第200話 少女と冒険者、石との出会い(少女視点)

 気が付いたら病院に居た、頭に大きい怪我をしていた、危ない所だった、髪の毛切っちゃったからゴメンと言われたが、正直よく覚えていない、それ所か、お父さんとお母さんの顔も思い出せない、その時は混乱してるだけと言われたが、お父さんもお母さんもお見舞いには来てくれなかったので結局本当の両親と言うのは判らない、退屈で寂しかった私は近くで寝ていた人に無差別に話しかけ、一番優しく、沢山話してくれた人に懐いた。


 その人は片手が無くて、痛いだろうに誰に八つ当たりする事も無く、只優しく楽しそうに色々話してくれた、他の大怪我をした冒険者の方々は言葉も行動も結構荒っぽい人も居たので、流石にそう言う人は怖くて話しかけられなかった。


 そして、その一番懐いていた人の退院の日、物陰からこっそり見送っていた私は、不意にその人に呼ばれた。

「うちの子に成るか? いや、それじゃあ判り難いか? 一緒に来ないか?」

 言葉に迷った様子で、そんな事を言われた。

 当てが無かった私は、こういう時は如何すれば良いのだろうと悩み、最終的に無言でその人の足にしがみ付いた。


「改めて自己紹介、ジンだ、好きに呼んでくれ、お父さんでもお兄ちゃんでも・・」

 そんな事を言われても。何と呼んでいいのか分からない、最初から決めてくれた方が私としては楽なのだけど・・・

「リズ、よろしくお願いします、ジンお兄ちゃん?」

 名前は来ていた服に刺繍してあったらしいので、そう呼ばれていた。

 お父さんと呼ぶほど年が離れて居る様にも見えなかったので、お兄ちゃんと呼ぶことにした。

「そんなに構え無くて良い、ゆっくり慣れれば良いから」

 優しく頭を撫でてくれた。



 手を繋いで一緒に歩く、ジンお兄ちゃんは私の足が遅い事を気にする事も無く、只優しく手を繋いだまま歩調を合わせて居てくれた。

 ギルドに着いた時は、とても手慣れた様子で窓口の人と話すと、当然のように金のお金が出て来た、初めて見る金色のお金に目を丸くした、あまり良く知らないけど、冒険者と言うのは凄く稼げるお仕事なのだと理解した。


 その後、市場を一緒に歩いて居ると、不思議な歌が聞こえて来た。

「エックス~♪ おれたちエックス~♪」

 思わず足を止めてきょろきょろと周囲を見回す。

 いや、これは歌なのだろうか?

「けんきゅう~♪ せいかは~♪ わ~たせ~ない~♪」

 調子が外れて居て、素っ頓狂で、曲なのか微妙だ。

「あ~ふ~れ~る~♪ せ~い~か~♪ て~にしたいなら~♪」

 そしてこんな変な歌だか曲が流れて居ると言うのに、周りの人が気にした様子も無い。

「つよくつよく♪ かが~くを~♪ しんじること~さ~♪」

 そしてこんな変な歌だか曲が流れて居ると言うのに、周りの人が気にした様子も無い。

 ジンお兄ちゃんの顔も見上げて見るが、どうやら気にした様子も無い。

「何かあったか?」

 きょろきょろとしている私に違和感を感じてらしく、聞いて来る。

 良く分からないけど変なのが有ると、自分でも良く分からない事を言うと、良いから行って見ろと、背中を押してくれたので、その変な歌の出所に向かって歩き始めた。

 その変な歌(?)の出所は、店先に置いて有る一つの石だった、石が罅割れた部分に何かきらきらする模様が入っている、初めて見る模様だった。

「気に成るか?」

 お兄ちゃんが店の人と話して其の石を手に取って、一通り見た後で、私に渡してくれた、私は、其の石を手に取った時、其の石と、目が合った気がした、我ながら変な事を言って居るとは思うのだが、そう感じたのだ。

 其の石と暫く目を合わせて、睨めっこする、どうやら、その様子を見たお兄ちゃんは、私がこの石を気に入ったのだと思ったらしく、手慣れた様子で店に人と交渉し、大銀貨と言う大金を、あっという間に半分の銀貨5枚にして、(それでも高いと思うのだが)特に迷う事無く買い。

 後で、片方しか無い手で四苦八苦しながら只の石をアクセサリーにして私にプレゼントしてくれた、お手伝いのお駄賃は、銀貨銅貨以前の鉄貨だった私は、とんでも無い物をプレゼントされてしまったと驚いた物だ。


 そして、やっぱり冒険者と言う物は稼げるのだと認識して、お兄ちゃんも凄い人なのだと納得していた。


 其れが、私とジンお兄ちゃん、それと、変な石、エックスとの出会いだった。




追伸

この変な歌は勇〇王や、ダグ〇ンのリズムでどうぞ。

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