第131話 報告と依頼

「あ、ちょうど良かった、ギルマスがお呼びですよ?依頼も有るそうです。」

 ゴブリン大発生の後片付けの大規模任務(ゴブリンの死体処理)を終え、色々と一段落が付いたので、ギルドも通常営業に戻って来ている。

「んで、誰の依頼です?」

 お約束だが、出所は気になる。

「前回と同じ様にギルマスに聞いて貰えば良いので、奥の執務室にお願いします。」

 結局必要な情報が出て来ない、しょうがないので諦めて義父上の下に向かう。

「来たな、話は聞いたか?」

 義父上は相変わらず執務室の机で書類に埋まっていた。

「ここに来れば分かるとしか聞いてません。」

 執務室で、義父上の他に居たのは研究者のアカデさんだった。

「前回はすいません。一番キツい仕事させてしまって。ゴブリン寄せは役に立ちましたか?」

 少し不安気な様子で聞いて来る。

「ええ、しっかり効きました、お陰で村が残ってます。」

 よく効いたお陰で異様な数のゴブリンに囲まれ、3人で孤軍奮闘する事に成ったが、全員無事生き残っているので特に問題は無い。

「お陰で目一杯囲まれました。凄かったです・・・」

 灯が皮肉を飛ばすが、納得ずくでヤッたので文句を言うのも今更だ。

 文句を言うとすれば、瓶の蓋の強度だろうか?

 スクリューキャップやコルクの圧入工法を伝えると言うのも結構無理が有る気がするので、保留だろう。


「まあ、色々言いたいだろうが、先に報告頼む、其れも聞きたいから此処に居るそうだ、まあ話せ。」

 義父上が先に要件を済ませてくれと促す、勿体着ける必要も無いので、話すとしよう。

「では、何処から?壁の上の防衛線から?ゴブリンの群れに飛び込んでから?」

「それぞれの冒険者から報告総合して報酬出すことにしてるからな、最初からで頼む。」

「はーい、では、其の辺から・・・」

 到着してクマさんから指示出されて手が空いたので其処等にナイフを投げたり、浄化治療して回ったり、休憩中にエリスと合流、夜明けと共に群れの先にゴブリンキングを見つけて、3人揃って群れの中に単独PTで突入、壁の残留組からの援護も受けて群を力尽くで横切り、群から抜け、火薬玉を使い黒色火薬の煙を煙幕に使い群れかを撒き、はぐれ気味のゴブリンを狩りながら群れから付かず離れずを維持して見つけたキングを槍の投擲で処理、其のまま群れの流を遡り、見つけたキングだかクイーンだかを片っ端から投擲槍で処理、槍の在庫が無くなったので、槍に仕込んであった梵字で巨大な魔方陣(曼荼羅)を作って大規模浄化結界(金剛界曼荼羅)を起動、休憩後にゴブリン寄せを使おうとして、ゴブリン寄せの瓶を確認しようとした所で蓋が取れてこぼれていて、休憩無しで群れ相手の戦闘に突入、位置取りを調整する為に崖まで走り、後ろからの攻撃が来ないようにして、残りは3人で群れが襲ってこなくなるまでひたすら狩り続けて終わり、日が落ちたので野宿で一泊後に、韋駄天の真言による身体能力向上と、力押しによるワイヤートラップ無効化で帰還したと。その時の様子はクマさんにでも聞いて下さい。

 話し終えると、何時にも増してぐったりした様子の義父上が居た、いや、途中から頭の処理と理解が追い付かない様子で頭を抱えていたのは認識している。具体的には群に飛びこんだ辺りから、割と序盤で有る。

「こんな感じですが、如何脚色します?」

 口裏合わせは必要かと確認する。

「いや、法螺話にしか聞こえんからそっちが話す分にはもう其のままで良い。」

 如何してくれようと言う様子で片手で頭を抱えながら調書を取って居る、最初は其のままメモを取るらしい。

「何と言うか、すいません、ちゃんと蓋閉まって無くて・・・」

 アカデさんが深々と頭を下げる。

「まあ、こうして無事生きてるので大丈夫です。」

 取り合えず宥めて置く。

「結局服と装備が駄目になってやたら疲れただけ何ですよね・・・」

 灯も先ほど言った愚痴以上の事は無いらしい。

「生き残ってるので大丈夫です。」

 エリスも特に文句は無いらしい。

「いや、普通死ぬからな?その自覚は持っとけよ?」

 義父上が無情に一般人と比較する、まあ、このメンバー以外で飛び込んで生きて帰れる気がしない、恐らく灯が鬼子母神の加護で爆発しなかった場合、群の物量で磨り潰される線が有ったのだ、襲撃のタイミングが色々な意味で悪かったので、逆に灯が都合良く爆発してしてくれたと言うのが正直な所だ、灯の性格、意外と情が深くて子煩悩だったので助かったと言っても良いのかもしれない。隊列崩れた時に背中を守ってくれて居たエリスの感謝も忘れては居ない。

「ええ、あんな無茶そんなにやってられません・・・」

 ぐったりと言うリアクションで答えるが、恐らくその役割が来た場合は、嫌でも飛びこむ羽目に成るのだろう。

 そんな事を考えて居たら。何気に灯とエリスがピタリと身を寄せて来ていた、恐らくそう成っても、何度でも付き合ってくれるのだろう、本当に、出来過ぎた嫁達である。

「まあ、恐らく御前等居なかったら防衛線押し込まれて村ごと無くなってた線だ。この地の領主として礼を言って置く。ありがとう。」

 義父上が深々と頭を下げた。

「どういたしまして。」

「何かご褒美出ます?」

 灯が身も蓋も無い事を言う、割と現金である。

「お義父さん、ご褒美・・・」

 エリスが駄目押しで要求する。

「そんな要求せんでもちゃんと払う、だが予算配分の関係が有るから少しだけ待ってくれ。」

 わかったわかったと言う様子で義父上が降参する、だが未だ出ないらしい。

「で、アカデさんの依頼は?」

 なんだかんだですっかりほったらかしだが、特に問題は無いらしい。報告も話も興味深そうに頷いて居た。

「ああ、前確認として、ゴブリンを狩り尽くした場所の死体は片付けては居ないんですね?」



追伸

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https://www.alphapolis.co.jp/novel/979548274/893260108

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