第262話 サベロー巻き込まれる

 さて、色々と予想外のことになったが。

 最後の片づけを済ませますかね。


「ヒダリのダンナ?」


「どうかしましたか? レシアさん」


「そ、そのレシアさんじゃなくて、シアでいいよ」


 ……。


「おお、いいねシア! その意気だ!」


 うるさいよ、デアトリクスさん。

 おっさんかよ。


 はあ。


「それでどうかしましたか、シアさん」


 おおう。

 シアさん。

 そんなうれしそうな顔しなくても。


「シア、その顔だ! ヒダリ様がグッと来てるよ!」


 ほんとにうるさいよ、レプララアヌトさん。

 おっさんかよ。


「何を考えていたんだい?」


「あのガウンティで出てきた方々のことを、少し考えていただけです」


「あの二機の魔動機兵のことかい?」


「ええ、そろそろかなと思いまして」


「なあ、ヒダリのダンナ。その丁寧な話し方もなんか嫌だ、みんなと同じように話しておくれよ」


 ふぁ!?

 シアさん、ゴリゴリ来るタイプだったのか?


「いけ、シア。長い間の妄想で拗らせた、その力を発揮する時だよ!」


 うるさいんだよ、ミシャンタジアさん。

 おっさんかよ!


 そして妄想ってなんだよ!?


「ヒダリのダンナ」


「わかりました。いや、わかった。気を付ける」


「うん」


 くっそ!

 いい笑顔だな!

 惚れそうだよ!


「村長新しい奥様か? まあ、奥様達がお怒りにならない程度に頑張れよ」


 うるっさいよ、サベロー!

 どこから出てきたんだよ。

 おっさんめ!


「おい、何するんだよ!」


 八つ当たりだよ!


「シア、こいつが生首キングことサベローだ」


「おい、村長ふざけるなよ。生首キングってなんだよ」


「基本的に移動の時はこの格好だ」


「変わった移動方法だね」


「おい、ふざけんな。適当なこと言ってんじゃねえ」


「ふざけてなんかないぞ、なあケイト」


「そうですね、先生が私を助けてくれた時も、サベローさんはその姿ですし」


「ちょ、ケイトさま?」


 そういえばそうだったな。

 あの時が生首キングの伝説の始まりだったな。


「おい、村長。またどうでもいいこと考えてるだろ! 早く元に戻せよ!」


 うるさいな。

 どうでもいいことなんざ考えてないよ。


「へー、でも頭だけだといろいろ不便な気がするんだけどね」


「それを乗り越えたからこそ、生首キングなんだよ」


「適当なこと言ってるんじゃねえよ、それに生首キングってなんなんだよ!」


「キングと言えば王に決まってるだろうが!」


「なるほどねえ」


「ちょ、なるほどって。新しい奥様まで」


「お、お、お、奥様!?」


「? 何か間違っていましたか?」


「そ、そんな」


「ちょ、奥様。痛!足先でつつかないで」


「お、奥様だなんて」


「イタっ、痛! 村長、奥様を止めてくれ!」


「恥ずかしいじゃないか!」


「おべぇ!」


 ……。

 まさかのサッカーボールキック。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る