第216話

 さてとルド達の方はどうなってるかな?


「あ、左の字〜」


 巴?


「巴がここにいるのは珍しいな」


「そうだね、ボクもそう思うよ」


「ワタシが呼んだのでスヨ」


「ルルが?」


「ハイ。巴はこう見えテ、ゴク稀に誰も気づかないような事ニ気づいたりしてくれるんデスヨ」


「そ、そうかな〜。そんな風に誉められると照れちゃうよ」


 ……。

 誉められてるのか?

 まあ、本人が喜んでるならいいんだけどさ。


「それで巴に来てもらった成果はあったのか?」


「エヘヘ。トウトウ完成しましたヨ。安心ダンジョン君一号デス!」


 40cm四方サイズの箱?

 名前はなんかキッチンの便利グッズみたいだな。


「これか? あまり大きくないんだな」


「コノ子は子機みたいなモノデス。本体ハ108号と連結させてありますカラ」


 108号便利すぎるな。


「108号に色々とやらせ過ぎているような気がするんだが、大丈夫なのか?」


「その辺は問題無いですよ、村長さん」


「どういうことだ教授?」


「108号も常に進化しているということですよ」


 おいおい、それこそ大丈夫なのか?


「その顔は何かを心配しているようですね」


「そりゃ前科があるからな」


「進化といっても以前と同じ過ちはおかしませんよ。今回は物理的な増設と改良による進化ですから」


 増設と改良ねぇ。


「セブン、ワタシやルドさんも一緒に作業シテいるので大丈夫デスヨ」


 ルルやルドがいるなら安心かな。

 ……。

 安心か?


「それで、その安心ダンジョン君一号ってのはどうやって使うんだ?」


「早速試してみまショウ。セブン」


 俺か?

 俺かぁ。


「セブン、どちらかの手の甲を出して下サイ」


 こういうのは利き手じゃない方がいいのか?

 とりあえずは右手で。


「これでいいか?」


「ハイ。安心ダンジョン君一号をこうしてット」


 手の甲に魔方陣?


「ハイ、これで完了デス」


「もう終わりか?」


「ハイ」


 魔方陣が消えた?


「魔方陣は見えないようにしてるのか?」


「ソウデスね。手の甲とはいえ、嫌がる方モいそうナノデ」


 まあ、そうだな。

 見えなくて困るやつはいないが、見えるのを嫌がるやつはいるかもな。


「後モウ一人。巴、協力してもらえまセンカ?」


 おいおい、大丈夫なのか?


「ボクでいいの?」


「ハイ」


「わかった。手の甲でいいんだよね?」


「ソウデス」


「はい」


「ヨイショっと。ハイ、終わりマシタ」


「うーん、特になにも変わらないね」


「ココでは特になにも起きまセンヨ。効果がデルのは魔窟に入ってからデス」


 ということは、魔窟に行ってみるしかないってことか。


「ソレデハ、魔窟にむかいまショウ!」


 さて、どんな結果になるのやら。

 多分、大丈夫なはず、だよな?

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