第142話 効果とお約束
「昨日の今日で既に目付き違うと言うか、表情違いますね、使用前使用後で画像比較したい位です。」
揃って朝ご飯を食べて居る時に灯が感心した様子で呟いた。
「どれ位?」
「初めて会った時よりは明らかに可愛くなりましたよね?」
「ふむ。」
改めてアカデさんの顔を覗き込む、目を合わせると、キョトンとした顔で此方を見ている。
アカデさんの顔が段々と顏が赤くなって来る、目付きが初期の張りつめた感じから緩んだと言うか、優しい顔つきに成ったか?ついでに口元が緩んで口角が上がって居るか?確かに色々別キャラか、服装も男物から女物で全く違うし。
「確かに可愛くなったかな?」
ぼふっ
アカデさんが噴き出しかけて一瞬で赤くなった。
「食事中の不意討ちは反則ですね・・・」
灯が呆れた様子で見ている。
「しっかり可愛がってもらえました?」
エリスがしっかり追い打ちを入れた。アカデさんが反応して更に赤くなる。
「・・はい、それはしっかり・・・」
真っ赤な顔で返している、どうやら先に嫁と成って居た2人には敵わないらしい。
「夜は基本的に和尚さん取り合い状態になるんで、可愛がって貰いたい時は順番ろーてーしょんで行きます?」
灯が隠す物は無いと言う様子で提案する、現在の寝台が既に4人で寝るには狭すぎると言うか、3人で既に無理矢理ベッドを2台連結しているので。安定感が無い。
「いや、流石に色々悪いので、私は別の部屋で、一人の時間が長かったので人が居ると落ち着かないので・・」
アカデさんが辞退する。
「じゃあ、もう一部屋開けないといけないわね?掃除はお願いね?」
義母上が混ざって来る、この家は前領主の屋敷を修理改築したもので、結構大きく、使って居ない部屋が有るので多少増えても問題無いらしい。
「はい、それぐらいは喜んで。」
「宿なしでギルド解体場の主やってたのがやっと部屋持ったか、と言う身内か・・」
義父上が遠い目をしている。
「可愛がって欲しい時は言って下さい、貸しますから。」
「まるっきり所有物だな・・・」
自信満々に言う灯に思わず突っ込みを入れる。
「一人の身体じゃないんですから、主に私達の所有物です。」
そうなるらしい、エリスも頷いて居る、まあ異論は無い。
因みに、この世界の婚姻は貴族王族の類は兎も角、一般市民の場合はほぼ事実婚で、ほぼ何の手続きも無いらしい、結局一緒に住んで居ればほぼ夫婦扱いである。
この家も義父上が末席だが貴族枠なので結構アレだが、成り上がりの半ば一般人枠で他の貴族との付き合いもほぼ無いのでそう言った事はどうでも良いらしい。
自分が来てウルザが出来るまでは、義父上自身、其のまま消える一代貴族の予定だった様なので其のままで良かったらしいし、跡継ぎの話が立ち上がったのつい最近だしで、跡継ぎ候補にされた自分も半信半疑だったりする、暫く置いて置けば落ち着いて、やっぱウルザの方に継がせると言う話に成るんじゃないかと思われる。
程よく保留で行こう・・・
食事後、義父上は先にギルドに向かって出て行った。相変わらず仕事に追われているらしい。
「そう言えば、私達の間ではお約束の儀式が有るんですけど、アカデさんもやっておきます?」
灯がニヤニヤと笑顔を浮かべてそんな提案をしている、指輪をアピールしているが、またやるのか・・・
「一体何を?」
アカデさんはきょとんとしている。
「指輪を交換するんです、最近流行ってるんで、如何です?」
エリス迄混ざった、逃げ道埋まって居るパターンだ。
「ええっと・・・」
アカデさんが助けを求める様子でこちらを見る。諦めて下さいと言う意味で苦笑いを浮かべて見せた。
さてと、どんな口説き文句が喜ばれるだろうか?
流石に良い歳で店頭と言うか街頭の晒し者は恥ずかしいと言う事で、大人しく家に戻ってやる事に成った。
「これからも私の横で研究に邁進してください。」
自分でも口説き文句としては謎なのだが、明らかにロマンチックの方向では無い。
「喜んで。」
何を言われるのかと思って身構えて居たようだが、此方の一言に力が抜け、安心した様子でその返事が帰って来た、まあ、間違えてはいなかった様子だ。
アカデさんの指に指輪をはめる。
ではこっちの番と言う事で、此方も構える。
「これからも、色々教えて、可愛がってください。」
「はい、喜んで、まかされました。」
顔を上げると、真っ赤な顔で笑顔を浮かべて居た。
「はい、おめでとうございます。」
灯とエリス、義父上が微笑ましい物を見たと言うほのぼのとした様子で拍手を送って来た。
「これ・・・嬉しいんですけど、すごく恥ずかしいんですが・・・」
アカデさんが恥ずかしそうに愚痴るが、口元が笑って居るので、どうやら喜んでいるらしい。
「大丈夫です、私とエリスちゃんはあの店の前で街頭で、野次馬の中心でやりました、恥ずかしいだけで死にはしないので笑い話です。」
「一生の恥とか言われませんでした?」
アカデさん、其れだと俺と居るのが恥ずかしいと言う意味にも成るのですが・・
「言われませんでしたね、堂々としてて大丈夫です。まあ、機会があったら又やりましょう。」
「その時は私も。」
灯とエリスは次回が楽しみなようだが。
「そんなに毎回やる物か?」
「毎回やりたいのです、慣れると良い物なのですよ。」
灯が笑みを受かべて答える。同感ですと言う様子でエリスが頷いて居る。
「期待されてるなら応えるが、また今度な。」
口説き文句を考えなくては・・
この方向では語彙力が足りない自分を恨みたい気分だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます