紙とペンと…
エトセン
第1話
紙はじっと耐えていた。
度重なるペンの攻撃。来る日も来る日も止むことはない。
「神よ!私をお助けください。」
紙は願った。
しかし、その願いは叶わなかった。
「あぁーーーーーーーー!!」
ペンの攻撃はまだ続いている。
「おお!神よ!私を見捨てたのですか!」
紙は嘆いた。
紙は絶望した。
そんな紙の心には沸々とどす黒い塊が湧いてきた。
紙は再び願ったのだ。
「神でも悪魔でもなんでもいい!オレに力を!あのペンを倒す力を寄越せ!!」
「その願い我が聞き届けてやろう!」
「本当か!」
「ああ。ただし、条件がある。」
「なんだ!なんでも言え!アイツをペンを倒せるならなんだってしてやる!」
「ペンを倒すには今のままではだめだ。従って、貴様を転生させる。ペンを倒す力を授けてだ。どうだ?するか?」
「ああ!やってやる!転生だったしてやるよ!」
「よかろう!紙よ貴様は生まれ変わってこう名乗れ、名は…とな!」
「オレは…。…だ!」
「では、転生させるぞ!」
「おう!」
★
「ペンよ!覚悟はいいな!オレは貴様を倒す!!」
「ま、待て!待ってくれ!」
「うるさい!」
「や、やめてくれ。俺が何したっていうんだよ!」
「何をしただと!笑わせるな!貴様はオレを何度も傷つけた!何度もだ!!」
「まさかお前はあの紙か!」
「ああ!今思い出したか!オレはあの紙だ!オレは貴様を倒すために生まれ変わったのだ!!」
「済まなかった!俺だって仕方がなかったんだよう!」
「問答無用!!」
「あぁーー!!」
「はぁ、はぁ、終わったのか?」
「いいやまだだ!簡単には倒さない。少しずつ少しずつ貴様の肌を!肉を!骨を!削ってやるのさ!」
「そ、そんな…」
「いくぞ!」
「ああぁぁーーー!!!」
紙、いや、紙やすりの攻撃は続いた。
肌を削り、肉を削り、骨も削った。
「うっ……」
「はぁ、はぁ、オレは…オレはやったんだ!アイツをペンを遂に倒したんだ!」
「許しておくれ…仕方がなかったんだ…」
「っ!まだ生きてたか!」
「アレが俺を操って紙を傷つけたんだ…仕方がないよなぁ…お前だって今は操られているし…」
「アレって誰だ!誰のことだ!!言え!さあ、早く!」
「に、にんげ、」
その時だった!
ペンはいきなり宙に浮いた。
否!
大きなモノによって連れていかれたのだ!
「ま、まさか!お前がオレたちを操っていたのか…!!」
紙やすりの声は聞こえなかったようだ。
そして、再び大きなモノが紙やすりの上に!!
「や、やめてくれ!!」
そして、紙やすりも連れていかれ、暗黒の空間に入れられてしまった…
☆
「何描こっかな!」
「そうだ!鳥さんを描こう!」
…カキカキカキカキ
「あっ!失敗しちゃった!もう一回かーこお!」
…クシャクシャ…ポイッ…
「あれ?お母さんからもらった紙がない。違う紙はどこにあるかな〜。」
「ここかな〜?」
「なんだろう、これ?表面がザラザラしてる。ふしぎー!」
「どんな風になるんだろう?」
「このペンでいいか!」
…ゴシゴシ。
「あっ!なんかペンもザラザラザラしてきた!」
…
「ペン小さくなってる!」
…
「こら!何やってるの!」
「わぁ!お母さん!」
「もうそれで遊んじゃダメ!ペンさんだってこんなに小さくなって!それにこれだって、もうザラザラしなくなちゃったでしょ!」
「うぅ、ごめんなさい。」
「今度からはこんなことしちゃダメよ。」
「はい。」
「うん!それじゃあ、ペンさんにバイバイしないとね。」
「バイバイ!」
「紙やすりさんにもバイバイって、」
「バイバイ!」
紙とペンと… エトセン @10000
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