第254話 レヴァン
「先輩から離れろー!」
次から次へと。
あれか虫かなんかの類なのか?
おかげでだいたいの仕組みは理解できた。
どうやら機体の特性として別空間に機体を収納して、必要に合わせて取り出してるって感じだな。
いろいろ機能があるんもんだな魔動機兵。
とりあえずあの機体はルルが喜びそうだし、適当に回収させてもらおうかね。
「先輩から離れろ!」
そのセリフはさっき聞いたよ。
「ヒダリのダンナ!」
ああ、機体を別空間に収納したか。
もう一機も姿を消したな。
注意をこっちに向けるためだけに出てきたか。
「魔動機兵も搭乗者も消えちまった」
「そっちの件は大丈夫ですよ。それよりも」
暴れる気配もなしか。
「レシアさん、落ち着かれましたか」
「あ、ああ」
「ではまずその機体から降りてもらえますか?」
レシアさんの言ってたことが本当なら、暴走の原因はレシアさんの機体か身に着けている物、スキルあたりだろうしな。
暴走の可能性はできるだけ低くしたほうがいいだろ。
「特に怪我などはなさそうですね」
「ヒダリのダンナ、アタイは一体」
「本当に覚えていないのですね?」
「ああ、気が付いたらレヴァンの中にいた」
うーん、嘘をついてる感じじゃないんだが。
「レヴァンというのはその機体のことですか?」
「ああ、こいつがアタイの家で代々漁に使ってるレヴァンだ」
この機体が原因なのか?
だが、窓から飛び出したときは機体は傍になかったしな。
「レシアさん、教えてほしいのですが、そのレヴァンに関する何かを普段から身に着けていたりしますか?」
「よく知ってるね。こいつがそうさ」
石のついたチョーカー?
「これは?」
「レヴァンの操縦者になるときにこいつを受け継ぐのさ。こいつがあればレヴァンをいつでも呼び出せるようになる」
なるほどね。
機体が傍になくてもつながってはいるってことか。
「レシアさん、立て続けの質問で申し訳ないのですが」
「?」
「今までこのレヴァンを動かした方々で、不思議な経験というか例えば危機に襲われそうになった時に記憶はないけど何とか切り抜けていた、といったようなお話を聞いたことはありませんか?」
「たしか、じいさんが昔、海竜に襲われたことがあって、その時にどうやったかは覚えていないが何とか切り抜けたことがあるって話をしてたな」
どうやらこの魔動機兵の機能っぽい気がするな。
強い感情に反応して何らかの機能が動く。
そして搭乗者の感情を増幅して強制的に集中力を引き上げて、操縦者の反射神経やらを底上げしてる感じか?
うーん、とりあえず見聞きするだけじゃ仮説でしかないか。
レシアさんから許可がもらえたら、あとで教授たちに調べてもらうか。
「そんなことより、ヒダリのダンナ。クジラはどうしたんだい?」
「ああ、それならあそこですよ。こっちが片付くまで待機してもらってます」
「は?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます