第7話 現代におけるフェイク 〜アメリカ大統領選挙から〜

投票結果がどうなるかはまだ不明であるが、今回のアメリカ大統領選挙を見て強く思うことがある。

それは、現代におけるフェイクの定義である。


リベラル派のメディアは繰り返す。

トランプは嘘つきだ。彼の言うことは全てフェイクだ。

まあ勿論、彼の発言が色々デタラメであることはその通りであるのだが。


だがリベラル派のメディアが垂れ流す、バイデンのイメージというのも正直どうなのだろう。

高潔で善意に満ち、アメリカを正しく導く指導者。

少数派の意見も尊重し、弱者の権利を守り、国際間の協調を重視し。

えーと、それから。


しかし、バイデンが全てのポリティカルコレクトを満たす超人で、一方のトランプはその全てに失格する人格障害者。

そんなことが現実にあり得るのだろうか。


昨今の報道でものすごく気になる点がある。

政治的な意図のために暴力を振るい、非難されるべき卑劣な存在として報道されるのは常に共和党支持者であることだ。

民主党を信じる者は暴力を振るわず、常に理性的に議論を行い、非合法なことをしないのか?

当たり前の常識から考えて、そんなことはあり得ない。


ああ、時々は民主党の支持者も暴力を振るうときはある。

BLM運動の中の一部の例外とか。

しかし彼等の怒りと主張は正当なものであるがゆえに、その行為には理解を示すべきだという結論でその話はおしまいにされる。


何か、おかしくないか?


結論を先に言おう。

ジョー・バイデンという大統領候補。

あれはどう見てもフェイクなのだ。

リベラル派が選挙のために造り上げた虚像。

少し考えればそれは明らかであるし、そのことを論理的に語れない人間であっても本能的に察することができる。


そして一方のドナルド・トランプという人物。

非常に妙な話であるのだが、あれはどう見えても本物に見える。


おバカなホラ吹きで、差別主義者。その場のノリでとんでもないツイートを撒き散らすお調子者。

高度な政治を理解する能力はまるで欠けている。

えーと、実像がこれより下ということは想像し難いのですよ。

だからこそドナルド・トランプという個人にフェイクは無く、真の姿を晒している。

少なくともそんな風に感じられるのだ。


トランプは下品で、愚かで、差別主義者なのだろう。

しかし人は多かれ少なかれ、下品で、愚かで、差別主義者なのだ。

現実には誰も遵守できない教条的な正論を振りかざし、他人を非難し続ける。

そんな行為こそが最も悪質なフェイクであり、現代の病理だと。

人々はそう感じ始めているのではないだろうか。


そう。現代社会の人々、その多くは。

むしろドナルド・トランプのように生きたいのではないか。

他人が押し付けてくる、重苦しいばかりのポリティカル・コレクトなど無視して。

己の中にある本音に沿って生きたいと。


フェイクとは何か。

本物とは何か。

その定義はこれから十年以内に、大きな変化を遂げると思う。

そしてその流れを掴んだ者が。

これからの政治の主導権を握る。


そんな風に思えてならないのである

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