最終話 魔王戦!

◆黒木暗子◆


「はぁはぁ……」


死闘の末、私たちはゼツとガルバを倒すことに成功した。


「や、やっと倒したわね……」


「ほんと……、強かった……ね、暗子」


「あぁ。 でも、これで終わりだな」


「えぇ……、長かったわね……」


ゼツという男はとても強く4対1でも一歩も引かないとても強い敵だった。

いままで相手にしてきたどのモンスターよりも強かった。

カオルとサーニャは背を向け……。

ん?


「……あ、あれ? まだ、魔王は倒してないんじゃ……」


「!! そうじゃん! やりきった感あるけど、あれ魔王じゃないよ!!」


「「あ!!」」


カオルとサーニャは声を揃え、私たちの元へ戻ってきた。


「そうだ、あれは魔王じゃねぇんだった」


「忘れてたわ」


魔王のようなオーラと実力のある幹部なのだ。

というか、カオルは何か恨みがあったんじゃなかったのかしら?


それにしても、幹部であの実力。

魔王はどんな凄いやつなのかしら。

不安だわ……


「大丈夫だよ! 暗子」


「カノ」


「私たちなら勝てるよ」


「そうだぜ。 大丈夫だ」


「余裕よ、私たちなら」


「み、みんな……」


そうだ。

私たちなら勝てる!!

大きな螺旋階段を上り、魔王の待つ場所へ進む。

そして、大きく禍々しい扉を開く。

最終決戦よ。


「よく来たな!! 人間ども!!!」


玉座の前には魔王トールが立っていた。

魔王トールはナイフを舌で舐めている。


「へっへへ、ぶっ殺してやるぜ!!」




「「「「小物臭っ!!!」」」」




「なっ……」


「人間の分際でトールになんてこと言いやがんだァ? 気にすんなよトール」


「アークマイン! てめぇも気を使ってんじゃねぇ!」


「なんて小物臭さ……。 ゼツと変わりなさい」


「悪いことは言わねぇよ、今からでも遅くねぇ」


「ラッキーだね!! 暗子」


「え、まぁそうね」


実際そう。


「トールゥ。 俺は味方だからな」


「なんでお前そんな今日優しいんだ? まあいい、かかってこい!!」


カオルは一つため息をつき、魔王トールに近づき、大剣を一振り。

が、攻撃が当たる直前消えた。


「なんだっ!」


「へっへへ、魔王の能力、瞬間移動だぜ!」


「流石トールだぜェ」


ターン制バトルで回避行動が瞬間移動……。


「せこっ!!」


「戦術が卑怯すぎるわ……」


「うんうん。 ねぇ暗子」


「え、そうね」


実際そう。


「ハーッハハハ!! ざまぁ見やがれ人間ども! 勝ちゃいんだよ!!」


「……。 あっ、私のターンね。 『炎塊ファイヤーボール』」


私の火の玉は魔王トールの元へ飛んでいき、トールは瞬間移動した。

が、そのトールを追跡し被弾。


「卑怯だぞ!!」


「お前が言うな!!」


その後、『炎塊ファイヤーボール』を打ってはサーニャが回復させてくれたりと、最終戦にしてはとても地味な、攻撃の応酬が続いた。


「4体1ってどうなんだ……」


「あいつ、ついに人数差にケチつけてきたわよ。 やってしまいなさい暗子」


「えっ。 あっはい。 『炎塊ファイヤーボール』」


「うがぁぁぁぁぁ」


魔王トールが倒れる。

アークマインは特にこれといって何もしてこなかった。

……。


「なんかさ、オチがなくない?」


「そうね」


「あぁ、なんかスカッとしねぇな」


「……一応、魔王は倒したのよね?」


みながなんとも複雑な表情を浮かべていると後ろから声がした。


「……俺の出番のようだな」


魔王の幹部ゼツだった。


「「「ゼツ!!」」」


「俺に任せろ」


ゼツはそう言うと拳にはめたナックルが光輝きだし――


「『爆発バースト』」


「もしかして、爆発オチなん――」


その言葉の後、すべてはゼツの放つ爆発に消え、魔王城は倒壊した。



◆勇者マコト◆


「みろ、リザ! 花火だ!」


「ほーんとだ。 キレーね」


「よっし!! クエストクリア目指してがんばるぞ!!」


「はいはい」


勝者マコト。

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サバサバクエスト ゆにろく @shunshun415

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