第252話 暴走漁師再び

 時空の歪みがクジラの痕跡だと仮定すると。

 さて、どう動くべきか。

 こじ開けてみるしかないか?


「あなた!」


 レイラさん?

 珍しく焦ってるみたいだが。


「ガウンティにクジラが出たそうです」


 !?


「街の状況は?」


「今のところルド様の障壁で凌いでいるそうですが」


 ルドの障壁は抜けないか。


「ケイト、レイラさん、教授、レシアさん側に来てくれ。ガウンティに跳ぶ」


 だがあの時空の歪みがクジラのものなら……。

 急いだ方が良さそうだ。




「陛下!」


「ノーナさん、状況は?」


「障壁で食い止められていますが、ひたすらこちらに向かって来ようとしています」


「何か前兆は?」


「特にありません」


 ここも前兆はなしか。


「ノーナ女王、っとこれは陛下」


「ダラガナンなにかあったのか?」


「ああ。あのクジラが出る直前まで、街中で変わった音と言うか言葉で歌を歌っていた連中がいたそうだ」


「それになんの関連が」


「クジラの出現を見届けて街の外に出ていったらしい」


 あのデカ物を見て、わざわざ外に向かうか。

 何かあるのか?

 情報が少なすぎるか、まだ可能性の一つだな。


「先生、レシアさんが!」


 しまった、暴走漁師!


 は?

 窓から飛んだ!?


「出てこい、レヴァン!」


 ?

 魔動機兵?

 どこから出てきた?


「おお、素晴らしい。操縦者の声に反応して現れるとは。一体どのような仕組みなのでしょうか」


 楽しそうだな教授!


「また何か出てきましたよ」


 今度はなんだよ。


「巨大な銛と射出用の砲塔ですかね」


 だあああ。

 ぶっぱなしやがった。

 今までしおらしかったのは猫かぶりかよ!


「素晴らしい、落下しながらあれだけ反動のある兵器を使いこなすとは!」


 暴走漁師、こんなところから撃った所で。

 障壁あるっていってるだろうが!


「おや、また別の魔動機兵が出てきましたね」


 今度は一体なんだよ?


「お、銛を弾き返しましたね」


 だああああ。

 誰か知らないがふざんけんな。

 そんなところではじいたら、街に被害が出るだろうが!


 そのまま障壁に当たればそこで引っ掛かたのに。


 とにかくはじかれた銛の回収だ。


「お、また撃つつもりですか? はて銛はどこから補充されたのでしょうか?」


 そこか?

 今気にするのはそこか?


 とにかく!


「ケイト、レイラさんとりあえずいってくる。続きは後だ!」


「先生、気をつけて」


「行ってらっしゃいませ、あなた」



 はあ、とりあえず何とか回収できたが。


 くそ、また撃ちやがった。

 暴走漁師、回りが見えないのかよ!


 しかもまたはじきやがった。

 もう一機もカッコつけて弾いてないで、回りをみろよ、くそったれ。


 無駄な仕事を増やしてくれるんじゃねえよ!

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