第8話 ゴブリン
拠点が壊滅していた。
「一緒にいてよかったな。」
呆然と呟く、荷物はすべて俺が持っていたので被害は無い、その辺の木で作っていたシェルターが滅茶苦茶になっていただけである、よくわからない生き物の足跡てんこ盛りで・・
足跡は裸足の人とは違う、指が長い、4足動物ではないっぽい、2足歩行?サル系?
灯は固まってた、あのまま此処に居たら何があったかわからないからだろう。多分死んでたと思っていいのかな。死んだり食われたりがましなラインだったりしないことを祈ろうか。
「ここは危なそうだから拠点移動だな。」
一先ず川の上流を目指すとしよう。
「おーい、もしもーし。」
反応が無いまま固まっているのでセクハラすることにする、前から抱き着いてよしよしと、反応が出るまではそのままである。
灯が意識を戻して身をよじって逃げ出すまでしばらくかかった。
んで、あれなんだろうな?王道としてはゴブリンって言うんだろうけど、ゴブリン死すべし慈悲は無いの世界かどうかがが問題か。
しばらく移動したところで視界が開けた、広場のような場所を発見した、竪穴式住居もある、どうやら集落のようだ、人は居るかと茂みの中から遠巻きに覗き込む、緑色の小人が居た。人類扱いでいいのだろうか?
相談しようと灯の方を向いたら丁度、こん棒を振りかぶって振り下ろそうとするゴブリンが居た、咄嗟に手を引いて灯の立ち位置をずらす、間一髪こん棒が空を切る、こっちか、下手に集落入らなくてよかった、頭の片隅でそんな事を思いつつ、空を切ったこん棒の隙をついて左足でこん棒を踏みつけて右足をゴブリンの頭に合わせてそのまま踏みつける、震脚の要領で踏み抜いた。我ながら咄嗟によく動いたもんである、首が折れたかと思ったが頭部を頭蓋骨ごと潰せたらしい、丈夫な靴でよかった。
「無事?」
残心で回りを警戒しつつ確認する、
「っは、はい」
かくかくと言った様子で頷く、又固まったかな?グロイしね。
「危なそうだから一旦離脱する、ついてきて。」
「はい。」
こん棒を拾って灯の手をつかんで一旦集落から離れた。
集落から離れて、後ろから襲撃されないように注意しつつ集落が見える高台に移動した。
「上流これか、生水飲まなくてよかったな?」
色々と嫌なものがある、川がトイレになっていないことを祈ろうか、ガンジス川の茶水とか沸かしても飲みたくない。
意味が分かったのか灯が固まっている。
「そして良かったね?本格的に異世界だ、」
現世で報われないおっさんと若者の希望、異世界転移である、チート付かないのが残念だが。犬とウサギだったら元の世界にもいる、角はないが、ゴブリンなんて言う緑色の小鬼なんて元の世界には創作でしか居ない。
「うわあ・・・」
灯ががっくりと崩れ落ちた。
「残念ながら外れ当たりっぽいな、ハードモードで生き抜いて?」
神様がごめんごめんか勇者様パターンならたぶん当たり、
「現世で疲れた若者はなろう世界にハードな手ごたえなんて求めてません」
一気に疲れた様子で返してきた、オタばれか。
「読んでたか、残念だが世の中こんなもんだわな」
俺も残念である、俺つえーでハーレムしたかった。
「チートでハーレムですか?」
灯が先回りしてきた。
「正解、男のロマンだよ?そっちは逆ハーレム希望?」
はいはいと流しつつ返す。
「TSしてイケメンホモハーレム。」
剛速球で帰ってきた、腐ばれだ。
「濃い・・・」
むしろなんで俺に来た。
「ホモはファンタジーだからいいんです。」
「リアルではノーマルと?」
「当事者じゃないから良いんです。」
「はいはい。」
この話題掘っても生産性が無いので切り上げる、そうしてるうちにゴブリンに動きがあった、さっきの死体が見つかったらしい、さっき居た場所に10匹ほど集まってきた、そのまま居たら囲まれただろう、あれぐらいの強さなら1;1なら苦労はしないと思うがいっぱい居ると困るし、どうなるかわからんし、そしてどうするのかと思ったが、もう1グループ戻ってきたらしい20匹ほどの群れだ、簀巻きのようなものを担いでいる、・・・人の足っぽいのがはみ出してる。さっきの戦闘でもわかってたけど、ゴブリンは人類の敵っぽい。
「あれ生きてると思う?」
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