第5話 魔王城!
◆黒木暗子◆
「オッラァ!」
豚に似た顔をした大男のモンスター『オーク』と戦っていた。
大剣がオークを切り裂いた。
「『
火の玉はオークに当たり、はじける。
「よいしょ!」
カノのハイキックがオークに炸裂する。
……。
「……あなたは戦わないのね」
私はサーニャに問いかける。
「私はヒーラーだもの。 まあ、怪我したら言いなさい」
オークはサーニャを狙い走っていった。
「来たわね、ほい」
「うぉ! ……なんだ急に!」
サーニャは腕を引っ張り、カオルを盾にして攻撃を凌ぐ。
オークの右ストレートがカオルの顔面にヒットする。
「てっめぇ!」
「集中」
サーニャにそう言われ、カオルは大剣を振り、オークは短い悲鳴をあげ倒れた。
「おい、サーニャ!」
「なによ」
「お前、毎回俺を盾にすんな!」
「どうみてもあんたがタンクでしょう? 庇うのが仕事でしょうに」
「のわりに、俺に対しては回復魔法かけねぇじゃねぇか」
「あんた頑丈だから死なないでしょ。 MPが勿体ないのよ」
「まあまあ! ほらみて、あれが魔王城だ」
カノが仲裁に入った。
そう、町を出てからどんどん敵を倒しやっと魔王城の前までたどり着いたのである。
「やっと魔王と戦えんのか」
「長かったわね」
「……町をでてからまだ一日も経ってないけ──」
「暗子! がんばろうね!」
「あっ。 うん」
こうして4人は魔王城の扉を開けた。
「待っていたぞ」
細身で整った顔立ちの男と、髭を生やした大男がそこには立っていた。
「あれが、魔王トール……」
圧倒的な存在感と風格を感じた。
魔王という肩書きに負けないオーラがあった。
「いや、あれは幹部ね」
「そうだよ、暗子。 あれは幹部のゼツとガルバだ」
「あぁ、あれは魔王トールじゃねぇ」
「あっ、そうなのね」
顔が赤くなる。
「……勇者はどうした?」
ゼツは疑問に思ったのか、こちらに質問を投げた。
「あのバカは置いてきたぜ!」
「……もしかして元々勇者と組んで……」
「そうだ。 方向性の違いからアイツとは決別した」
「付き合ってられないわ。 あんなの」
「「えぇ……」」
私とカノの声が重なる。
「……まあいい。 掛かってくるが良い。 人間よ」
「うおおおおおおお!!!」
カオルは大剣を振りかぶりながらゼツに斬りかかり、私は杖を構えた。
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