第232話
「ハイレイン王国ですか?」
「はい、王都に魔窟を持ち、多くの探索者が集まります。また国土が南北に広い上、航空船の港を持つため多くの物資や人か行き交っている為、市場に活気もあります」
「それに、ある程度の繋ぎもできていると」
「はい。現地の商人を通じて、現女王ハイレイン四世から既に謁見のお約束をいただいております」
現女王?
「エチゴラさん、その現と言うのをわざわざ着けるってことは」
「元女王ハイレイン三世もご健在でございます」
……。
三世と四世の政争とかないだろうな?
面倒なことに巻き込まれるとか、勘弁してほしいところなんだが。
「ヒダリ様、ご安心下さい。そのようなことはございません」
いや、俺まだなにも言ってないんだけど。
サベローといいダチキッシュさんといい、生首トリオは俺の思考を読む力を持ってるのか?
「現女王に繋ぎをつけてくださった商人というのが、旧女王ですから」
は?
元国のトップが商人なのか?
「さらに言いますと、その前の女王であるハイレイン二世は王都で探索者をされております」
なんだそりゃ?
「随分自由な王族達だな」
「それをヒダリ様が仰りますか?」
ん?
俺?
「自覚がないと言うのは、それはそれでどうなんでしょうかね?」
「何のことだ?」
「協会の元統括を引き抜きギルドをつくり、闇の女神を配した治療院、孤児院、保育所をつくり、距離の概念を無視した都市間移動を可能にし」
お、おおう。
「わ、わかりました。私も皆様のお陰で自由にやらせていただいております」
「まだまだ語るべきことはあるのですが」
「いえ、それよりもハイレイン王国についてですが」
「ふむ、それでは」
「はい、一度お伺いしてみましょう」
「わかりました、出発は直ぐにという事でよろしいでしょうか?」
「流石にそれば急すぎませんか? 相手もあることですし」
「特に問題はありません。既に近日中の訪問を伝えてありますので」
流石やり手の商売人。
根回しは抜かりなしって感じだな。
「どうかしましたか?」
「いえ、エチゴラさんの凄さを実感していたところですよ」
「ヒダリ様の行動力にもなれてきましたので」
なれてきたって。
そんなに変わった行動なんかしてたか?
まあ、特に注意されていなくもないけど、止めろとも言われてないしな。
あまり気にしなくてもいいか。
「現地にはどのように向かわれますか? サベローシラ様が既に現地に転移魔方陣を展開されていますが」
サベローが先に行ってるのか。
なら転移魔方陣以外にも、ある程度の下準備もできてるって感じみたいだな。
折角準備してもらったんだ、今回は転移でいくか。
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