第155話 妻会議の続きと、彫りあがった物

「そう言えば、私が暫く待ちなさいって止めてたわね。」

 アカデさんが今更思い出した様子で呟いた。

「止めてたんですか?」

 灯さんが聞いて居る。

「うっかり力いっぱい抱き締めたら折れそうで怖かったから、本調子迄は待ちなさいってね?」

「確かに、あの時細かったですからねえ・・・」

「万一あの細いまま、子供出来ました、産みますって言ったら、怖いですね・・・」

「お腹の子供が栄養不足で発育不良に成りそうです・・」

 揃って納得した様子だ。

「今の体格なら、あの時より安心よね?」

「あの時、そもそも月の物止まってましたから、ある意味大丈夫ではありましたけどね・・・」

 灯さんがそんな事を言う。

 あの時は助けられた後も暫く止まって居たので、本気で大丈夫なのかと相談して居たのだ、アカデさんに聞いた所、灯さんに聞けと振られた、実際、とても詳しくてびっくりした。

「当たるの前提で話してますけど、当たってから考えましょう?」

 堂々巡りに成りかけているのをエリスさんが〆る。

「しっかし、当てる為のアレなんですよねえ・・・」

 灯さんが不思議な事を呟いた。

「子作りなのだからやればできるのでは?」

 思わず口に出して居た。

「ああ、ゴブリン何かと同じ妊娠率100%感覚なんですね・・・」

「しばらくアレだったから、その感覚抜けてなかったのね・・」

「あんまり話す事でも無いですしね・・」

「覚悟できてるのは良い事だけどね?」

 3人が納得した様子で話して居る。

「ちょっと前準備で話しておきましょうか?」

「嫌なこと思い出すかもしれないけど。」

「ゴブリン何かはキングが卵産んで、ホブが精子かけると、ほぼ確実に生まれて来るけど。」

 其れは自分のお腹で嫌と言うほど体験した・・・

「人同士だと、女の私達のお腹の中に予め卵が有って、その中にある卵が順番に月1ぐらいで所定の場所に出て来て、その時にタイミング良く男の人の精子が付けば生まれるって感じで。其の準備出来てますって言う意味でも月の物が来るわけですが・・・」

 男の人に子種を貰えば生まれるとしか聞いて居ないので、色々驚きの知識だ。

「結局、何回やって出来るかは、実際やって見ないとわかりません。」

「意外とできないのですか?」

 その言い方だと、凄く出来難そうだ。

「私達で1・2か月かかりましたっけ?」

「早かったと言うか、私たち若かったから、タイミング良かったとかだと思いますけど。」

 エリスさんと灯さんが、少し懐かしそうに振り返って居る。

 こうした時の2人は、私達から見ても魅力的に見える、私もこうなれるだろうか?

「そんな訳で、先ずは、赤ちゃん目標じゃなくて、くっつけることを楽しんでください、最初は独り占めできるようにおぜん立てしますから。」

 楽しむ物なのだろうか?内心首をかしげるが、そう言うのだから任せよう。



和尚視点

「何でこんな出来上がりに?」

 彫りあがった仏像を見て首を捻る、大自在天を掘って居たはずなのだが、何故か座布団や足拭きマットな位置取りの小道具扱いな餓鬼と言うかゴブリンの顔つきが、何処となくぶくぶくと太った汚い豚の様な人間?の様な物に成って居た、この顔に見覚えは無いな?と、不思議に成るが、仏師が仏を掘る際には、木の中に既に居る物を彫り上げると言われるので、何か憑いて居たのだろうと、気にしない事にした。

 因みに、大自在天の小鬼(ゴブリン)の扱いは、多面多比の手で握り潰される役である・・・


 後日クリスが、この大自在天を見て何とも言えない表情を浮かべて居たのは別の話だ。

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