第238話 とある女王と居候
転移魔方を利用した新たな市場。
協会を通さない探索者むけの新たなシステム。
魔窟と魔塔を抱えた新都市。
どれもがふざけるなの一言で済ませたいところなんだが……。
市場と新都市へは一度その目で見て決めろって話だし。
探索者むけのギルドって言ったか、あれも支店を置かせてくれって話と格安の治療院、後は孤児院を自前でやりたいってだけだからな。
特に強く断る理由もないんだよな。
市場については単純に売る場所が増えるだけだしな。
もちろん場所代なんかはかかるだろうが。
それだって売り手にとって、利益が上回るものであれば問題ないだろう。
まあ、最悪商会やら商人が移住するなんてこともあり得るが、そもそもあいつらを止める権利はないからな。
新都市については単純に探索者の連中が、行くところが増えるってことだろ?
これを断った所で、どこか近くの国で転移の経路が設置されればあいつらはそっちに流れるだけだしな。
それならハイレインを通っていってくれた方がましか?
ギルドについては、断る理由もないな。
あの協会ってとこのやり方は、俺も気に入らなかったからな。
それにあの二人の強さだ。
レーシャの視線を全く気にもかけないやつなんざ、初めて見たぜ。
普通はあれを浴びたやつは多かれ少なかれ萎縮し、レーシャに対して畏怖の念を抱くんだが。
それが全くないということはレーシャを遥かに上回る存在ってことなんだよな。
うーん。
「ヘイゾウ」
「レーシャ、どうした?」
「何でもない」
はあぁ。
何でもないって顔じゃないだろ。
「そうか、何でもないか。なら、いつものように俺の話相手になってくれよ」
「ん」
「どうした?」
「あっち」
「わかった」
ベッドボードに背を預けて、両足を投げ出してっと。
よしこい!
「ん」
この股の間の隙間に収まって来る感じ。
女王様は猫みたいなんだよな。
「ヘイゾウ、撫でて」
「はいはい」
「んー」
「あの二人のことを思い出して不安になったか?」
「少しね。あんな人たち初めてだから」
「確かにな」
「どうしようか?」
「うーん、向こうの出した条件は面白そうではあるんだよな」
「そうね。特にあのギルドっていうのは魅力的ね、協会の連中に一泡吹かせてやれそうだし」
「そうだな。市場や新しい都市については、まあ信用に足る相手ならって所だな」
「そうだね、どんな相手かよくわからないところに視察は無理だね」
「まあ、向こうのトップが会いたいって言ってるんだ。まずは会って話を聞いてみようぜ」
「うん」
「それと向こうのトップ、サシチ・ヒダリってやつは多分俺と同じ日本人だ」
まあ、だからといって信用するわけでもないんだけどな。
「そっか」
「ま、参考程度にな」
「わかった」
「よし、方針も決まったことだし、誰かに返事を届けてもらうか」
「そうね。でもその前に」
おおう。
可愛い猫が獲物を狙うライオンに……。
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