第133話 アカデさんとの夜明かし
顕微鏡で見れる微生物やウイルスの概念に付いてアカデさんに質問攻めにされた。
実際問題単レンズ顕微鏡での倍率は純粋な硝子レンズのサイズ次第で見え方が変動するので、実際作って見ないと何とも言えないので期待しすぎるのはアレですよ?
此方の世界でも同じ物が居るのかは分からないので分類も怪しいですし・・・
未だ他にも寄って来るかもと言う事で撤退の夜明けまでは死体は其のままとなった、最終的にこの位置まで奥地の生き物が寄って来ては拙いので虚空の蔵で持って帰って硝石丘にしてしまおう。量が本気であれだが・・・
腐っている分は烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)の浄化の炎で纏めて燃やせるだろうか?汚物満載の肥溜めを浄化した逸話の有る烏枢沙摩明王なら行けるだろう。
「所で、何でこんな事に成ってるんだ?」
女子会のノリで3人が風呂に入った所、一緒に入ろうと呼ばれた、狭いだろうに・・
嫁枠の灯とエリスはともかく、アカデさんは如何なんだ?
「まあ、色々有りますので、話し合った結果大丈夫だろうと言う流れです。」
灯が謎の説明をする
「色々有りませんから。下手な反応はしないだろうと言う事です、その上でご感想をどうぞ。」
アカデさんが堂々と言う。有りませんとは何なのか・・
「何と言うか、私からも何と言って良いのか分かりませんので、ご意見を求めます・・・」
エリスも反応に困って居るが、どうやら此処に自分が居ること自体は問題無いらしい。
「で、私はどちらに見えますか?良く見た上でお答えください。」
アカデさんが裸で風呂から立ち上がった。何も隠す物は無いと言う様子だ。
見て良いのだろうかと思うが、見た上でのリアクションを求めて居る様なので、有難く見せてもらうとしよう。
「?」
体中に小さな傷跡と、下腹部に大きな傷が有るように見えるが、普通に女性の身体、だと思う。体のラインも筋肉もうっすら付き、程よく引き締まっていて、見苦しい点は無い。
「女だと思いますが?奇麗な身体だと思います。」
そうとしか言えない。少なくとも男には見えないだろう。
「子供産めないとしても?」
産めないのだろうか?
「問題は其処では無いでしょう?本人と周囲の認識次第であって、少なくとも女と見ますが?」
初対面の外見は若干中性的だが、言われてみれば女だし、話した上では性別よりも研究者が先に出るので、自分の性別が認識的にどっちに振って良いのか判らなくて一人称が俺だったりしたと言う落ちなのだろうか?
「初対面では?」
「うちの二人が初対面で女と認識したので女だと思いますが。」
「成程、理性的なお答え有り難うございます。」
特に照れた様子も無く、そんな一言を返し。アカデさんは改めて風呂に体を沈めた。
「結局これはどういう流れだったんだ?」
思わず聞いた。
「昔の事故で子供が産めない状態になってしまったので、自暴自棄で性別の自己認識が曖昧なのだそうです。」
灯が有る意味予想通りの答えを返して来る。恐らくかいつまんでであるが。気を使って居るのだろう。
「ゴブリンに捕まって、救助のタイミング悪くて、其れでも助ける方法として、お腹の中に居るゴブリンの幼生体を子宮ごと取り出されたんです、今は例の結果が上手く行けば色々無事に済む予定ですが、あの時は其れしか有りませんでしたから・・・」
アカデさんはあっけらかんと、あっさりと重い過去を語った。自分の中ではある程度整理が付いて居る様子だ。まあ、巻き込まれる此方の空気が重くなるのだが。
救助のタイミングが奇跡的に早くて助かったエリスが気まずそうだ。
更に言うとゴブリンに出くわす前に俺と合流して無事だった灯も内心で比較対象となるので、リアクションに困ると、一緒に行動して居なかった場合その対象だったし。
「其れで意地に成って、研究に突っ走って今に至ると。」
「そういう訳です、初対面で私を女だと認識して威嚇してくれたのは何気に嬉しかったんです。」
女3人裸でいるが暗いと言う、何とも言えない状態だが、之で色々暗い空気を飛ばすと言うと・・・
「所で、俺も入って良いですか?」
エロ坊主モードである・・・
「果てしなく狭いですね・・・」
結局、灯とエリスは拒否する必要も無く、アカデさんも色々開き直って居るので、そのまま入る事となった。
順に入れ替えて体を洗って居るが、体格的に大柄な俺が入れ替わりに入って居るので、小柄な3人で入って居る時より明らかに狭い。お互い大きくぶつからない様に身体を小さくするが、狭いので多少はぶつかる、灯とエリスは横に来ると其のままくっつくのでアレだが、アカデさんは嫁と言う訳では無いので多少は気を遣う。
それでも多少はぶつかったり触れるので、何とも言えない気分になるが、同意が無ければ手は出さないので、今回エロに走ってはいるが紳士モードである。
アカデさんの性別に関しては骨格が女なので、服を着こんでいる状態なら兎も角、裸ならどっちにしても女と認識されると思う。
職業病なのか、骨格と筋肉で男女を見分けるので当人の認識は正直どうでもである。自己認識が如何だろうと骨格と筋肉の作りは最初の性別で決まって居るのだ。
「所で、エリスさんと会った時、ゴブリンに襲われているのが私だった場合、同じ様に助けてくれました?」
「仮定の話は無意味ですが、ほぼ間違いなく助けたでしょうね。」
「もっと早く会いたかったです・・・」
アカデさんがため息を付いた。
「そうですね・・」
相変わらず空気は重いが、エロ方向に空気を壊した分だけ大分軽くなった。
ゴブリンネタは何処まで行っても暗くなるので困った物だ。
明け方にゴブリンの死体を漁って居る物が現れた、しっぽを含めて5m程の蜥蜴と言うか、小型のドラゴンだった、熊の5mはワゴン車サイズでみっしりしていたが、其れよりは大分体格的に大人しいと言うか、細い。
腐肉食だったのかドラゴン・・・
羽が有ったので飛べるらしく、実際攻撃が来ると言うより、飛んで逃げようとしたので、投擲槍の的となり皮膜が穴だらけになって墜落した所で灯とエリスの連携で杖の一撃によって頭を砕かれた、このサイズなら昨日の熊の方が強いな・・・
熊の縄張りで近づけなかった所で、熊が居なくなったから来たと言う落ちなのだろうか?
アカデさんが狂喜乱舞したのは言うまでも無い。
貴重な頭蓋骨が割れてしまったと泣かれたが、今回まともな刃物が無かったのであきらめて下さい・・・
流石に色々餌場に寄って来すぎなので、烏枢沙摩明王の真言で浄化の炎を出して、腐った死体の山を一掃した。
それでも燃え残った分は纏めて虚空の蔵に入れて置いた、死体の放置が想像以上に危険すぎる・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます