第218話

 ここが復活ポイントねぇ。

 なんというか。


「何で教会?」


「復活ポイントは教会と相場が決まってますカラ」


 それは一部のゲームだけなんじゃないのか?


「後はオジイチャンの教会が無いと聞イテ」


 なるほどね。


「ねえねえ、左の字。早く中に入ってみようよ」


「それはいいんだが。巴、何で背中に乗ったままなんだ?」


「いいんだよ、さっきはずーっとルルがくっついてたんだから。今度はボクの番」


 いや、まあいいんだが。


「あ、そうか!」


「どうした?」


「はい、1ラル」




 中もまた凝った作りになってるな。


「あ、村長さん」


「パンナートさん、どうしてここへ?」


「いや、この間、話してくれてたことの実験だって聞いてさ」


「パンナートさんのところにも話がいっていたのか」


「モチロンですよ。この街の責任者なんでスカラ」


「なんでこんな大きな教会が、って思ってたんだけどこういう理由があったとはね」


「ナニゴトも見た目ハ重要ですカラ」


 まあ、ただの掘っ立て小屋とかだったら、なんかありがたみ無さそうだしな。


「ソレデハ結果を確認しに行きまショウ! 正面の祭壇の上にオジイチャンがいるはずです」


 祭壇ってのはあれか?

 また無駄に凝った作りというか。


「左の字、綺麗だねー」


 ステンドグラスから差し込む光。

 目が覚めたら爺さんの天井画。

 起き上がったら爺さんの石像。

 うん、本人を知ってると悪趣味でしかないな、これ。


「あ、ああ。そうだな」


「ア、あそこにオジイチャンがイマスネ」


 お、あんときの蚊がいるな。


「オジイチャーン」


「おお、ルーシェル。なんだかわからんが酷い目にあったわ」


「ゴメンなさい、オジイチャン。ドウシテも殺らなきゃいけない実験だったのデス」


「ふーむ」


「オジイチャンにしかお願いできなクテ」


 えーと。

 ルルがなんかえらく腹黒い感じになってるんだが。


「左の字、左の字」


「どうした?」


「あのルルはいつも通りだよ」


 な!?

 腹が黒いのはキョウだけじゃなかったのか!?


「意外だった? 基本的に色々と考えるのは杏華なんだけど、実はね状況によってはルルが一番厄介なんだよ」


 そうなのか……。

 やっかいなのは、ロボット談義だけじゃなかったのか。


「お陰でボクは色々助かってだけど」


「?」


「へんな勧誘とかナンパとかさ。何人も警察につれていかれたよ」


 警察!?

 撃退とかじゃなくて逮捕ですか?

 怖すぎるわ!

 一体なにやってんだよ。


「俺も逮捕されないように気を付けるよ」


「うん、そうだね。ちゃんと構ってくれないと、なにするかわかんないよ」


「肝に命じとくよ」


「うんうん」


 まあ、あれだ。

 巴も天然で黒いんだよな。

 可愛いものトークの暴走も結構ヤバイし。


 ……。

 同じ学校とかだったら、近づきたくないグループだな。


「ボク達、もう左の字から離れないからね」


 !?


「ほら、ルル達の話が終わったみたいだよ」


「セブーン。オジイチャンに問題はありませんでした、成功です!」


「ほら、いこう!」


「あ、ああ」


 今、なんかこうヒヤッとしたのは気のせいだよな?

 頭に浮かんだ捕獲の文字も気のせいだよな?


 と、兎に角、巴の言うとおり今後もしっかり愛情は示していかないとな。

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