第215話

 さて、魔窟側からの協力は得られた。

 次はパンナートさん達だな。


「パンナートさん」


「村長さん。用事は済んだのかい?」


「ああ」


「じゃあ次は僕の番だね」


「アシアウェスさんも一緒に聞いてもらいたいんだが」


「わかった、呼んでくるから少し待ってて」


 さて、パンナートさんとアシアウェスさんは、協力してくれるかね?


「村長さん、連れてきたよ」


「ヒダリ様、私にも御用だとか」


「ええ、この街の大きな柱となる魔窟と魔塔の事について、お二人に相談したいことがありまして」


「うん、それでどんな話なんだい?」


「そうだな。この街の魔窟と魔塔の探索に限り、限りなく死を免れるようにするという話なんだが」


「は? それは魔窟の探索で、探索者達が命を落とすことが失くなるということ?」


「その通り」


「あはははは、流石村長さん。言うことが僕の想像のはるか上をいくね」


「……」


 アシアウェスさんは無言か。


「それは本当に可能な事なの?」


「ああ。ルドや教授達の話だと、理論上はいけるらしい。その理論を実践するための装置はまだ完成に至っていないがな」


「理論上可能だと言い切れるだけでも凄いよ。しかもその口ぶりだと、近いうちに装置が完成するかも知れないって事でしょ?」


「そうだな」


「もちろん反対なんかしないさ。それで魔窟さんたちはなんて言っていたの?」


「皆協力してくれるみたいだ。なんでも死体そのものは必要じゃないんだとさ」


「どういうこと?」


「魔窟や魔塔が内部に財宝を用意するのは、中に生物が侵入するための餌っだってのは前に説明したよな?」


「うん、中に入ったきた生物から、魔力を貰うためにって話でしょ?」


「それ、死体だと吸収する魔力もなくなるから、意味無いんだってよ」


「へー。なら何で中に、罠とか魔獣を配置したりしたの?」


「何でも、倒した探索者達の装備や持ち物を吸収して、情報収集をしていたらしい」


「その情報をもとに財宝を作り出してたってこと?」


「どうやら、そういうことらしい」


 まどろっこしいというか、なんというか。


「はあ、なんというか、とんでもない事実が発覚したね。まあ、村長さん達だからこそ知り得たことなんだろうけど」


「ああ、あとはな嗜好品だったみたいだな」


「それは、あまり知りたくない事実だったかな」


「そんなわけで情報収集と嗜好品の両方を満たせるのなら、協力してくれるってよ」


「わかったよ。情報収集に関しては村長さん達に任せるとして、嗜好品は?」


「毎日三食の食事でいいってよ」


「あははは、そんな単純なことでいいんだ」


「ああ」


「なら食事の方は僕達に任せてよ」


「頼む。量は必要じゃないから、普通の一食分の量でいいぞ」


「わかった」


 とりあえずはこんな感じかな?

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