第37話 各地の反応 義母視点 その後
「ご飯できましたよ。」
大きい声で部屋に引っ込んだ3人を呼ぶ、暫くすると3人が仲良く食卓に並んだ。
今の所夫婦仲は良好な様子だ。
「すいません、手伝いもしないで。」
「大丈夫よ、今日はあの人もいたから。」
翻訳のエリスを挟まなくても何となく言いたいことは雰囲気で解る、エリスとパスが繋がって居る訳では無い、下手すると深層の感情までバレる様なパスの接続は家族同士でも先ずやらない、だからこれはただの長年の洞察力と言う物だ。
「これを運んでね?」
食器にスープをてんこ盛りに盛る、おもてなしのご飯はどれだけ多く食べさせるかが勝負だ、体の大きい男の人だ、いっぱい食べてくれるはずだ。
「足りなかったらお替りしてね。」
{はい。}
実際言葉は通じていないが、行動の雰囲気を見る限りは誠実そうだ、体格も良い、あの夫とも模擬戦で勝ちをもぎ取っているのだから、それだけでも十分だ、遠くの出で言葉が通じないことを差し引いても優良物件だ。よく連れてきた。
「それじゃあ、エリスの無事と新しい出会い、それと結婚を祝って乾杯」
夫が乾杯の音頭を取る、皆で蜂蜜酒の入ったコップを掲げる。
「「「「乾杯」」」」
皆たっぷりとお替りしてくれた、どうやら私の料理は口にあったようだ、良かった良かった、後は精力剤としての効果も期待しよう。
{お腹いっぱいです、ご馳走様。}
和尚さんが手を合わせて会釈して食事を終える。こちらでは見慣れない所作だ、遠くから来たそうだし多少の違いはあるだろう。
「お風呂もありますけど入ります?」
エリスが和尚さんにお風呂を勧める、灯さんは酔いつぶれてしまったらしくテーブルにに突っ伏して眠っている。これは丁度良い。
{こいつ運んだら入らせてもらう。}
灯さんを運んでからお風呂に入るようだ。
「それじゃあ準備してますね、お風呂はそっちの一番奥の部屋です。」
エリスと目が合った、しっかりヤッて来いと目配せする。エリスも意味が分かったらしく頷いた。
「さて、そろそろ始まった頃かしら?」
少しだけ覗いておこうか?
と、夫に声をかけてみる。初夜覗きは親の権利と言うか義務だ。貴重な体験だから見ておきたい。
「俺は良いから、しっかり見てきてくれ。」
お風呂、実は覗き穴があるのだ、夫は見なくて良いとヤケ酒を飲む姿勢で一気飲みを始めたので置いて置く。
とても仲良くしていた、これで安心だ。
翌朝、思わず和尚さんに良くやったと笑顔を向けた、どうやら意味が分かったらしく顔を赤くしていた。
灯さんは昨日潰れたので二日酔いらしく朝ご飯の時は出て来なかった。
外で畑の手入れをしていたらいきなり家から光の壁が出現した、いや、隙間が空いている、檻?それとも格子なのだろうか?あまりにも意味が解らないが、どうやら中心があの和尚さんたちの部屋だった、何かの魔法でも発動したのだろうか?光の壁は直ぐに消えたが、何と言うか大きな教会で感じた清浄な結界のような気配が残っている。
先ずは確認しなくてはと思い部屋に向かった。
部屋の前に行った所で丁度和尚さんが出てきた。
「さっき凄い大げさに魔法発動してなかった?」
先ずは確認しないと。
{はい、犯人俺です、お騒がせしました}
和尚さんが気まずげに頭を下げる。
「こちら犯人です、ごめんなさいって」
エリスが翻訳で解説する、やはり和尚さんか、しかし何者なのだろう?遠くから来たにしても極端すぎる。
「外から見えました?」
エリスが確認してくる。
「家ごと真っ二つになってたわよ?」
端的に見たまんまを告げる。
「はい?」
和尚さんも拙かったかという様子で固まった。
「だから何事かと思って見に来たの、神様でも降臨したのかと。」
ちょっと大げさだが多分それぐらいの騒ぎになる。
{大げさでは?}
「大げさじゃないかって」
和尚さんの言葉をエリスが翻訳する。
「大げさじゃないから困るのよね、あの規模の浄化結界街中で発動したってばれたら多分教会来るわよ?高名な聖人が降臨したとか、最近神頼み必死だから。」
最近は沼の方の水が濁ったり体調不良者が出ているので教会の神父さんが浄化の奇跡を携えて村中を回っている。浄化の奇跡が使える者は他の村でも引っ張りだこだ。最悪聖人認定して大げさに連行される。
{来てくれるなら手間が減るので助かるんですがね}
「来てくれるなら手間が減るから丁度良いって」
エリスが翻訳する、どうやら開き直って待ち構えるらしい。
「あらまあ豪胆ねえ、丁度ご飯の時間だから食べながら待つ?」
弱火で煮込んでいたスープも丁度出来上がる時間だ。
「大体教会で感知したとして急いで1時間ってところですね。」
エリスが和尚さんに説明する、教会は村の沼側、この家は山側なので結構遠いのだ。
{結構遠いんですね、それじゃあ来るか来ないか準備して待つとします。}
「準備して待つのでご飯にしましょうって。」
「はいはい、灯ちゃんの分も大丈夫?」
灯ちゃんは朝ごはん抜きだった、二日酔いも昼頃には抜けるはずだからそろそろ食べられるはず。
{はい、大丈夫です。}
「大丈夫だから食べられるって」
灯ちゃんの分もエリスが翻訳する、この二人と話すときは翻訳エリス必須だ、雰囲気で大体わかるが流石に細かいところが良く分からない。
「それなら安心ね」
サンドイッチと野菜のスープを食卓に並べる、昨日ほど極端に精力メニューではないが隠しきらない程度にその系統だ、味は問題ないから大丈夫だろう。
食べ終わった和尚さんが不思議な座り方(座禅と言うらしい。)でお経という不思議な呪文を唱える、和尚さんの故郷で般若心経と言うらしい、唱えている間は和尚さんが薄く発光して後光がさして見える上に家が浄化されて行く。下手な神殿より清浄な空気が出来上がっている。聖職者でない私でも分かる様な状態だ、確実に神父さん飛んでくるし大騒ぎする。
「やりすぎると家が聖域にされそうね?」
流石に苦笑しながら突っ込む。
{初対面でのはったりは必要でしょう?}
「初対面ならまずはったりだって」
確かに世渡りで初対面のはったりは大事だが、確実にこれはやりすぎだ。
「ここの教会はそんなに強くはないからあんまり身構えなくてもいいと思うけどね?」
少なくとも現状、村に有るあの教会より清浄化している、聖地認定されてもおかしくないぐらいだ。
{まあその辺は怖がりですので}
「自分は怖がりだから準備するって」
エリスも苦笑いしながら翻訳している、恐らく自覚が無いのは当人の和尚さんだけだ。
「あとは、耳元でこっそり喋るから出来るだけそのまま翻訳してくれ、言葉尻掴まれて何かされると怖い。」
和尚さんがエリスに念入りに注文を付けている。少なくともこの状態で明らかにこの空間を作った主にケンカを売る聖職者は居ないと思うが、そうこうしているうちに神父さんが到着したらしい、ドアがノックされたので、私が出迎える。
「この辺に聖者が降臨されたと聞いて来ました。」
何時もの神父さんだ、急いで来たらしく、息が上がっている。
「あらあら、丁度良かった、お待ちですよ?」
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