第243話 決裂?

『日本語は久しぶりですね』


『私も久しぶりですよ。っとエヴラチゴラ様やサベローシラ様が不思議そうな顔をされていますね』


 二人とも日本語なんかわからないからな。


「改めて初めまして、私はヘイゾウ・ミノハタと申します。肩書きはありませんがハイレイン女王の側近として仕えさせていただいております」


「ガンドラル村、村長、サシチ・ヒダリと申します。よろしくお願いいたします」


「それで今回こちらに参られたのは、エヴラチゴラ様から伺った件についてでよろしかったでしょうか?」


「そうですね。それと先程の竜騒ぎの件ですかね」


「なるほど。ですが竜騒ぎの件についても、大まかなことはエヴラチゴラ様から伺っておりますので」


 大まかなことってのは、どの辺までだ?

 エチゴラさんのことだから本当の理由には触れていないと思うが。


「なんでも竜が暴れる前にヒダリ様が収めてくれたとか。本当にありがとうございます」


 かなりざっくりとしか話してないか。

 本当の理由を話したところで、信じてもらえるかも怪しいしな。


 竜を娶るために竜の家に結婚の挨拶にいったら、竜の父親がキレて街のなかで暴れようとしました。

 うん、まあ、ちょっと信じがたいかな?


「いえ、貴国のお役にたてたのなら幸いです」


 この話を引き伸ばしても、あまり良いことは無さそうだ。

 次だ次。


「それはそれとして、私共からの提案はどう思われますか?」


「ははは、単刀直入ですね。女王陛下も私もかなり前向きではありますよ」


 前向きね。

 快諾しないのはなにか仕込みでもあるのかね。


「ヒダリ様からの提案は、人の流れにも物流にも大きな影響があることは理解できています。そしてこの提案に乗らないことで、ハイレインが将来的に大きな損失をだす可能性があることも」


「それでも受け入れていただけない何かがあると?」


「いえ、そんな受け入れない等という強い反感があるわけではありません。ただ、なんといいましょうか、少々の不安があるという所でしょうか」


「不安?」


「こちらも単刀直入に申します。女王陛下はヒダリ様の戦力、強さに不安をお持ちです」


 どういことだ?


「女王陛下が言うにはヒダリ様、あなたの強さは神をも越えているそうです」


 殴ったことは何回かあるよな。

 あれは越えているってうのか?


「否定されませんか」


「強いかどうかは知りませんが、殴り倒したことはありますから」


「なるほど。とにかくその見たこともない強さに、どう対峙していいかわからないというのが女王陛下の本音です」


 うーん。

 こっちがどうこう言う話じゃないしな。

 ま、次の候補地を探すしかないか。


「わかりました。ではいつか良い返事をいただけることを期待して、お待ちしております」


 決裂かな?


「そうそう、こちらは私共の村で作り始めた特産品です。どうかお納めください」


「これはこれは、申し訳ありません」


「それでは失礼いたします」


 中々難しいもんだね。

 というよりはガウンティか特殊過ぎたのか。

 ボチボチといきますかね。




 うーん、昨日のハイレインは残念だったな。

 まあ、あのお城がみれただけでもよしとしとくか。


「ヒダリ様、サベローシラ様です」


「わかりました、ゼラマセンさん。こちらに通してください」


「承知いたしました」


 昨日の今日でなにごとだ?


「村長、ハイレイン女王からこちらの提案を受けたいとのお返事がありました」


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