第242話 カナデから見て

(聞いていた以上に優秀だ・・・・・・)

 落ち着いて見ると、初対面で感じた独特の威圧感も薄れて来た、頭二つ分以上背の高い事と、禿頭ならぬ坊主頭の存在感、私の胴体ほどはあろうかという腿の太さやら何やらと、何時でも私を殴り殺せそうな体格も含めて、同僚達から伝え聞いた酷い貴族のイメージやらなにやらの色ガラスも有って変な怖さを感じたのだが、今となってはそんなモノ何処に有ったのだろうと言うぐらいに綺麗に霧散している。

 妻として4人も迎えて、誰からも怖がられても居ない事や、アカデ義姉さんの解説も有って、変なイメージはもう無い。

 因みに領主としての状況だが、書類仕事で最後の判子を任せるのはお約束だが、その前段階の書類もきちんと処理できている、仕事が溢れた時はお姉が手伝ってくれるし、和尚さんも灯さんも知識階級だったらしいが、二人揃って私達も一切知らない様な変な知識を沢山持っている、一体何処で学んだと言うのだろう? 私達がこの国では最高の学校で学んで居た筈なのだが、本当に世間は広い。

 対して一部の常識が丸っきり抜け落ちているので、ソレの制止兼補助としてエリスさんとアカデ姉さんが付いている様だが、愉しそうに煽っていたりするので、制止出来ているのかは不明なのだが。

 ダモクレス暗殺計画の首謀者として、領主のついでに首が飛んでいたこの地方のギルドマスターの件については。和尚さん達が、この地で領主になる前に冒険者をやっていたお陰も有ってか、意外と顔が広いというか。粛正後、人手が足りなく成った場合に各地である程度人員を融通していた関係上、元の地方で働いていた人員も流れ込んで重要ポストに入っていたため、何の問題も無く流れるように和尚さんが領主兼ギルドマスターとして据え付けられた、兼任は辛いのでは無いかと思ったが、両方前任者達より評判が良くなっているので、以外と問題なく回っている様子だ。

 ついでに、館に残っていたメイド達との関係も特に問題は無く良好な様子だ、連れていたお手付きメイド兼奥様枠らしいクリスが筆頭メイドとして力関係が再構成された、元から残っていたメイド達はそう言った権力争いしたい様な、出世欲が有る者達では無いので大した混乱は無かったのは、良くも悪くも色々有ったのが幸いした様子だ。

 そして、姉さんに言われた様に、そう言った対象、嫁入り相手として見た場合なのだが、どうなのだろう? 今の所変なソツも無いが、特別な惚れる要素と言う物も見付からない、貴族同士の結婚と言う物は打算が主目的で、情やら何やらはオマケに近いが、家柄の何やらはもう無い私は色々自由で有る、姉さんが一緒に付いてくるのが一番の利点だろうか? うーん?




 追伸

 眼鏡の概念と言うか色眼鏡の概念が余り有りませんが、不純物多くて緑がきつくて歪みまくるガラスは其れなりに存在するので、結局歪みまくってガラスの向こうは碌に見えません。そんな感じの慣用句。

 窓ガラスは吹きだし法を切り開く奴が一般的。昔和尚達がやった、無色透明の鉛フロート平面板ガラスはまだまだ普及して居ない特殊技術なので、一般流通ではめっちゃ高価、設備投資分は出資者の配当金で既に回収済みです。

 尚且つ、既に注文と納期は王侯貴族相手に年単位で延々と積み上がって居るので、最早当人達も何が何だか分かっておりません。

 因みにガラス窓は寒く無く明かりが取れるので、無色透明でなくても其れなりに需要はある。

 クリスの実家では窓ガラスを買う金すら無いので、丸っきり板の鎧窓です。冬場暗くて、明かりを採ろうとすると結局寒くなると言う、冬季鬱病を絶対に発症する嫌な欲張りセット。

 因みに、残っていたメイド達は元から行く当てや、実家に帰っても困る類の食い詰め状態なので、食い扶持さえ有れば文句を言う輩は居ません。更に良くも悪くも貴族怖いが前提に有るので、表向き貴族で有る和尚達と近距離で接触したいのは物好きのやる事と言う事で、結果的にクリスは丁度良い緩衝体と成っています。

 更に和尚達は時々とは言え、レシピ伝授や実験の為、自分で料理までして、仕事の領域で有る調理場まで入り込むので、料理担当まで要らないと言われるのでは無いかと、内心戦々恐々としていたりもしました、結局この辺をクリスが宥めて回ったりした。(この類の権力構造に置いて、人の仕事を取っては行けない)

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