第36話 各所の反応 帰宅時 義母視点

 戸を叩く音が響く、まさか帰って来た?逸る気持ちで玄関のドアに飛びついた。


「ただいま、お義母さん」


 愛する娘が此処に居る、無地帰って来てくれた、それだけで嬉しい。


「おかえりなさい、エリス、無事でよかった」


 感極まって愛娘のエリスに抱き着くと、丁度エリスの影に隠れていた人達と目が合った。


「「どうも」」


 知らない言葉だが、二人共気まずげに軽く頭を下げた。何となくだが何を言っているのかは分かった。




「何もないけど寛いで行って下さい」


 それからエリスがさっくりと新しくPT組んだメンバーだとか結婚相手だとか説明してくれた、もっと早く説明してくれないと準備できなかったじゃないか、そんな説明している暇はなかったのでただの八つ当たりだが。新しく家族が増えるのだ、娘が旦那を連れてきた、それは大事な事だ、歓迎しなくては。




「お口に合うかしら?」


 先ずはお茶を出す、こういう時に出すお茶は砂糖を溶かす量で歓迎の気持ちを示すのがお約束だ、たっぷりと溶かした。


 一口飲んだ娘の旦那様と奥様、和尚さんと灯さんは甘さに驚いたようだが、ちゃんと全部飲んでくれた、これは歓迎を受け入れるという意味だ、良かった。




「クエストを受けて外に出たけど予定日超えても帰ってこなかったからどうしたのかと思ってあの人と一緒に心配していたのよ」


 本当に心配していた、最近この家を出たいような雰囲気であまり甘えてくれないし、帰ってくる事も少なくなっていたが、お別れの挨拶もなしに居なくなられたら私たちの生きがいもなくなってしまう。


「心配かけてごめんなさい、こうして無事帰ってきました」


 エリスがちょっと気まずげに改めて言う。本当に無事でよかった。


「帰ってきたと思ったら旦那様と第一夫人もつれてきたと」


 これはちょっと予想外だった、そろそろ相手を探さなくてはと思っていたが。これは嬉しい予想外だ。


「はい、そこら辺のいきさつはお義父さん帰ってきてからお願いします、ギルド寄ってきたので報告書は出てます。」


 報告書何て後で良いのだ、今は愛娘のエリスとその婿殿と嫁殿を持て成すのが先だ。


「そっちは後で読ませてもらいます」




「ただいまー」


 息を切らした旦那が帰って来た、あまり走れない足で急いで帰ってきたらしい。気持はわかる。


「おかえりさない、今日は早いですね?」


 とりあえず皮肉を言ってみる。


「ゆっくり仕事できる状態じゃないだろう?」


「そうですね」


 尤もだ、娘が結婚相手を連れてきたのだ、仕事どころの話じゃない。


 改めて娘が連れてきた二人を見つめた。








「で、孫は何時ごろの予定?」


 大事な事だ、孫は欲しい。


「「ぶ」」


 旦那と婿殿が噴出した。


 {追々でお願いします}


 婿殿が話している言葉は分からないのだが、雰囲気で多分言葉を濁している。


「近いうちで良い?」


 エリスは作る気満々のようだ、頼もしい。


「私たちも若くないから早めにね?」


 本当に早目に欲しい。私も子育てを手伝う為には私が若い内の方が楽だし、孫に囲まれた楽しい老後と言う理想も叶えられる。


「はーい」


 頼もしい、頑張って欲しい。


「止めないのか?」


 夫は今更変なことを言う。折角娘が自分で旦那を見つけて連れて来てくれたのだ、これは捕まえておかないと本当に娘が家出して居なくなってしまう。まさか親である自分達が責任を持って見つけるから追い出せなんて言うつもりだろうか?


「あなたが自分に勝てる男以外認めないとか言い出すからこの娘が行き遅れるんじゃないかと心配してたのよ、そっち先に顔を出したんだから貴方負けたんでしょう?」


 図星を刺されたらしく、がくりと肩を落とした。








「和尚さんと灯さん貴方達は今日から私たちの息子と娘になるのだからゆっくり寛いで行って下さいね」


 受けて外に出たけど予定日超えても帰ってこなかったからどうしたのかと思ってあの人と一緒に心配していたのよ」


「心配かけてごめんなさい、こうして無事帰ってきました」


 エリスが気まずそうに謝罪をする。無事帰って来たのだから何も問題はない。


「和尚さんと灯さん貴方達は今日から私たちの息子と娘になるのだからゆっくり寛いで行って下さいね」


 娘が無事帰ってきた、それだけで嬉しい、クエストで外に出ていると聞いていたが、期間予定日を過ぎても帰って来て居なかったのだ、夫もここ数日は仕事も手につかない様子で焦心していたが、これからは大丈夫だろう。


 帰ってきた私の子供たち3人は揃って案内された部屋で静かにしている、多分寝てしまったのだろう。


 さて、新婚の3人を持て成すためにもたっぷり精の付くメニューを作らなくては。

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