紙とペンと…

エトセン

第1話

紙はじっと耐えていた。


度重なるペンの攻撃。来る日も来る日も止むことはない。



「神よ!私をお助けください。」



紙は願った。


しかし、その願いは叶わなかった。



「あぁーーーーーーーー!!」



ペンの攻撃はまだ続いている。



「おお!神よ!私を見捨てたのですか!」



紙は嘆いた。


紙は絶望した。


そんな紙の心には沸々とどす黒い塊が湧いてきた。


紙は再び願ったのだ。



「神でも悪魔でもなんでもいい!オレに力を!あのペンを倒す力を寄越せ!!」


「その願い我が聞き届けてやろう!」


「本当か!」


「ああ。ただし、条件がある。」


「なんだ!なんでも言え!アイツをペンを倒せるならなんだってしてやる!」


「ペンを倒すには今のままではだめだ。従って、貴様を転生させる。ペンを倒す力を授けてだ。どうだ?するか?」


「ああ!やってやる!転生だったしてやるよ!」


「よかろう!紙よ貴様は生まれ変わってこう名乗れ、名は…とな!」


「オレは…。…だ!」


「では、転生させるぞ!」


「おう!」








「ペンよ!覚悟はいいな!オレは貴様を倒す!!」


「ま、待て!待ってくれ!」


「うるさい!」


「や、やめてくれ。俺が何したっていうんだよ!」


「何をしただと!笑わせるな!貴様はオレを何度も傷つけた!何度もだ!!」


「まさかお前はあの紙か!」


「ああ!今思い出したか!オレはあの紙だ!オレは貴様を倒すために生まれ変わったのだ!!」


「済まなかった!俺だって仕方がなかったんだよう!」


「問答無用!!」


「あぁーー!!」


「はぁ、はぁ、終わったのか?」


「いいやまだだ!簡単には倒さない。少しずつ少しずつ貴様の肌を!肉を!骨を!削ってやるのさ!」


「そ、そんな…」


「いくぞ!」


「ああぁぁーーー!!!」



紙、いや、の攻撃は続いた。


肌を削り、肉を削り、骨も削った。



「うっ……」


「はぁ、はぁ、オレは…オレはやったんだ!アイツをペンを遂に倒したんだ!」


「許しておくれ…仕方がなかったんだ…」


「っ!まだ生きてたか!」


「アレが俺を操って紙を傷つけたんだ…仕方がないよなぁ…お前だって今は操られているし…」


「アレって誰だ!誰のことだ!!言え!さあ、早く!」


「に、にんげ、」



その時だった!


ペンはいきなり宙に浮いた。


否!


大きなモノによって連れていかれたのだ!



「ま、まさか!お前がオレたちを操っていたのか…!!」



紙やすりの声は聞こえなかったようだ。


そして、再び大きなモノが紙やすりの上に!!



「や、やめてくれ!!」



そして、紙やすりも連れていかれ、暗黒の空間に入れられてしまった…









「何描こっかな!」


「そうだ!鳥さんを描こう!」



…カキカキカキカキ



「あっ!失敗しちゃった!もう一回かーこお!」


…クシャクシャ…ポイッ…


「あれ?お母さんからもらった紙がない。違う紙はどこにあるかな〜。」


「ここかな〜?」


「なんだろう、これ?表面がザラザラしてる。ふしぎー!」


「どんな風になるんだろう?」


「このペンでいいか!」



…ゴシゴシ。



「あっ!なんかペンもザラザラザラしてきた!」



「ペン小さくなってる!」



「こら!何やってるの!」


「わぁ!お母さん!」


「もうそれで遊んじゃダメ!ペンさんだってこんなに小さくなって!それにこれだって、もうザラザラしなくなちゃったでしょ!」


「うぅ、ごめんなさい。」


「今度からはこんなことしちゃダメよ。」


「はい。」


「うん!それじゃあ、ペンさんにバイバイしないとね。」


「バイバイ!」


「紙やすりさんにもバイバイって、」


「バイバイ!」




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