第90話 臨月のお楽しみ(前回の少し前)

「間々乳観音って在りましたよね?」

 突然灯がそんな事を言い出した。

「確かにあるけど、どうした?」

「いや、真言とかあったら、胸が膨らむんじゃないかと。」

「膨らませたかったのか?」

「女の子としても、それなりの大きさと言うのは憧れるのですよ。」

「残念ながら、間々乳観音は、あのお寺さんだけの特殊な御利益で、担当の仏さまが居る訳じゃないんだ。」

「残念です。」

 少し残念そうにしている。

「それに、女の子の胸なら大きくても小さくても良い物だから、男は其処まで気にしてないぞ?」

「いや、女同士でも無意識のマウントと言うんのはあったのですよ、つい思い付いただけです。」

「少なくとも俺は、足りない大きさだとは思わんし、好きだぞ?」

「それはありがとうございます。で、さっきのは前置きでして。」

 灯がこれから本題だと言う様子で話を続ける。

「母乳出るようになりましたけど、飲みます?」

 灯が自分の胸元を指差す。そう言えば少し大きくなっている気がする

 反応としては飲んでみたいけど。返事として咄嗟に浮かんだセリフが飲む~まま~ばぶ~だったので、やるには一瞬照れが上回ったので、固まってしまった。

「この期に及んで照れてどうするんですか…」

 灯がジト目でこっちを見てくる。

「すまん。一瞬キャラが崩壊しそうになった。」

「私等しか居ない空間で今更過ぎますね…其処まで深く考えないで下さい。

 良いですか?母乳が出るようになった、母乳は男の人が出す前の白濁液と違って溜まっても再吸収出来ないんです、胸の中で腐って詰まって乳房炎に成るんです。そうなると私が痛いだけなんです。母乳搾るか直接飲むか。絞って捨てるか、料理に投入するか、誰かに飲ませるか何です。産まれたら赤ちゃんの御飯ですけど。未だ産まれて無いので、消費出来そうな人に言ってみただけです。」

 一息にまくし立てて、改めて言って来る。確かに現状二人だけ、エリスも少しお出かけ中だ、照れるなと言われれば其処までだったりするが・・

「で、要るんですか要らないんですか?」

「要ります。飲ませて下さい。」

 勢いに負けた・・・

「ソレで良いんです。バブみを感じてオギャるのは自分でそう言う気分になった時で良いんですから。」

「其処まで読むな…」

「で、直ですか瓶ですか?」

 灯がニヤリと笑みを受かべて居る。

 ここまで来たら・・・


 灯視点

 毎回毎回ちょろいですねえ・・・可愛い所でもありますけど。

 倍近い年上が可愛いと言うのも可笑しな話だが、そう感じるのだからしょうがない。

 絶対にこちらを嫌ったり攻撃しないという絶対的な信頼の有る大型犬とか熊とかだと考えれば良いのだろうか?

 飲み終えてそのまま膝枕に移行、疲れて居たのか、落ち着ききってしまったのか、そのまま寝落ちしてしまった。

 そのまま押し倒されると思って居たので拍子抜けではある。

 まあ、今回の溢れそうな母乳は無事処理できたので良いのですけど。

 目の端に涙が見えたりする、お疲れ様です。


 エリスちゃんが戻って来た、羨ましそうにしている。

 そろそろこっちも足が痺れて来たので、交代します?

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