第134話 最後の〆
無事村に戻り、ギルドに報告とクマと竜の納入の為に立ち寄ると、一般冒険者に前回、ゴブリン防衛線の報酬の支払いが始まって居た、報酬を受け取った冒険者たちは一様にほくほく顔だ、払いが良かったのだろうか?
受付で義父上を呼び、裏の解体場でブラッディベアとドラゴンを虚空の蔵から取り出す。
義父上は、また此奴らは、と言う様子で頭を抱えていた。
アカデさんは改めて観察の時間ですと言う様子で死体に張り付いた。
今日は此処でお開きらしい、此方も防衛線の報酬をと言った所、奥の執務室で払うと言われた、金額が大きいので表で払う訳に行かないらしい。
因みに、ちゃっかり大金貨で支払おうとして、エリスに通常金貨でよこせと突っぱねられていたりもした、店が本気でつり銭に困る事に成るらしい。成程、本気で邪魔な扱いなのか・・・
因みに、報奨金がPT3人で大金貨10枚だった、一番槍なのでそれぐらい出しても問題無いと言う事らしい、出しすぎじゃなかろうか・・・・
もう一寸少なくても?と言った所、実質このギルド所属冒険者の中で一番活躍した奴に万が一でも支払いが渋かったと言われると他の冒険者の士気が下がるので黙って貰って置けと言われた、ただし極力使えと、武器を新調するか家でも建てろと言うネタ振りだろうか?。
序に言うと、一般冒険者の報奨金は基本で金貨3枚程らしい、それに活躍具合で色が付くと言う事で、クマさんも大金貨で出されそうになって両替に困るから小銭でよこせと言う一幕があったりしたようだ。大金貨5枚だったらしい。
困った場合、釣りはいらないで、其の分買ってくか、他の客奢りにして酒盛りにするというのがお約束らしい。
冒険者が金払いが良いのはそこら辺の文化も関係する様だ。
後日、民間人も冒険者も結構な数が亡くなったので、大規模合同葬と成り、お前も扱いとしては聖職者の一種だろうという事で、教会の神父さんと一緒にお経を上げると言う謎な状態になったりもしたが、特に問題には成っていない。
いや、成っていないのがかなり謎だが、予め神託有りでこっちに来たという事で、向こうとしても表立っては敵対するわけには行かないらしい。
そもそも、今この村に居る聖職者と言うか教会関係者が神父さんと産婆さんだけで、顔見知りなので、敵対するにも今更感が有るのかも知れない。
上層部にまだ伝わって居ないだけかもしれないが。
仏教の普及(宗教侵略)としては、この調子でじわじわと日常生活に浸食出来れば理想的だろう。
戦闘の参加者達に無事報奨金が払われたので、懐が潤った冒険者たちがこぞって酒場に繰り出し、色々と特需となり、葬儀と言うより祭りと成っていた。此方の世界は死が身近にある分だけ、其処の切り替えが上手いのだろうか?
湿っぽいテーブルも有るが、どうやらうまく共存しているようだ。
少しだけ付き合えと義父上と一緒に酒の席に呼ばれた、現在酒が飲めない灯とエリスを口実に逃げようとしたが、「たまにはいってらっしゃーい」とにこやかに送り出された、珍しい・・・
卓には義父上とクマさん、神父さんしか居ない小さなテーブルだった。
騒がしくする訳では無く、静かに話そうと言う雰囲気だ。
「こうして無事今回の騒ぎを乗り越えられた事を嬉しく思う、死人も出たが、出来る限り最善だっただろうとおもう、お互いの無事を祝って、乾杯。」
「「「乾杯。」」」
義父上の小さな号令で飲み始まった。
強めの蒸留酒だった、ワインよりは高いらしい。
「今回無事乗り越えられたのはアレだな、主に和尚だな、居なかったら俺の防衛線では潰される寸前だった。」
クマさんが俺を持ち上げ始める。
「いや、くまさん指揮する防衛戦安定してたから心置きなく飛び出せただけですが。」
打ち返して置こう。
「浄化の力も素晴らしかったですね、私の浄化では完全に毒を消すことが出来なかったので助かりました。」
神父さんが持ち上げ始める。今回はそういう流れなのか。
「帰って来るまで持たせえてくれて助かりました、あの時は残れませんでしたから。」
打ち返すにも限度がある。
「そろそろ箔付けも十分だと思うから。俺の後次いでギルマス兼領主に成る気は無いか?」
凄く雑な流れで前回のネタが掘り返された。
「と言うか、あの時のネタは本気だった訳じゃ無いですよね?役人が焚きつけたとかですよね?」
「半分本気だ。」
目が座って居る、疲れて居る所に酒が入って既に潰れ気味なのだろうか?
「この間生まれたウルザに継がせれば良いんじゃ・・・」
正直跡継ぎ争いは面倒過ぎる。
「未だ首も座らん赤ん坊に継がせても、俺が楽できんからな。」
ウルザは首が座る座らない以前の生後1週間で有る。
「其処ですか?」
「正直ウルザが一人前になるまで待つよりは和尚に押し付けた方が楽になる。」
短く見積もってあと15年か20年か・・・
「義母上の意見は?」
「エリス連れて外に行かれるよりはそっちの方が良いそうだ。」
何気に子煩悩だ。と言うか、既に話して同意取って居るのか・・・
「もう一寸冒険者でやらせてもらいます。」
一先ず保留だ。
「手強そうですね。」
神父さんが笑って居た。
「所で、正式に宗教侵略始めて良いですか?」
「どうぞどうぞ。」
変な事を言ったら歓迎された。
「本気ですか?」
思わず聞き返す。
「こんな所まで本部の目は届きませんから、貴方の神を崇めるだけで苦しんでいる人が助かるのなら何の問題も有りません。」
どうやら本気らしい。
「所で、何時まで初級冒険者なんだ?」
クマさんが聞いて来た。
「ギルマスの匙加減次第ですね?」
義父上の方を見る、本部から隠す名目らしいが、何処まで効果が有るのか不明だ。
「しばらくは其のままで頼む。」
「だそうです。」
「ギルド最強の初級冒険者とか呼ばれてるからな?変な方向で目立ってるぞ?」
クマさんからもツッコミが入るらしい。
「無理やり隠すにも限度があるんじゃあ・・」
既に目一杯目だっている。
「冒険者が口コミで流す噂話は9割以上酒の席の法螺話だからな、こっちで書類潰してる内は言うほど伝わらんさ。」
そんな状態らしい。
「この間の役人は?」
「アレは例外だ・・・」
思い出した様子で義父上がぐったり潰れた。
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