おやすみ」
「え? ああ、おやすみ」
由香里が何を言いたいかが結局わからないまま俺は寝ることになった。
「何考えてんだかな」
俺は布団の中で小さく自分でも聴こえないくらいの声でつぶやく。
そしてスマホを出す。
ツイッターをあけ、
「女子が『あした遊びに行ってくる』と言ったから『いってら』と言ったら不機嫌になったんだけどどういうこと?」
と投稿する。
返事は明日には届くだろう。
俺はそのまま眠りにつく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます