第219話
実験は成功。
魔窟関連はこれで一段落かな。
「ねえねえ、左の字」
「どうした?」
「ルル達の作ったシステムが、凄いのは良くわかったんだけどさ」
「なにかあるのか?」
「これってゲームみたいな、死なないダンジョンってことでしょ?」
「そうだな」
「それって大丈夫なの?」
「どういうことだ?」
「いや、死なないってわかってたらさ、無茶して何度もやる人が沢山にならないかなって」
ああ、その事か。
「それは多分大丈夫だと思うぞ」
「へ? なんで?」
「死なないっていっても、当人は死んだと思うところまでいってるからな」
「それが?」
「あれはそう何度も経験したいもんじゃない。これは予想でしかないが、多分ほとんどの連中が一回で心が折れるぞ」
今ので思い出した。
その事でもう一個やることがあったな。
「もし心が折れなくても一度経験すれば、今後はさらに警戒するようになるさ」
「ふーん、そうなんだ」
「ああ。だから巴の心配は問題にならないさ」
「そっか」
「チナミニ!」
ルル、聞いてたのか。
「パーティーを組んだ誰カガ復活ポイントに跳ばされた場合ハ、パーティー全員が復活ポイントに跳ばさレマス。モチロン全員の持チ物がロスト、デス」
まじか。
結構厳しいな。
「コレくらいしないと、悪事に走ル方は色々とやろうとシマスカラ」
まあそれでも、死角をついて来るやつはいるんだろうけどな。
「後は行動のログもとれるようにシマシタ」
「そこまでやるのか」
「ルールの死角をつくヒトは絶対にでできますカラ。出来る限りの対策はとりマスヨ」
「しかし、よくそこまで出来たな」
「魔窟や魔塔の皆サンの特性のお陰デスネ」
「魔窟達の特性ってのは?」
「魔窟サン達は魔方具と物凄く親和性が高いノデス。ナノデ108号やダンジョン君との連係ガ、かなり高い精度で可能だったのデス」
自分達の体内で、魔方具やらを作ってるのが関係してるのかね?
「実験も成功しましタシ、アトは微調整で完成デス」
「わかった、ルルあまり無理はするなよ」
「モチロンですヨ。チャんと夜にはセブンの所に行きますカラ」
いや、うん、まあいいけどさ。
あと巴さん、なんでそんなに体を押し付けてくるのかな?
名残惜しいが巴を下ろしてっと。
「あ、左の字〜」
いや、巴さん。
そんな艶っぽい声を出す要素ありましたっけ?
「後はこの街の名前か。パンナートさん、なにか宛はあるか?」
「ここで僕に振るのかい? 光栄だけれども辞退させてもらうよ。特になにか考えているわけでもないしね」
うーん、どうするかな。
ここで巴やルルに振ると、ややこしいことが増えそうだしな。
「我が主、ここは主自身がお決めになるべきかと」
街の名前ねぇ。
うーん。
シンプルでいいかな?
「ダンジョン村」
「左の字……」
「セブン、それはチョット……」
あれ?
「ならこれだ、ダンジョンタウン」
「うーん、まあ……?」
「ウーン、まあ、微妙デス」
……。
「ならこれだ、迷宮都市ダンジョン」
「ボク、もう面倒だからそれでいいや」
「コノ辺が限界ですカネ」
……。
「コレでどうだ! 探索都市ラビリンス」
「うーん、今までで一番なんじゃない?」
「モウそれでイイデスヨ」
……。
「決まったみたいだね村長さん」
「あ、ああ」
巴とルルからは微妙な評価だがな。
「ここは今日から探索都市ラビリンスだ」
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