第202話

 んーむ、しっかりとやった方がいいよな。

 とは言っても専門業者がある訳でもないし。


 いや、本当にないのか?

 俺が知らないだけかもしれん。

 ここはこの世界の先人達の知恵を借りよう!




 ……。

 先人達に借りる知恵が無かった。

 なら地球組だ!


「なるほどな、それで俺達という訳か」


「喜んで協力させていただきますよ」


「チョコ太さん、ピョン次郎さんありがとうございます」


「任せておけ。村長」


「ただ、ことがことですので。ある程度お時間をいただくことにはなりますが」


「かまいません。時間、予算、人手についての権限もお渡ししますので、お二人に全てをお任せします」


 正直、何をしていいのかよくわからんからな。

 わかってる人達に権限を集中させた方がいいだろ。


「おう、そうしてもらえるとこちらもやり易い」


「左様自身のお力が必要な時はお声をお掛けしますので、その時は手をお貸しください」


「わかりました。お二人には大変なことをお願いしてしまい、申し訳ありませんが、よろしくお願いします」


「では早速、左様しかできないことをしていただきます」


 素材の採取?

 新しい魔法の開発?

 俺にできることは何でもやりますよ。




 えーと、俺にしかできないことね。


「ヒダリさま、今日はなんのご用ですか?」


「主殿、妾を誘ってくれるなど珍しいではないか」


 この二人とさっさと仲良くなれって。

 まあ、そういうことなんだろうけどさ。

 いきなりそう言われても難しくないか?


「ヒダリさま?」


「主殿?」


 っと不味いな。

 集中、集中。


「いや、二人とはあまり遊びに行ったこともなかったので」


 ……。

 駄目だな。

 胡散臭い、胡散臭さすぎる。


「申し訳ありません、正直に話します」


「はあ」


「うむ?」


 もう、当たって砕けろだ!


「ナセルリナさん、ヘラレントさん。私は貴女達二人に惹かれています」


「!」


「なんと! 妾の片想いではなかったのか!」


 いや、小さめとは言え、ヘラレントさんみたいな美人に迫られて嫌な気分はしないよ。

 色々頑張ってくれてる所も見てるし。

 なんというか惹かれちまってたんだよ。


「ただしお二人もご存知かと思いますが、私には既に心に決めている人が複数います」


 複数の妻がいて、その中に入りませんかって誘いだ。

 我ながら無茶苦茶だな。


「こんな男でももし、それでもよろしければ……」


「凄い、ですね」


 ん?


「ああ、流石は主殿の奥方じゃな」


 なんだ?


「ああ、失礼しました。ヒダリさま」


「主殿の奥方達がの、このニ〜三日中に我らに主殿が告白するだろうから、心を決めておけと忠告してくれての」


「その、奥様達の予想どおりでしたので、驚いてしまって」


 ……。

 みんなこの展開を読んでたってか?

 流石にそれはないはずだ。

 ないよな?


 俺って、もしかしてみんなの掌の上で踊ってるのか?

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