第217話
「ソレデハ早速実験デス!」
「実験?」
「間違エました、実践デス!」
……。
「セブン。ソンナに不運そうな顔をしなくても大丈夫デスヨ」
不安な、不安。
まあ、不運でもあながち間違いではない気もするが。
「ルルー、ボクはどうすればいいのかな?」
「まずはセブンとワタシが中に入ります。ソノ後にルドさんと教授と巴が入って来て下サイ」
「わかったよー」
「ルド。問題は無いと思うが、何かあったときには二人を頼む」
「お任せ下さい、我が主」
「セブーン、行きますヨー」
「今行くー」
魔窟の中に入ったはいいが……。
「ルル、特に変化はないみたいだが」
「セブン。慌てないで下さい、これからデスヨ」
「左の字~」
巴が来たか。
「セブン、見ていて下さい」
?
「あれ? これ以上、左の字方に進めない」
巴は何やってるんだ?
「ンフフ、成功デス」
ルル?
「どういうことだ?」
「これが安心ダンジョン君一号の力です」
「そのせいで巴がこっちに来られなくなってると?」
というかルドなり教授なりが巴に説明してやれよ。
巴が顔真っ赤にして、なんか頑張ってるじゃねえか。
「そうです。ここの魔窟と魔塔内ではダンジョン君に登録された人同士は、半径30メートル以内には近寄れないようになっています」
ダンジョン君ね。
魔方具のフルネーム長いもんな。
「コウイッタ場所で、不要に他人同士が近づケバ揉め事になりますカラネ」
まあ、そうだろうな。
ゲームなんかでもそういう話はよく聞くもんな。
「チームで動いてる連中なんかはどうするんだ?」
「フフン、その辺は抜かりないデスヨ。最大デ6人までのパーティー登録もできますカラ」
なるほどね。
「ソノ証拠に、ホラ」
?
「ルル、一人だけ左の字くっついてずるいぞ!」
「違いますヨ~。コレハちゃんとした実験ですヨ」
「ルルは俺とパーティー登録してるってことか?」
「ソノ通りデス」
へー、面白いな。
「アトハですね。巴~、次の実験です」
「なんだよ!」
いや巴さん、そんなんに怒らなくても。
「巴、コチラに向かって攻撃してみてくだサイ」
「え? いいの?」
……。
後でなんかフォローしとかないとな。
「ドウゾ~」
「ルル!さっきからずーっと、ずーっと、くっついててずるいぞ!」
うお、いきなりか。
ほぼノーモーションから矢を放ってくるとは。
!?
矢がはじかれた?
「え? え?」
……。
戸惑いながらも連射は辞めないんだな。
「フフン、どれだけ撃っても無駄でスヨ」
「ルル、これが?」
「ソウデス。探索者同士が争うことを防ぐための防衛機能デス」
他人を殺して奪うとかは普通にありそうだしな。
「タダですね」
壁を突き破った?
ルドの魔法か!
よっと。
「クリスさんの攻撃までは耐えられたノデスガ。ルドさん達の攻撃までは無理デシタ」
うーん、クリスより大きい火力となると……。
まあ、問題ないと思うがな。
「すごいなルル。これだけの機能があれば不要な戦闘行為や無駄な殺生も減らせるだろ」
「セ、セブン。そ、そんな急に」
?
「左の字~! ルルばっかりずるいぞ!」
「ソ、ソレデ、ですね。肝心の生還機能ナノデスガ」
「ああ、さすがに誰かで試すってわけにもいかないか」
「エエ、なので…」
「おーい、ルーシェル」
爺さん?
いつもと形が違うな。
ありゃ、蚊か?
蚊に袋が括り付けられてるのか?
「セブン。袋だけ残してあれを打ち落としてくダサイ」
「わかった」
「おーい、ルーシェ、なんじゃああああ」
悪は滅んだ。
「袋ハ予定通り残ってマスネ。コレで復活スポットに、オジイチャンが戻っていれば成功デス」
うん、なんかすまんな爺さん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます