第231話 サベローシラの説得
「おい! いいか首領さん。あんたらがいままで積み重ねてきたもんやらメンツやらを否定はしない、否定はしないが相手を考えろ」
「はん、歴代の皇帝達でさえ一目置いていた私たちに相手を考えろだ? 寝言は寝てからいいな!」
「だから、寝ぼけてんのはあんたらの方だって言ってるんだよ」
「なにい!」
「いいか、あんたらが誘拐しようとしているその女性、その人はな狂竜アスクリス様だぞ? 知ってるのか?」
「なんだと?」
「それとなあとの二人の女性、二つ名が狂戦士と凶壁って人たちだぞ? 二人とも生身で魔動機兵を瞬殺する方々だぞ」
「な」
「あんたらの組織に狂竜に勝てる人間がいるのか? 魔動機兵の部隊に生身一つで突っ込んでって、殲滅させられる人間があんたらの中にいるのか?」
「ふん、口では何とでもいえる」
馬鹿野郎!
口で言い合っていられるだけまだましだろうが!
敵意をもって一歩踏み込んだら問答無用で消されるんだぞ!
「お前ら、お客人を可愛がっておやり!」
「わかりま、ぶげら!」
無駄口叩いてる余裕なんてないんだよ!
あの人たちの相手してたらなあ、瞬きした瞬間に吹き飛ばされるんだよ!
「な、き」
味方一人吹っ飛んだくらいでなんで足を止めるんだよ。
こちとらな、全力で動きまわってても的確な一撃が何発も飛んでくるんだぞ。
しかも全部急所にだ!
「おべ」
だいたいな侵入を許した時点で、なんで武器も構えてないんだよ。
生きてる間はな、随時、警戒態勢に入れるようにしておくのが基本なんだよ!
「ふう」
だいたい片付いたか。
少しすっきりしたかな。
「あ、あんたらこんなことして、生きてこのノーゼノンから出られると」
「はあ。現実を見てくださいよ、首領さん」
「な」
「まあ言葉で伝えるよりも見てもらった方が早いでしょう」
「なにを!?」
「今からうちの村長とノーゼノンの軍隊との一戦を御覧に入れますよ」
えーと、この機材を地面に置いて。
このボタンでいいのか?
「なんだこれは? 空中に映像?」
「では、どうぞごゆっくりとお楽しみください」
……。
…………。
「は? これはなんだ? こんあことがありえるのか?」
まあそうなるよな。
だがな首領さん、それが現実だ。
この国の軍勢が手も足も出せずに一瞬で全滅させられる。
そんな化け物が存在するんだよ。
「首領さん、あなた達が手を出そうとしているのはそういう相手なのです。私たちはなにもあなた達を潰そうと考えてここに来たわけではありません」
「どういうことだ?」
「私たちがここに来たのは、あなたたちのその行動によって、街や国、そして世界が消し飛ぶのを防ぐためです」
「そんな馬鹿なことが」
「あるんですよ! いいですか、この時の村長は全く本気をだしていません」
「は?」
「嘘だと思うでしょ? これが嘘ならどんなにいいことか。ですが首領さん、これ本当のことなんですよ」
……。
「わかった。今回の件は手を引こう」
「ありがとうございます」
なんとかわかってもらえたか。
これに懲りてくれるといいんだが、そうもいかないんだろうなぁ。
先が思いやられるな……。
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