第30話 ギルバート怖い

 グレンはクリスに付きまとわれて、ほぼ行方不明。何故かエレンはギルバートに付きまとわれ続けている。買い被りかも知れないが、女性がこの様な場所に一人でいると色々と言われるので、気遣ってくれているのかなと。だったら、グレンを返してくれたら即解決なのだけれども。


 目立たないようにウロウロしている所をエリオット兄様に見つかって、倉庫に運び込まれたドラゴンを検死?することになった。手始めにざくざく切っていると、ギルバートに拍手をされた。

「手際も良いし、何より思い切りがいいね!返り血を魔法で避けるエレンが眩しいよ!」

 集中できない…。


「何もしないなら、報告書を作成してください」

「いいよ~。本当にソールズベリーの人って面白いよね」


「そうですか?やはり、筋肉が無いですね。動けない場所で飼育されていたと考えていいでしょう」

「エリオット様って、魔法が全然使えないんだよね」

「そうですね。胃袋も伸びた形跡がないので、定期的にえさを与えられていた可能性が高いですね」


「僕、気配を消すのが上手なんだ。エリオット様の剣才は有名だから、魔法でも気配を消したのにエリオット様は気が付くんだよね。凄いわ~。カリーナ様と揃ったら、向かう所敵なしだよね~。エルハルト様もバランスが良いし、凄いよね~。だけど、ソールズベリーの肝はソールズベリー卿だよね」

「何が言いたいのですか?」


「そのままだよ。彼は剣も魔法も凡庸、けれど全ての情報を把握するあの手腕。ソールズベリーには珍しい才能だよね。だけど、一番弱い所でもあるから、役立たずを演じている…。おっと、そんなの向けないで?」

 エレンは解体に使っていた大型刃物をギルバートに向けた。

「何のつもりですか?お父様に危害を加えるつもりなら、ソールズベリーは容赦しませんよ」


「うわ~、怖い怖い。そんな気は無いよ。ソールズベリー卿の情報網は誰が引き継ぐのかなって気になっただけだよ」

「余計なお世話です」


 ギルバートは諜報として活躍していて、オズワルドが変な婚約打診を繰り返していたのを知っていた。

 そこにエレンが情報操作を始めたので、興味を持って経過を見ていた。まさか結婚するとは思わなかったが。


 ドラゴンの解体と調査が終わり、エレンは湯あみをするからと、報告書をエリオット兄様へ持っていくようギルバートに頼んだ。その隙にエレンはギルバートから逃げた。グレンは置いていく。ハミルトン邸に帰っても面倒なので、リリーの所へ向かった。

 リリーの所にアドルフ様とバリーがいた。いつの間に。リリーが偉い人なんじゃないの??と怯えている。さすがリリー。

 リリーが用意してくれるご飯が美味しかったので、色々片付くまで一緒に過ごすことにした。

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