第6話 新型コロナウィルスに関しての考察
緊急事態宣言が出され、何かと不自由な今日この頃。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は新型コロナウィルスについて考察してみたい。
まず、基本的な事実から始めよう。
環境中に広がったウィルスを完全に除去することは、事実上不可能である。
これはもうどうしようもなくて、少なくとも現代の人類が持つ技術では無理。
唯一の例外が天然痘ウィルスであるが、おそらくこれは例外的な幸運と考えるべきケースであろう。
現に、その後の試みは全て失敗しているのだ。
と、いうことで。もはや新型コロナウィルスが根絶される可能性は絶無に近い。
ここまで広がった以上、どこまで行っても必ず誰かが再発する。
ニュースでおなじみの感染者数棒グラフ。
あの新規感染者がゼロになる日は永遠に来ないのである。
嘘だと思う人は、どこかのサイトでインフルエンザの感染者数データを見て来て欲しい。あれがゼロになる日って、想像つかないでしょ?
そもそもわざわざ「新型」と付けられていることから分かるように。
コロナウィルス自体はありふれた存在である。
普通の風邪のうち2割ぐらいはコロナウィルスが原因とされているぐらいだ。
そしてウィルスの進化は急速である。
これから先、幾らでも新型は出てくる。
一つ二つのバリエーションを根絶しても意味が無い。
彼等は不死身の存在である。証明終わり。
さて、そういった事実を考慮した上で、現在のウィルス対策をどう評価すべきか。
前述のように、患者は絶対にゼロにならない。
統計上、見つからなくなることはあるだろう。
しかし、国民全員を真面目に検査すれば、どこかに感染者はいる。
ゆえに、いつか必ず再流行が始まる。
それが今回のウィルスか、変異した新たなタイプかは分からないが。
だとすれば。
残念ながらこれは、「いつ止めるか」。
究極的にはその政治的決断を誰がどのように下すか、だけの問題でしかないと思われる。
欧米の都市封鎖、ロックダウンなるものを評価する向きもあるようだが。
あれは息を止めて我慢しているに等しく、そうそう続けていられるものではない。
長くて二ヶ月、最長で三ヶ月が限界だろう。
数年の後、状況の再分析がされたときには。
むしろ日本型の、緩い制約の方が適切とされる可能性だって低くない。
止血するときだって、完全に血流を止めるのは推奨されないのだし。
イタリア、そしてアメリカでも。
経済界が悲鳴を上げ、既に解除のタイミングが議論されはじめている。
我々は永遠に活動を「自粛」することなどできない。
このまま何もせず「経済的な死」を待ち、それを受け入れることなどできない。
動けば誰かが死ぬ。
それを知りつつ、人々は活動を再開するだろう。
この記述は道徳に反していると思われるかも知れない。
しかしここで語りたいのは、「~すべき」とか「~あるべきだ」ではなく。
人間は本来どんな存在であるかという事実の確認である。
自分の親しい人。あるいは自分自身が病に苦しみ、死んでいく。
それは恐ろしいことだ。
だが、人類は。あるいは地球上に現存する全ての生命は。
いざ危機となれば数十%、いや、90%を超える損失ですら当然のこととして許容してきた祖先達の末裔なのである。
座して必ず訪れる破滅を待つぐらいなら、数%の死亡リスクぐらい喜んで引き受ける。見方を変えれば、それは紛れもなく人類の長所なのだ。
開き直って行ってしまえば。
現在の全世界人口が約78億人。
その内の数%どころか、10%以上が失われたとしても。
「それが何だと言うのだ?」と言い放つことは簡単だ。
特に、自分自身がその中に含まれていないのならば。
もう一度言う。酒を飲みつつ考えるのは、
何をすべきであるとか、正しいとか間違っているとかではなく。
これから人々がどう行動するであろうか、という推測だ。
中国の指導部なんかは、間違いなく損失を許容する側に立つ。
14億の人口。そのうち数千万を失ったとしても、一向に怯みはしないだろう。
そのスタンスは、経済的に極めて強力。
我々は彼等と経済的な死闘を繰り広げており。
戦いとは比較的優位を取ることの積み重ねである。
この局面において、人命を失う戦略が優位をもたらすならば。
対抗上、我々もその方向に舵を切る可能性が高い。
今、人々は伝染病の流行防止が全てに優先し。
それに協力することがモラルだと語っている。
しかし一ヶ月もしないうちに、態度を翻す人々が現れ始めるだろう。
その意見は、むしろ多くの支持を得るに違いない。
私達は再流行の懸念を残したままで。
それを許容しつつ、次のステージに進むのだと思う。
そして人々がその変節をどう正当化し、理論武装していくのか。
世で語られる道徳が、どんな風に変えられていくか。
そんなことに、興味が尽きないのである。
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